東関道をかっとばし、にこにこ動物園に再度到着したのは午後十二時を半分回ったところであった。

酒々井のパーキングで軽いスナックを買って夜ご飯とし、千葉限定のピーナッツクッキーやポテチ、煎餅などを買い込んだ。

 朝までは結構な時間がある。一睡もしないで監視をしなければならないので食料を調達して挑む。もちろんブラックコーヒーも何本も買った。


 事務所の中には甲乙一人しかいなかった。

 ほかの人は外で洗い物をしているとのことだった。湖たちが来ていることにあまり気を良くしていないのは向井だ。


 頭から信用していない。占い師ふぜいが何の解決もできないくせにでしゃばるなといったことがそのお顔に刻み込むように書いてある。

 見た目通り負けず嫌いの白子は向井を敵とみなし、本人に分からないように鋭い視線を送り続けている。放っておいたらこのまま彼のことを犯人扱いしそうな勢いだったので、湖は今後のことをざっと、洗い物から戻ってきた夜勤担当に説明し、協力をしてくれるように頭を下げた。


「本当に大丈夫ですか? あなたたちがここに居たところで犯人は捕まらないような気がしてならないんだけど。いや、女性だからってわけじゃあないんだけどね。刑事でもあるまいしさ、そんなことできるのかなって思って」

 早速牙をむいたのはやはり向井だ。その細い目におもいきり嫌味を宿して鼻で笑った。


「やめろ向井。警察に連絡できない理由があるからだろうが。内容は知らんけど。だったら園長が頭を下げて頼み込んで来て頂いてるこちらの方々にお願いするのが一番だろう。少なくとも俺らだけじゃ犯人なんて到底みつけられないよ」

 と櫻井が向井を制す。

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