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「今日は夕方過ぎから人が来る予定なので、五時くらいに来てください。家へ帰ってゆっくり休んで。朝倉君、よく頑張りました。太郎を守ってくれてありがとう」
頭を小さく下げた出雲大社は、にこりと笑み、「じゃ、おやすみ」と言うと音も立てずに立ち上がり、食べっぱなしで部屋へと戻って行った。白子と同じだ。後片付けは私の仕事。それでもなんだか嬉しかった。
「おやすみなさい。ここ片付けたら帰りますので」慌てて言うと、
「……当たり前でしょう」と憎たらしい一言。
「あ、それと、レンタカー代とガソリン代、高速代、君の給料から天引きするからね。事前に聞いていないから認められません。ああ、それとパンダ代もね」くすっと笑って開かずの間へ消えた。
「なんでですかー! それこそ聞いて無いですし! 仕事で使ったんですよー! 仕事なんですよ! てか最後のパンダ代って何ですか一体! 出雲さーん!」叫んだ。
「俺はそれを良しとした」
「ぜんぜん良くない! パンダ代ってなんなんですかぁぁぁぁぁ」
部屋の中から楽し気に返してきた出雲大社の声。しばらくこの言い方使うんだろうなあと思うと笑えてくる。パンダ代がどのくらい差し引かれるのか怖いところではあるが、今日のところは何を言っても変わらないだろう。
マグカップを二つ持ち、台所へ持って行った。
開かずの間の中からうっすら白子の鳴く声が聞こえた気がした。
ああ、太郎だったか。
それに、出雲大社のことが少しだけ分かったし、近づけたような気がしたから、
「私はそれで良しとする」
湖はそれをよしとしたのであった。
【にこにこ動物園飼育員(ニワトリ係)甲乙たけしの憂鬱】終
クソ占い師のけったいな仕事with朝倉湖+猫s 酒処のん平 @nonbe_sakedokoro
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