・・
「朝倉さん、こっちです」
壁に手をついて立ち上がって辛そうに頭をおさえている。
「怪我、大丈夫ですか?」
「このくらい大丈夫です。早くしないと動物が……」
「てか白子さんはどこ」
「こっちです」
足をひきずりながら走る甲乙の後を追って奥へ進みながら湖は頭の中で計画を練った。
まずは白子を救出する。それからあの二人をどうするかだ。向井は体格だけで考えると細いのでジャッキー仕込みの足払いからみぞおちに一発、からの、脳天蹴りへ。下からの攻めでノせるだろう。だが、あの熊みたいな櫻井は手強い。まだまだ未熟な私の技では倒せない。今まで観てきたジャッキーのビデオを頭の中でフル再生させて、何か使えるものはないかとフルサーチした。
「朝倉さん、ここです!」
無言で甲乙のあとに着いていってたのでどこをどう通ったのか覚えてないけれど、指差した所には白子がぐったりとして倒れていた。
「白子さん!」
走りより抱き起こして呼びかけるけど、反応がない。でも温かい。息もある。
「睡眠薬で眠っているだけですから大丈夫です。それより、あの二人がここへ来る前に食い止められないでしょうか? 彼女はそこへ寝かせておいて。これを見てください!」
白子にばかり気がいっていて言われるまで全く気づかなかった。甲乙の後ろにいろいろな動物たちがケージに入れられて力なく横たわっている。まだ死んでいない。ただただ、痩せこけていた。
「私はこの子達を助けますから、あなたはあの二人を入り口のところでなんとか捕まえて時間を稼いで。その間になんとかしますから」
「分かった! やってみる! 白子さんお願いします!」
言い終わるや否や、入り口に向けて走った。
あの二人が黒幕だった。まんまと騙された。悔しさともどかしさと腹立たしさに湖は腹の底から怒りが込み上げてきた。
走りながら指を鳴らして殴る準備を整えた。あの二人がここへ入ってきたらまずは何も考えずにぶん殴る! その後のことはそれから考える!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます