第8話 朝桐鉄也と人となり


 入ってきたのは…うん、もう神官さんは省いていいや、だってまた坊主だもん、被ってるわ。

 んでその後ろにいる召喚されてきたと思われる人、今度は男の人だった。

 短髪の茶髪の青年だ、図体がデカい。

 見てハッキリとわかるほど鍛えてる、ムキムキだ。

 神官から説明されたがやはり異世界の言葉はわからないらしく、俺に説明をお願いされた。

 すいません、さっきは説明してません……、むしろ俺が説明を受けました…。


 今回は俺の隣に菱川さんがサポートでついてくれている。

 穂華ちゃんは菱川さんが渡した本を読んでいるが、こちらが少し気になっているのかチラチラを見ている、光希君は椅子に座りながら寝ていた、本当に自由だな、関心するわ。

 アレ? そういえば光希君、ここに来た当初不安がってなかった?


 光希君の姿に関心していると菱川さんに肘でつつかれた。

 おっと、説明しないとな…


「初めまして、貴方と同じくこちらの世界に召喚された、鏑木 崇志といいます、貴方の名前を教えて貰ってもいいですか?」

「あぁ?召喚だぁ? よくわからねぇんだけど此所どこよ? 言葉は通じねぇし外国人みてぇなのが俺のこと囲んでるしよ、わけわかんねぇところに、やっと話が通じるやつがきたと思ったら、召喚されたって、なんだよそりゃ…意味分かんねぇわ」

「ああ~…えっとまず…日本人でよかったよね?」

「あぁ!?それ以外に見えるのかよ!?日本語で話してる時点で察しろや!!」


 デカい図体の鍛えてる男が俺に向かってめっちゃ恫喝してくる~…怖いわ~。

 こちとら最近まで引き籠もってたんだぞ…人と話すのも久しぶりの男になんて高圧的に接してくるんだ……。


「日本人なんだね?…続けるよ? まずは名前を教えて貰ってもいいかな?」

「……朝桐 鉄也あさぎり てつやだ」

「朝桐君ね、説明するとココは日本でもなければ外国でもないし地球でもない、まず世界が違う」

「あぁ!? じゃぁ何処だよ!!」

「異世界」

「はぁ?」

「いや、異世界なんだって…信じられないかもしれないけど本当だよ?」

「いやいやいやいや、ないわ、さすがにないわ」

「でも貴方も会ってるんじゃないの?」

「あぁ?誰にだよ」

「神様?……っていうか女の人かな、一方的に話をしてきた人(?)よ」

「………夢だろ?」

「…会ってるっぽいわね、鏑木君以外の召喚された人全員が会ってるから、なんなら話された内容でもいいましょうか?多分同じ事いってるわよ」

「……」

「まぁ、どうするにしても自分の現状は知っておいたほうがいいと思うよ、俺達も完璧に把握してるじゃないから微妙な感じになっちゃうかもだけど、今までの俺達が知り得た事は話していくからさ」

「私も抜けている部分があったら補足していくわね」





 それから今までの話を菱川さんと説明していったんだけど、案外簡単に受け入れていた、思ってたよりも話がわかる人なのにはこちらが驚かされた。

 ただ現状が理解できてなくて混乱していただけだったみたいだ。

 それと話をしていて目的を達成しないと帰れないと知った時と、子供達の現状を聞いてた時は少し怖い顔になってた。


 そして持ち物については服意外は持っていなかったらしい、本当にこれについても謎だな。


「あ、さっき加護について話したけど、何か自覚はある?」

「……ああ、不思議な事にアンタ達に加護の話を聞いてた時に気がついた……いや、思い出したって感覚だな」

「それは教えてもらってもいい?」

「別にいいぜ、俺もアンタ達のを教えてもらってるからな、俺のは簡単に言えば身体能力が上がる加護だ、その分さっき説明されてた魔法みたいな力は俺には使えないんだけどな」

「え、どうして?」

「身体能力が普通の人より向上する代わりのデメリットっていえばいいのか……? えっと、体ん中に魔法を使うためのモノがあるっぽいんだけどそれを全て身体能力強化に使っちまう感じなんだ」

「へぇ、加護のデメリットか……考えてなかったな」


 菱川さんの加護にもデメリットみたいなのあるのかな?


