読み専と大河と朝の連ドラ(2)

テレビドラマに対するネットでの非難轟々。

それを見て感じたことの続きです。


非難コメントでは、たとえば、

○○な場面が多過ぎる、朝の時間帯にいかがなものか。

○○なのがミエミエ、独りよがりな脚本はやめろ。

いいかげんに、○○ということを理解しろ。

○○な場合は、ふつうは●●なはずだ。


などなど、ここでは雰囲気を短く書いてるだけなので言葉はこの通りではないけど、つまり、私にはこれらのコメントが自分の趣向を相手に「要求してる」感じがした。


たとえばドラマや本などの作品に接した場合に、これまで私の中にあったのは、感想とか批評とか解釈とか分析とかであって、「要求」という文字はなかった。

いやぁ、すごい時代だわ。てか、大変な時代になったもんだなぁ。。。

と、半ばガク然としてしまったわけです。


そこでさらに思ったのは、そんなに怒っていた皆さんはどうして、つまらないなら「見ないことにする」という選択肢を取らないのか、ってことだった。

で、私が思ったのは、「朝の連ドラ」とか「大河ドラマ」は、それ自体がもともと「こんなようなものを見せますよ」という看板になる「枠」なのであって、当然、放送時間もずっと同じで、ファンである視聴者の生活の中に組み込まれてしまっているのだなってことだ。だから、内容がどうあれ、見る時間が来れば見ると決まっていて、自分の生活の一部なのだから、それは自分の気に入るものであってほしいとなるのじゃないか?


昔、仕事で知り合ったプロの作家さんも言っていた。「新聞小説だけは二度とやりたくない。ちょっとしたことですぐに投書が来て、ものすごく神経使うから、疲れた」と。


ここで、連ドラ系と新聞小説の共通点にも気づく。どっちも細切れに続くってことだ。だから、途中でいろいろ言われる。下手すると、言われて作り手側もちょっと意識して、今後に影響するかもしれない。

それと、新聞小説も、日々新聞をすみずみ読む人にとっては「避けるべくもない」大事な部分であって、気に入らないと何か言いたくなるのかもしれない。新聞ってもともと投書を受け付ける媒体だし。


ドラマの場合で言えば、SNSを使ってる脚本家もいたらしく、実際、直に視聴者とバトルしてた例もあったらしい。


そして、先ごろ読んだ、カクヨムでの読み専さんのエッセイ。

これで、遅ればせながら確信に至りました。

もうとっくに、視聴者や読み手が要求するのはアリな時代になっていたんだなぁ、って。


カクヨムの場合は、提供側も受け取る側もネット上でつながってるというか、両者その上に存在してるわけで、しかも、WEB小説は多くが「連載」の形を取ってるのであって、いきおい上記のような双方向な関係性になりやすい、というか、なってしまう要素しかないもんね。そして、どっちかというと読み手市場なんだろうね。


読み手がどういうふうに好みの作品を探してるかとか(キーワードなど?)、こういう人はこういうのを好むとか(たとえば、異世界転生ジャンルという「枠」の中で、さらに細分化された設定やキャラなどの好み)、こんな時にこんなふうにしない方がいいとか、彼らのそれぞれの志向に忠実にハマっている作品はそれぞれヒットするのだろうし、何らかの形でニーズの詳細が明かされることは、読まれたい送り手側にはありがたいことこの上ないのかもしれない。


雑誌や本として世に出てくるまで待って、ただありがたく受け取って、受け入れるか手に取らないかの選択は密かに行われ、あっち側にいる作家自身とは接点もない。

評論家業界や口コミはあったけど、読者にとってのそれらは今ほど身近に迫ってる感じもしなかった。

そういう時代に育ってきた私は、そのギャップに驚くばかりだけど、カクヨムのような場は発信する側のハードルを下げたわけで、昔より幅広い多くの人たちが自由に作品を発表できるようになったし、読む側にとっても作品に手が届きやすい環境だ。

ハードルも下がって、距離も縮んで、双方向で大賑わいしてる。それはいいことなんだろう。


…と、わかってはいるのだけど、ドラマへの非難轟々は、自分もそのドラマが面白くないと思っている場合でもなぜか心が痛い。映像を作って放映するということには、あまりに多くの人が絡んでいる(時にはスポンサードという利害も)せいだろうか…この気持ち、自分でもよくわからん。。。

ドラマとウエブ小説という違いというより、プロとアマの違いかな?

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