第3話星さんの願い
私が、君の夫になるにためらいがあったのは、私の両目が不自由であったからだ。
星さんは私が支えてあげるから、一緒になろうと言うが、自分には、結婚までして、彼女に迷惑をかけたくなかったからだ。
私が辛いときいつも支えてくれた君は、私の女神のようだった。
その気持ちのまま、結婚してください。私は彼女に伝えたかった。
でも、かけられなかった。幸せにできないと感じていたからだ。
そんなことをしてたせいか、彼女は怒って部屋を出ていった。
家の中の物の配置はある程度わかっているので、そこまで不便ではなかった。ただ、彼女のいない静かな空間が絶えきれなかった。
紛らすためにテレビをつけようとしたら、知らない固いものがあった。
テープレコーダーであった。張り紙に点字で再生してと書いてあり、カセットのスイッチを押した。
「あなたに、また結婚のことを話したら、あなたは知らんぷりして、喧嘩になるかもしれません。でもね、私は不自由な目に負けずに普通に生活を頑張ってるあなたに心引かれたんです。どうしようもなくウジウジしているあなたなら、私は好きにもなりませんでした、だから、はっきり聞かせてください。私は………あなたの言葉を待っています」
テープに沢山の思いが詰まっていた。私はベランダに出て彼女が近くで聞いているかは知らない。でも、私の気持ちを伝えなければいけない。
「星君、近くにいるなら聞いてくれ、こんな………私だけどさ、星君………君の夫になって貰えないだろうか、僕は君に支えてもらい生きていきたいんだ。」
喋り終わったと同時に後ろから誰かが抱きついてきた。
「やっと言ってくれたね、待ちくたびれたんだよ」
「ごめん、待たせて、星君改めて私は君に告白する。一緒に居てくれますか?」
「………はい………」
その時、気のせいかもしれないが、一瞬だけ笑顔の君がそこにいた感じになったのは、私が造り上げた幻だったのでしょうか。
完
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