広告代理店の関門。
友だちに誘われて、半分は興味本位、半分はIT系よりは向いてるかもしれないという気持ちで行った会社説明会。
のちに、カリスマと呼ばれていると知った社長が、とにかくおもしろい人だった。すると、会社もおもしろそう、仕事もおもしろそうとどんどん興味が増して、私はその後の筆記試験と大集団面接に参加することを決めた。
筆記は簡単な常識テストと、テーマは忘れたけど論文だった。自分が大学で何をやったかを書いたことは覚えている。
大集団面接は、会議室いっぱいに並べられたパイプ椅子に面接希望者全員が座り、その場で順番に立って、自己PRをしていくというスタイルだった。
はっきり言って、私が最も苦手とするのが大勢の前でしゃべるということだったのだけど、もともとダメもとで来てるのだ、とやるだけやってみた。
就活生がしゃべったあと、2、3の質問がくる。何を訊かれたか覚えていないが、この一次試験&面接はなんとか突破できた。どう見ても私よりピーアールできていた人が落とされたりしていたのは不思議だったのだが。
あとから聞いたところによると、私がそこそこの大学で、しかもまぐれでしかないのだけど大学での成績がそこそこよかったことが社長の興味を引き、自己PRの出来は関係なく二次へ進んだと思われる。そこの会社は学歴重視でないことが売りだったので、幅広い人材(?)が応募しており、かえって私の方が変わり種だったらしい。
二次面接は20人くらいだったか。
四角く並べた(ロの字型?)会議テーブルの一辺に面接担当の社長以下部長たち、残りの三辺に私たち全員がぐるりと座っていた。
一次が通った感想を一人ずつ述べ、その後はランダムに質問された。それは全員向けの場合と、面接者が訊きたい人だけに訊く場合があり、私が答えた質問で、戸惑ったという意味で印象深いのは次の二つ。
1大事な商談の席で、相手からストッキングが伝線してると指摘されたら、どう答えるか。
2馬券を買ったことがあるか。(←一応、大学生です!)
私の答えは、
1すみません(気の利いた答え方が思いつかなくて、そのことを謝る意味で言った)
2自分で買ったことはないけど、買う人にアドバイスしたことはある(競馬場でバイトしていたのでレースに詳しかったので)
何がよかったのか、ただ珍しい人種だったから珍重されただけなのか、私はその関門を突破してしまった。
実際、入ってみると私と同じ大学を出た人は先輩社員の中にはいなくて(同期入社には一人いた)、やはり珍しかったからではないかと思う。
逆に、幹部の中にはそんな「未知の者」を入社させて大丈夫かという疑念を持った人たちがいて、入社後も私に冷たくしてきたが、お互いに過度にかかわらなければいいだけだった。それくらい大人数でカオスな会社だったのだ。
こうなったら私は広告コピーが書きたいと思ったが(ものを書きたかったし、コピーは詩作などに通じる要素があるから)、希望が半分だけかなったみたいなビミョーな部署に配属された。
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