・・・
「私たちが危なくなったとき、どうしていきなり来ることができたんですか? どこに行ってたんですか」
「動物園にいましたからね」
「は?」
「だから顔。僕は動物園に行ましたよ。事務所には誰もいませんでしたので、勝手に園内を回っていました」
「なんでそんな時間に? 夜中ですよね?」
「失敬だな君は本当に。パンダがいると言ったのは君だぞ」
「パン……」
「お昼寝の時間以外はいると言ったじゃないか。だから園内をくまなく探したんだ。どこにもパンダが見当たらないから二周もしてしまった。君は僕に嘘をついた」
「……そんな。来てたなら早く助けてくださいよ! 死ぬところだったんですよ!」
「だから助けたじゃないか。僕がいるんだ。死ぬわけがないだろう。まあ、パンダには会えなかったわけだからそれなりのことはしてもらうよ」
このクソ占い師は私たちが危ない目にあっているとき、のほほんと夜中の園内をパンダを探して二周もしていたとは。普通に考えて夜夜中にパンダがいるわけがないじゃないか。そもそも千葉県の動物園にパンダがいるなんて聞いたことがない。湖は鼻の穴をおっ広げてふんと鼻息を吹いた。しかし、確かにパンダがいる(かもしれない)と言ったことを思い出して、それ以上強くは出られなかった。
「でもなんで白子さんを殺そうとしたんでしょうか」
「さあ。食おうと思ったんじゃないんですか」
「最悪ですね」
「もう終わったことですよ。そんな話よりこれだ」
ぽんと手を打ち立ち上がり、台所に行って袋を持って戻ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます