・・・・・・

「そういえば事務所に残るのは甲乙さんみたいだそうですよ。なんかいつもそのパターンみたいで。甲乙さんは足が少し不自由で見回りに行けないので、かわりに夜中の事務仕事は全般的に引き受けてるそうです」


「甲乙さんはニワトリ担当だったよね。それなら多少力がなくともってことかしら。後の二人は確か熊だか象だかの大きめの動物担当と猿担当よね? 熊相手なら力もあるしロバを動かすことだって簡単にできるわけね。犬だってちょろいもんでしょ。事務所にいる甲乙さんは一人だから、そこを抜けた場合、電話が鳴っても出ることができないでしょ? もしかしたら園長から連絡がくるかもしれないし。そこまで考えたらできないわよね」


 見回りは三回。閉園してすぐ。それから九時に一回。最後は一時だ。

 そのときに盗まれた可能性が高いともいえる。見回りのときだったら多少騒いでも怪しまれない。


 ほかの従業員は各々寮に戻っていて、朝も早くから動物たちの朝ごはんの準備をしなければならない都合上、早朝四時には起床する。なので夜中の一時にはみんな夢の中深くに落ちている時間帯だ。やるならその時間が最高だ。と、白子は目星をつけた。

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