第102話 明かされた真実
「あれ?亜里沙、信行に奴隷にされたんじゃなかったの?」エリカは心から安堵しているようだ。
「信行に奴隷にされるわけないじゃない。ずっと奴隷のふりをして動向を探ってたのよ、神のお願いで。ダーリンにだけはこっそり事情話して探さないように言ってたけど。」
「信長様はご存知だったのですね。だから大丈夫と仰ってたのですか。なるほど。」千奈も知らなかったようだ。
「亜里沙さん、会えないかと思ってました。会えて嬉しいです。陛下は信長殿の格さんになるらしいですから僕は亜里沙さんの部下にしてください。陛下の部下と兼任ですが。」
「オッケー、部下にしてあげる。部下になる条件は私を笑わせることよ。これで3人目?」
「ところで神のお願いってなんだったんだ?」
「なんでも、あの交差点で神が無茶した目的というのが在る男をこの世界に転生させる為だったんだって。私達はその巻き添えらしいわ。」
「何だ、俺達は巻き添えなのか?俺と、亜里沙と、政勝と、信行と義信か。」
「あ、僕もです。」
「盧将軍もあの交差点にいたのか?」
「そうなんですよ、亜里沙さんから聞いてないですか。でも、ひどい話ですよね。でもその御蔭で亜里沙さんにも会えたし二二〇〇年の技術であんな飛行機にも乗れるし悪いことばかりじゃないですよね。」
「巻き添えのお詫びに能力与えて楽しい人生を送れるようにしたらしいわね。」
「神はなんでその男をこの世界に呼びたかったんだ?」
「そこは聞いてない。」
「信行と義信とその男とどんな関係があって亜里沙が監視してるんだ?」
「信行と義信が朝鮮を自分の国にしようと企んでいるんだけど、その男は今朝鮮の王様らしいよ。監視して信行と義信が王城を襲おうとしたら、それを
「だったら皇帝達一行を沖縄まで送ってくれ。」
「沖縄のどこよ。」
「首里城の北にコーヒー農園造ったんだ。そこにセスナを停めてある。」
「もう、コーヒー農園造ったんだぁ!家も?」
「あぁ、家も建てたぞ。」
「うっわぁ〰、楽しみぃ〰!じゃぁ沖縄行く人そこに並んで。じゃぁ行くわよ。」
中国からのお客様と亜里沙は首里城へと転移した。そこからコーヒー農園が見えるので更にコーヒー農園へと転移した。セスナは何事もなく無事に停まっていて、その横には邸宅が優雅な姿で存在している。
「これ?日本のお城なんかよりよっぽど良いわぁ!やっぱ、洋風よね。良し。ここは私の別荘にするわ。」
「でしたら僕も住んでもいいでしょうか。」盧将軍は本気で懇願する。
「おい!お前の住む場所は紫禁城だろ‼」激怒の皇帝
「はい、ごめんなさい。」盧将軍は少し泣き顔になった。
「でも、別荘にはちょうどいいな。海もよく見える。信長に言ってくれ。海岸沿いに早くホテルを建てろって。」
「うん。わかった。それと、合弁会社の件は私が朝鮮から戻ったら紫禁城まで行くから。それじゃ、私朝鮮に戻るから。ごゆっくり。」
亜里沙は信行の本拠地であるチェジュ島まで転移した。既に、武田義信と織田信行は戻ってきていた。
「帰蝶、遅かったな。何をしていたんだ?」信行がにやけながら尋ねる。
「ナニもしていません。女性はトイレが長いものです。一緒に入りたいのですか?」
「そんな訳無いだろうが!人を変態みたいに言うな。」
「私がいた世界ではクラブでトイレに女性を連れ込んでやっている男がよくいましたから。」
「俺もいた世界だ。同じだよ。だったら今から一緒に行くぞ。」
「いえ。もう出すものが有りませんので行けません。」
「俺には出すものが有るぞ。だから行くぞ。」
「でしたらお一人でお行きください。」
「お前は俺の奴隷だろ!」
「はい。私は信行様の奴隷です。何なりとお申し付けください。何でも言うことを聞きます。」
