第7話 年齢と見た目


「なぁなぁ、難しい話は終わった? おっちゃんにお姉さん」

「ん?どうしたの光希君?」

「まぁ、一区切りはつい…てないな…、まぁいいか、どうした光希君?」


 区切りはついてなかったけど話し掛けてくれて内心助かった、まだ先ほど笑顔のせいで普通に喋れそうになかったからな。

 光希君が話をしてくれてる今の内に落ち着きを取り戻そう、深呼吸だ。


「お姉さんって歳いくつ? 俺は14!」

「ふっ!?」


 予想外の質問でビックリした、落ち着こうとして深呼吸で吸った空気を変に吐き出してしまった。


「あぇ…?え~と…」

「この…バカ光希っ!! 女性にいきなり歳を聞いちゃいけないって前からいってるでしょ!? アンタ何回やらかせば覚えるのよ! すいません!…この子空気読めないんです、それにデリカシーも欠けてて……ホントすいません!」


 ぉおう…、ちょっと暗くなってた穂華ちゃんが光希君の言葉を聞いて飛んできた…、光希君の頭を勢いよく殴ってるし…大丈夫なん?


「いてぇなぁっ!?なんだよ姉ちゃん! 別にいいだろ?この人綺麗だし気になったんだよ…」

「よくないっ! そんな感じで質問して前にも場が凍りついた事あったでしょ!? 私とお母さんあの後大変だったんだからねっ!ていうかその時にもうしないって言ったわよね! ねぇ光希っ!?それにあの時も…」


 光希君が文句を垂れたら、胸ぐら掴んで揺さぶりながら叱り始めたぞ…てか光希君常習犯なのか、この言葉を言って大変になる場面が想像できないんだけど、どんな場面でいったんだ…。


「まぁまぁ穂華ちゃん…私は気にしないからそこまでにしてあげて…、けどあんまり女の人にしていい質問でもないから、そこは注意しなきゃね光希君」

「わ…わかりました…気を付けます………姉ちゃん……苦し…」


 凄く力を込めて握ってるのか、首が絞まって光希君が苦しみ始めたくらいで菱川さんからストップと注意が入った。

 まぁ本人がそう言うならって穂華ちゃんも掴んでた手を離したけど、止めなかったら絞め落とすまで掴んでた気がする。


 取り敢えず俺は光希君が稼いでくれた時間で落ち着けた、ありがとう光希君、君が振り回されてる間、俺は何事かとこちらに来ようとしたパーチェ達に対応してたから助けには入れなかったよ。


「えっと私の年齢だったわね、29歳よ…今年で30だから光希君から見たらもうオバサンかしら?」

「「「……え?」」」


 三人の声が重なった。

 いやいや、見えない見えない!若々しすぎるだろ!俺より歳上!?見えない…全然見えない。

 穂華ちゃんと光希君も凝視したり目を擦ったりして見直してる。


「……やっぱり若い子から見たらおばさんに見えるのかしら…」

「…いやいや、違う違う!全然見えない!むしろ若く見えたよ!ずっと20歳くらいだと思ってた!」

「あら、ありがとう…お世辞でもうれしいわ」

「いやいや、そんなことないですよ!?本当に全然見えないです、このおじさんのが歳上に見えますって!?」

「うん! 姉ちゃんの言う通り全然見えない!若いし綺麗!」


 流れ玉が飛んできた! 穂華ちゃんからも俺っておじさんに見えてたの!?


「あ、…すいません崇志さん」

「いや…、いいんだよ…穂華ちゃん、確かに穂華ちゃん達からみたらおじさんには違いないからさ…ははは」

「え?鏑木さんはいくつなの?」

「先月28になりました…」

「「えっ!?」」


 小城原姉弟の声が重なった、28にも見えなかったってのか? チクショウ!


