爪先の
『爪先の消えぬ冷たさしみじみと』
『洗朱(あらいしゅ) の爪先照らす薄明かり』
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春先の深夜はまだ冷え込む。
残業終わり、やっと帰り着いた部屋に向かって「ただいま」と言う。
いつもの習慣だ。
勿論、返事があるはずもない。
下階の住人に気兼ねしつつ、サッとシャワーを浴びる。
乾燥を防ぐ化粧水と乳液を肌につけたら、濡れた髪をタオルでふきながら手早くドライヤーで乾かす。
やっとサッパリして一息。
ちゃんと着込んだはずなのに何だか肌寒い。
そういえば、靴下を履いてなかったな。
冷えた爪先は仄かに
大丈夫
大丈夫
まだ大丈夫だよ。
ゆっくりと靴下を履いてから枕元の灯を消した。
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