・・・・

『予知してよ』

 って声が聞こえてきそうだけど、あえて考えないことにした。

「よし、それじゃあ早速君の家に行ってみようか」

 高宮の返答を待たずに席を立つ出雲大社に続き、湖も急いで財布と鍵を取りに台所へ向かう。


 前回の事件で、出雲大社が家を出るときは湖も一緒に行くことと、その時には財布、それから入り口の鍵をかけることを勉強した。

「君の家に行って電話を取ってこよう。この間に彼から連絡がきているかもしれないよ」

「……分かりました」


 なぜか乗り気じゃない高宮を半ば強引に誘導する出雲大社は奇妙な笑みを浮かべている。

 入るなと言われている出雲大社の部屋の前から動かないノリコと母猫は相変わらずじっと眺めているだけで近づいてこない。


「朝倉君、ボーっとしてないで、行くよ。突っ立っててもなんの解決にもならないからね」

「はい、すみませんただいま」

 軽い暴言は受け流し、急いで用意をして鍵を持ち、入口へ走った。

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