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 卒業式にも出席しなかった。

 自ら連絡を取ろうともしなく、誰にも会うことなく、三月は終わって行った。卒業式に出席しなかったら誰か気にかけて連絡をくれるかもしれないと思ったが、それもまた妄想に終わった。

 三月の末で自分の気持ちに区切りをつけて、新しい人生を歩みだした。


 時は過ぎ、夏になる前、仲良くなった動物園の仕事仲間にSNSを紹介され登録したところ、電話番号検索で大学の仲間が『友人かもしれない』リストに入り込んできた。

 ついぞ口許が緩み、懐かしさに昔のことなど忘れ、思わず開いてしまったのが悪かった。


 そこには甲乙以外の皆の集合写真がトップページに載せられていた。

 背景はパンフレットで見たことのある景色だった。

 自分抜きで卒業旅行に行ったということだ。

 そうとは信じたくなかったので、今の今まで、きっとなにか都合がつかなくなったんだ。と、思いこんでいた。

 心臓がこんなに痛くなったのは初めてのことだった。

 紹介されたSNSは申し訳ないけどできないと言って謝った。

 甲乙がもう誰とも友達にはならないと心に誓った瞬間であった。

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