第115話 対面
長々とお風呂に入っていた。それでも1時間位だろうか。お風呂から出ると既に着替えが用意されていた。着替えは誂えたようにピッタリの着物だった。着方は教えてもらった。サイズはお風呂でスキャンしたそうだ。これではプライベートも何もあったのものじゃない。計測したのが機械で持ち主が女性だという点が救いだ。
「あら、着物似合ってるじゃない。さすが日本人ね。これが
「おい。俺も日本人と変わらないから似合うはずだ。」
「何言ってるの!あなたは漢民族でしょ。日本人とはちょっと違うわよ。」
亜里沙さんはさすが信長の奥さんだ、明の皇帝に対して友達のように振る舞っている。媚びへつらわず逆に弟のように対応している、というかまるで親子だ。
「着物ありがとうございます。着物ということはもしかしてこれから日本へ行くんですか?」
「もう、尾張の那古屋城上空にいいるわよ。あなたが出て来るのを待ってたの。」
「未だ1時間しか経ってないですよ。」
「1時間だったら元いた時代でも北京までは1時間位で行けないこともないでしょ。さぁ、行くわよ。」
「もう着陸してるんですか?」
「着陸はしないの。那古屋城まで皆で転移するから。」
「なるほど。凄いですね。もう驚きませんよ。」
転移した後は那古屋城?に転移したらしい。最早お城と言うには凄く現代的な建物が乱立している。中には中世ヨーロッパの城というより、ハリウッドセレブの豪邸の様なのもある。お城なのに天守閣がない。天守閣はどこ?本当にお城?
「亜里沙さんお城はどこ?天守閣は?」
「天守閣って遠くを見るためのものでしょ。衛星飛ばしてるから中のモニターで確認できるし、自動迎撃システムも作動しているから天守閣なんて無意味よ。」
「ほ、本当にここ戦国時代なんですか?」
「そう、戦国時代よ。でも、既に、今川と武田と斎藤と同盟結んでるし、信長は副将軍だから、どこかで争いが起こっても即沈められるし、最早戦国時代ではないかもね。でも、紫禁城で言ったように朝鮮が攻めてくるからこれから荒れるわよ。日本は戦国時代以上に荒れる。日本は正念場ね。」
日本庭園の奥に見えるガラスを多用した豪邸の中へと連れて行かれる。部屋の中へ案内されるとモニターで外の様子を見ているのか監視しているのか一心不乱に見ている子供がいた。
「お、陛下、来たか?」
な、何だ、この亜里沙さんに輪をかけて、横柄な子供は?皇帝に対してこの横柄さは?いいのか?
「彩香、この人が織田信長よ。」
亜里沙さんが説明してくれた。そりゃそうだな。信長だって子供の時も在ったよな。でもさすが信長だ、この歳にしてこの横柄さ、さすが大うつけだ。
「信長さんなんですか?」
「そうだ。めずらしいだろ?」
何が珍しいのかわからないが。
「やっぱり大うつけと呼ばれてるんですか?」
「このデカ女を打首にしろ!」
「ヒッ、ひ〰〰〰〰っ、お代官様、許してけろぉ〰。」
「お、のりがいいな?」
ど、どうやら織田信長に気に入られたようだ。
「あ、ありがとうございます。」
「お前を部下にしてやるぞ。」
「いえ、私は一緒に転移してきた彼氏を探したいのですが。」
「人探しなら、
「千奈さんに聞いたら、居場所は知っているそうですが、神に面白くないから教えるなと言われているそうです。」
「あー、それでか?居場所がわかったぞ。以前京へ行ったときに紫葵が突然挨拶したような気がしたんだ。紫葵、そうだろ?あれがそうだろ?」
「いえ、お教えできないことになっています。」
「でも、千奈さんが二人いるんですね、ブロンドとプラチナブロンド。プラチナだからちなさん何ですか?」
「いや違うな。ところで陛下、話は聞いたか?」
「いや、チナチアットの中で聞く予定だったが他の話をしてて聞けなかった。最初から教えてくれ。」
「あー、分かった。簡潔に言う。朝鮮が日本へ攻めてくる。手を貸せ。」
「すごく簡潔だな。朝鮮なんぞ、銃をぶっ放して一瞬だろう。」