「あ!後、この世界で目を覚ました時に台座にいたと思うんだけど、そこにあった陣はどうなってた? あそこが光っている限りはまだ召喚者が来るらしいんだよね」

「あぁ、あの光ってたのか、俺が来てもまだ光ってたぜ」

「そっか、ならまだ召喚されてくるのね……」

「マジかよ、俺で5人目なんだろ? 何人送られてくんだよ…」


 それは俺にもわからない、必要な分だけ説明ではあったけど、世界崩壊を叶えるための人材だ……、もしかしたら百…千単位もありえそうだな…。


 アレ!?そうなった場合ってそんな大量の人にこうやって説明していく事になるのか?…え?ハード過ぎない!?

 それに召喚されるペースって、今のところ一時間に一人くらいだから……、いや、考えても仕方ないか…、やるしかない! やってやらぁ!


「…ねぇねぇ鏑木君、魔法の話もでたしさ、思ってたんだけど説明が済んだ人達だけでも先に魔法の適正の検査、してきて貰ってもいいんじゃない?」

「ん?」

「説明する間、今回の様に待っていてもらうのも退屈だと思うの、光希君に至っては退屈で寝ちゃってるしさ、ならその時間で必要な事をやっちゃいましょうよ」

「…それもそうだね」

「ね!とりあえずパーチェにそう伝えてくれない?」

「けど、何か悪くない? 予定では一緒に検査する事になってたのにそういうの変えちゃうのってさ」

「いや、検査も時間がかかるでしょうから時間が空いた人からやって貰った方が効率的だと思うわ」

「う~ん…」


 なんか悪い気がするんだよなぁ…本来の予定を変えるのって……。


「それに今のままじゃ、魔法についての説明も貴方が通訳しなきゃいけないのよ? 少しくらいこっちがワガママいってもいいと思うわ」


 あ、そうか、言葉が通じないからそれも俺がしなきゃいけないのか……、ならいいか。


「そうしよっか、確かにそっちのほう時間も短縮できそうだしね、あ、朝桐君はどうする? 加護の影響で魔法使えないっていってたけど、検査は受ける?」

「そうだな、ここにいても現状わからねぇ事が多すぎてする事もねぇし、あいつらと一緒に受けてくるわ」

「ん、じゃぁ、子供達を任せてもいいかな?」

「おう」


 と答えた後に小声で


「……それに子供達だけで行動させて何かあっても困るだろうよ、事が事だけにあの姉弟が悩んでるって知ったら、無理矢理にでもやらせようとしたりする輩はいそうだしな、俺も答えを焦らせたくないからよ…注意はしておく」


 と伝えてきた。

 確かにそういった輩はいそうだな…もっと注意深く見といたほうがいいのかも知れないな。


「ありがとう、それじゃぁ、パーチェに前倒しで検査できるのか聞いてくるよ」


 最初、体はデカいしなんか高圧的だし怖い印象だったけど、話してみたらいい人なのはわかってきた。

 子供達の現状も説明した時も、あれは怒ってたんじゃないかな……、子供達を巻き込んでる事に。


 あ、説明した時に俺達が相手の行動次第では動きを変えることも朝桐君に伝えてある、同意してくれたし、協力も惜しまないといってくれた。

 子供達の事を知ったら自分の事よりも子供達の方を優先的に考えてもくれてるっぽいし、頼りになる味方ができた。





 その後、パーチェ達に魔法の検査を個別にしてもらえるのかを聞いたら、全然問題ないと言われてしまった。

 説明をこちらに任せてしまってもいるので協力できる事があるならドンドンいって欲しいってさ。

 ホントにパーチェはいい子や……。

 他の神官? パーチェが問題ないって発言した時に、えっ?勝手にそんな事決めていいの? 予定にないよ!?みたいな感じで驚いてた。

 問題ないので伝えてきなさいって感じで神官さんを一人、伝達に向かわせてたけどやっぱりパーチェって偉い人?


 一応許可が貰えたので小城原姉弟に検査を受けてくるか聞いたら、光希君がノリノリでそんな光希君の姿を見た穂華ちゃんがため息をつきながらも、光希君と一緒に受けてくるといってくれた。

 朝桐君も一緒に検査を受けにいく事を穂華ちゃん達に伝えて、軽く自己紹介してもらった。

 光希君は筋肉が気に入ったらしく積極的に話し掛けていたんだけど、穂華ちゃんは最初は朝桐君を警戒していた、光希君が朝桐君と仲良さそうに話してるのを見て、大丈夫だと分かってくれたみたいだけど、嫌がられなくでよかった。

 あ、検査する場所への案内にはパーチェ以外の神官達がついていった。


 取り敢えず俺は、次の召喚者が来るまでパーチェに朝桐君の事を説明しておくか…。



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