「どうせ聞くだけなんだろ。」
「いえ。聞くだけではありません。」
「ほ、ほんとうか?では寝室に行くぞ。」
「いやです。」
「さっき、聞くだけじゃないと言っただろ。」
「はい。聞くだけではなく反論もしました。」
「もういい。」
「それで、王城は攻撃したのですか。」
「お前がいなくなったんだから中止したに決まってるだろ。」
「それじゃあ、私一人で行ってきます。ここで待っていてください。」
「そうか。お前なら大丈夫だろ。良い報告を楽しみに待ってるぞ。」
そして、亜里沙は漢城府の王城まで転移した。漢城府は李氏朝鮮の首都であり、未来のソウルだ。
転移はしたが神に聞いた情報が少なすぎて亜里沙はどうして良いか分からない。単に武田義信達から守れとしか聞いていない為その理由さえ分からない。ほとほと困ってしまった。やはり本人から聞くしかない。聞けば何かわかるだろ。亜里沙は王城の中へと入ることにした。
「すいません。あー、あんにょんはせよぉ」
「(朝鮮語)【何だ、何か用か?】」衛兵は冷たい目線で言い放つ。しかし、亜里沙には何を言っているのか分からない。
「王様に会いたいんですが。」
「(朝鮮語)【お前、さては外国人だな!明人ではないな、となると日本人だな!】」
衛兵は亜里沙に槍を向けてきた。未来も昔も朝鮮人は日本人が嫌いなようだ。しかし、ここで敵対するのもまずい。戦いになれば信行の思う壺だ。亜里沙は消えた。
「(朝鮮語)【おい、き、消えたぞ!何だったんだ?幽霊か?】」
「(朝鮮語)【女の子の幽霊だったな。】」
そのころ亜里沙は那古屋城にいた。
「もう送ってきたのか?早かったな。」
「ソウルに行ってたのよ。言葉が通じなくって。千奈も一緒に来て。」
「えー、こっちは楽しかったのに・・・」千奈は名残惜しそうにしている。
「あなた、人間みたいなこと言ってるわよ。さぁ文句言ってないで行くわよ。」
亜里沙は千奈とともにまた漢城府の王城に転移した。
「(朝鮮語)【また出たぁ!今度は白い女と一緒だ。雪女か?】」
確かに色白でプラチナブロンドの千奈は全体的に白く雪女に見えないこともない。このままでは埒が明かないので千奈が衛兵の話しかけた。
「(朝鮮語)【王様とお会いしたいのですが。取り次いでもらえないでしょうか。】」
「(朝鮮語)【な、何だ。人間か。王様に合わせることはできん。】」
「(朝鮮語)【日本から来ました。日本の王の使いです。そう王様にお伝え下さい。日本の王様は明の皇帝の友人です。】」
「(朝鮮語)【そうですか。暫くお待ちくだされ。伺って参ります。】」
そう言うと一人の衛兵が面会の許可をもらいに行った。
十数分後、未だ戻ってこない衛兵に苛立ちが募る亜里沙がいた。
「もう、一体何なのよ。何時まで待たせるの?こんなことなら忍び込めばよかった。」
「忍び込んだら信用が遠のきますよ。」
更に待つこと数分、衛兵が息を切らせながら走って戻ってきた。
「(朝鮮語)【王様がお会いになられます。】」
亜里沙と千奈は衛兵に先導されて王城の中を見回しながら王の元へと歩いている。王城は小さな紫禁城と言った様相で平屋の建物がいくつもあり渡り廊下でつながっていたりする。いくつもの区画があり塀で分けられている。
いくつかの区画を通り一際豪華な建物の前へと連れてこられ中へと案内された。
「(朝鮮語)【王様、連れてまいりました。】」
「(朝鮮語)【そうか。入れ。】(日本語)日本からやってきたそうだな。
そう言われて亜里沙と千奈は面を上げた。
「お、おまえは!」王様は驚いた顔をしていた。
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