野に咲いて

『野に咲いてたとえ幾度いくたび踏まれてもあれも花なりこれも花なり』


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だいたい昔から地味だったのだ。


良でもないが不可ほどではない。

せいぜいが真ん中。目立たず埋没まいぼつ


別に不満はなかった。

そんなもんだと思ってたし、平凡で変わりない生活がむしろ好きだった。


伽噺とぎばなしでいえば

「そして、それから二人はいつまでも幸せに暮らしました」 が望みだった。


けどカミサマは、なかなかにヘソ曲がりで、そんな怠惰たいだなヤツには、ちょっとした試練が必要だとか思ったのかもしれない。


そういうのは刺激がないと生きてる気がしないとか言ってる人の方にあげて欲しかったなぁ。

今更ながらに愚痴ぐちなど言ってみる。


増えたシワとシミに後悔はないけれど

守られる花にはやっぱり憧れる。


野に咲いて、踏まれても踏まれても

それでもきっと

諦めない事だけが わたしの矜恃きょうじ

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