十二
十二
『お告げカフェ』に戻ったのは朝方だった。うっすらと今日が始まろうとしていた。目覚めた太陽がピンク色に地表部分を染めている。押し出される形で紫色の夜空は空へと持ち上げられていった。
湖はプリウスを運転し、後部座席では白子が猫の姿で丸くなっている。その隣には出雲大社が座っていて、本を読んでいた。無音、無言の車内でも、ありえない疲労感からか逆に目は覚めていた。
車をコインパーキングに停め、先に仕事場に帰って行った二人の後を追う。
小鳥が囀り、大通りでは車が走り出す。カラスは餌を求めてカアカアと鳴き、冷たい空に羽ばたく。
天を仰ぎ目を細めた。
鼻から朝の空気をいっぱい吸い込んだ。
地下にある仕事場は相変わらず空気が澄んでいる。
円卓に出雲大社が座り、何かを考えるようにきれいな顔、眉間に皺を寄せていた。
白子はどこにもいない。開かずの間に戻ったんだろうか。
「あの、何か飲み物でも淹れましょうか」
「ええ。僕にはホットチョコレートで」
「はい」
お湯を沸かしている間も難しい顔をしながら足を組み、腕を組んでいた。にしても、どんな格好をしても絵になるのがムカついてならない。
乾いた音を立て、マグカップを二つ置いた。
出雲大社も湖もホットチョコレートを一口飲み、
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