朝一から、米とミルク、卵、三つ葉、塩、チーズをリュックの中に詰めた。

 湖は今日の昼ごはんにチーズリゾットを作る予定でいた。

 サンドイッチはべちゃっとしているかもしれないが、リゾットは最初からべちゃ料理だ。もんくは言われまい。そう思っていた。

 いつもの時間より少し早めにうちを出て、『お告げカフェ』に向かった。


『お告げカフェ』とは、どうにもこうにも取り払いたい悩みを多く持つもののみが、ここの主、出雲大社の波長と合った時にのみ見つけられるという、巷でもっぱらの噂となっている場所だ。何をするのかといえば、霊視。みたいなものだ。なんせ彼は霊がはっきり見えるのだ。それをいいことに金儲けをしているのでけったいなのである。


 ここへ来たければ、黒猫の後を着いて行けばいい。その黒猫を見つけられるかどうかもその人の『運』だそうだ。


 出雲大社、いかさまチックな名前だが当主は自分のことをそう名乗っている。

 見た目、某アイドルグループにいる雰囲気でチャラい。

 見た目、細身な体で筋肉質にまとまり、頼れそうだと思うが、軟弱だ。喧嘩なんてしたら秒殺だろう。


 笑った顔にはプラチナホワイトの歯。手入れのされた髪を揺らして笑まれれば、女子はくらりと落ちるだろう。

 が、すこぶる性格がよろしくない。好きなことは金儲け。人を悪気もなく陥れる。それでも時おり見せる優しさにみな騙されてしまう。そんな感じだ。


 湖はそんなところで働いている。事務員件、アシスタントとして。

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