「それがちょっと違う。相手は朝鮮だが朝鮮の王は神だ。正確に言えば神が転生して、朝鮮の王になっている。悪いことに神の時の記憶がない。前世で日本に生まれて、そこで日本人にひどい目にあったらしいんだ。だから日本人と日本に酷い悪感情を抱いている。だから、日本を攻めると帰蝶に言ったらしい。更に悪い事に神の時の能力はそのまま持っているらしい。ほぼ全ての魔法が使える。それも大出力でだ。それで帰蝶が殺されかけた。」
「そ、それは大変だな。俺はちょっと用事を思い出したな。盧将軍、帰るぞ。」
「はっ、陛下。って冗談ですよね?」
「じょ、冗談に決まってるだろ。ともかく、一度帰って準備を整え朝鮮が日本へ軍を進めたら、明が朝鮮に向けて軍を出す。」
「陛下、大丈夫でしょうか?相手は神ですよ。僕心配だなぁ〰。」
「お前は子供か!しっかりしろ。」
「え〰、僕はまだ子供ですよ。」
「そこの信長を見ろ。お前と同じ年だろ。だが、これだけ横柄だぞ。」
「横柄は余計だ。信長はそういうキャラだ。仕様がないだろ。帰蝶送ってやれ。」
「分かった。早いほうが良いよね。紫禁城まで転移するから。」
そう言うと私を残して亜里沙さんは千奈さん、厚熜さん、盧将軍野四人で消えてしまった。
と思ったらもう現れた。
え?もう紫禁城まで行ってきたの?どんだけ早いのよ、この人。
「亜里沙さん、早かったですね。それより、星人を探しに私を京へ送ってくれませんか?」
「駄目だぞ、帰蝶。神が千奈に居場所は教えるなと言っているらしいからな。教えるなよ。」
「あ!また何かの能力をおねだりするつもりでしょ。だから媚びへつらってるんでしょ?」
「いや、その時のためには神の望みは叶えとかないとな。」
「それより、この娘、面白いのよ。レベルがあるんだって、ゲームみたい。現在レベル4だって。」
「ほぉー、レベルが上がると強くなるのか。今4なら攻撃魔法が使えるくらいか?ファイアーとかで弱い威力を与えるくらいか?」
「それがねぇ、ロープを火で切るくらいだって。攻撃魔法でさえない只の生活魔法だし。もう笑いを
「もう、酷いです亜里沙さん。私だってもっと努力すれば攻撃魔法くらい使えるようになるんだから。」
「あなた、身長もでかいし、胸もでかい割に、気が小さいわね。」
「亜里沙さんがでかすぎるだけです。私のほうがどう見ても大人なのに敬語使ってるし。」
「当たり前じゃない。私はこの国のお姫様よ。いずれはこの国の王妃。日本を信長が統一したら日本の女王様よ。」
「その前に信長さん殺されなきゃ良いですけどね。」
「もう絶対ェー教えねぇー。」
「そんなぁ~、もう言わないから教えて下さいよぉ〰〰。」
「いや、本当に教えられないんだ。神様の言うことは・・?」
「絶対?・・・」
「そう。」
「王様ゲームかよ・・」
「所詮は神様都合で進んでいく神様ゲームだろ。神と神が戦っているんだ。オレたちはその駒に過ぎない。だから、かんたんに脱落しないようにしないと。お前も体を鍛えてレベルを上げろ。それまでは銃を貸してやる。」
「銃なんて撃てません。って銃があるんですか?」
「チナチアットに乗ってきたんだろ?あんな翼のない飛行機があるのに銃がないわけ無いだろ。」
「そりゃそうですよね。」
「銃がありゃ京まで行けるだろ。それともここで訓練するか?でも、魔法については教えてあげられないぞ。魔法は努力して獲得したんではなく神が貸してくれたものを使っているに過ぎないみたいだ。だから、教えてあげることは出来ない。車があってもそれを使うことは出来るけど、作ることは出来ないのと一緒だな。」
「そうなんですね。」
「だからレベルが上がれば魔法が貰えるんだろ?どうすればレベルが上がるんだ?戦えばレベルが上がるのか?4までどうやってレベルが上った?」
「野盗と戦いました。」
「そうか。じゃあ、兵と訓練してみろ。それが一番だ。」
その日から、兵との訓練が始まった。女性だからだろうか。あまり厳しくはされない。柔術のような戦いの訓練と銃の訓練が主だ。こんなんでレベルが上がるのだろうか。
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