「あれ?驚くのね 私から見たらそのくらいに見えるけど…? あ!多分髪と髭が整えてないしボサボサだからそう見えちゃうんじゃない? 後で軽くだけど整えてあげよっか? 私用のだけど私、鋏持ってるし」

「え、いや、悪いですよそんな…」

「いいのいいの、遠慮しないで、変な髪型とかにはしないからさ! 私こう見えてもプロなのよ?」

「美容師なんですか?」

「そうよ、美容師やってたの、休みの日に友達の所に髪を切りにいってたんだけどね、その帰りにこの世界に召喚されてきちゃってね」


「…ん、あれ?じゃぁ元の世界から荷物持ってこれたんですか?」

「そうよ? アレ?みんなは荷物持ってこれてないの?」

「他の人に聞いてないからわからないけど、少なくても俺は持ってこれてないですね、着ているモノ意外はポケットに入れてた鍵も財布もなくなってました」

「そういえば私も!……やっぱりないですね、…着ているモノだけです」

「俺も!」


 俺は服についてた血も刺されたから空いてるはずの穴もなくなってるんだよな、まぁこれはなくなってもよかったんだけどさ。


「何でだろう…、神様が態とそうしたのかしら…」

「態と?」

「ええ…、召喚モノの小説とか漫画とかでよくあるじゃない、文明を破壊しうる危険性があるモノは持ち込ませなかったり、封じ込められたりするの、態とだとしたら多分そういうのじゃないかなって…」

「なら服は許して貰えたのかな? これもこの世界の服じゃないし多分RPG風の世界なら着てる人もいないだろ? まぁ文明レベルがどのくらいかわからないから、一概には言えないんだけどさ……」

「まさか適当って事はないでしょうしね…コレについては考えても答えはでないんじゃないかしら?」

「そうですか…まぁ持ってこれなかったのを気にしても仕方ないですね」

「えぇ~…マジかよぉ~、勿体ねぇ~…」


 まぁ、無いならないでいいや、金もそんなに入ってなかったし、それよりも話進めないとな…


「悪い、さっきまでの話に戻すけど、取り敢えず今は無茶言われない限りは協力する事にしておいていいかな? よければパーチェ達とこれからの事についても相談してこないといけないからさ」

「ええ、私はいいわよ、それに鏑木君が話しにいくのならそっちにもついていくわ、さっきも言ったけど慣れればその分だけ早く覚えられると思うから、何か加護が必要になった時も私が近くにいれば聞きに戻ってこなくてもいいし」

「そう……ですね、今はそれでいいと思います」

「俺も!てか難しい事は任せるよ、結果だけ教えて!」

「わかった、あ、菱川さんの加護についてはパーチェ達に話してもいいかな?」

「いいわよ、話しておいたほうが話もしやすいでしょ」

「ありがとう、それじゃいこうか菱川さん」

「あ、待って、穂華ちゃん、コレ!」

「本?」

「何もせずにいたらいろいろ考えちゃうでしょ?これでも読んで待ってて」

「…ありがとうございます」





 菱川さんも加えてパーチェ達と今後の事についての話をしたんだけど、菱川さんの加護について話した時の反応が凄かった。


 加護の事を聞いた後にパーチェの提案で、もしわかればと欠けた神の事を調べてもらったがそれについてはわからなかった。

 だけどそれぞれの神が奉られてる場所については判明したので崩壊を止めるために動くメンバーは準備が出来次第、その場所にいく事になった。


 後は巫女が用意させていた準備についても聞いてみたんだけど、巫女とその考えを支持する層は準備をしてくれているらしいのだがあまり上手くいってはいないらしい。

 それをパーチェが俺達に話してくれた時に他の神官が騒いでたのでいってはいけなかった情報だと思うんだけど、パーチェは話してくれた。

 騒いでた神官にしてもパーチェが騒ぐなっていったら止まったし、もしかしてパーチェって偉い人なのかな?


 そんな感じで話をしていたら、またドアをノックする音が聞こえた。

「お、次の召喚者がきたのかな?」

「そうかもしれませんね、はい、どうぞ、お入りください」

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