・・・・

「これを買いに行ってたんですよ」

 袋から出されたのはフランス語で何かが書かれた大きめの箱。トリコロールのリボンで装飾されていて『フランス』を全面的にアピールしている。

「ここのお菓子が食べたくてね」

 丁寧に紙袋を破き、箱を開けるとそこにはクッキーとチョコレートの詰め合わせ。


「園長が持ってきた動物園とコラボのお菓子があったでしょう? あまりにも僕好みだったのでついつい」

「って、園長が来たときいなかったじゃないですか!」だったらそれはおかしい。

「君たちに会う前に僕のところに来ていたんですよ。それで先にこのお菓子を食べましてね、すぐにフランスへ行きました。で、僕は案件を聞いて園長の後ろのモノと話し、君と太郎で充分だろうと思いましてね。帰ってみたらぜんぜんダメで、これまたびっくりでした」

 袋を破き、「はい」と手渡され、とりあえずクッキーを口に入れた。

 うまい! そうじゃないだろ私。

 フランスに行って帰ってくるのってそんな早くできるものなの?

 もしやのフランスって店の名前のことか? 袋の後ろを見てみると、製造元に神戸と記されていた。

 これ以上何を言ってもこのクソ占い師の中では完結しているのだから何も聞き出せないだろう。私だって疲れ果てている。

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