第92話 コーヒーが飲みたい 1
一方、チナチアットに戻った帰蝶達は韓国ドラマを見ていた。既にちなちナットのリビングの床はフローリングが張り巡らされモニターの前にはテーブルとその周りを座り心地の良さそうな真っ白い牛革のソファーが囲んでいた。ただ、それはリビングのモニター前の一角でまだかなりの空間が空いていた。
「いやー、しかし、韓国ドラマはツッコミどころ満載で面白いわ。」帰蝶はここ最近韓国ドラマに嵌まっている。
「見るべきところを何故か見ないし、言うべきことを何故か絶対言わないし。悪人が神がかり的に運が良くって、最後の最後で大負けする。悪人は徹底的に悪人だし、善人は徹底的に善人だし。面白いといえば面白いけどストレス溜まるわ。」エリカもどっぷりと韓国ドラマに嵌まっている。
「やっぱり、ドラマ見るときはコーヒーが飲みたいな。」梨乃はコーヒーが好きなようだ。
「ダーリンがコーヒー豆探しに行くためにこの飛行機造ったんだった。そう言えば。」
「本当?だったら、探しに行きましょうよ。アフリカに。」梨乃は嬉しそうな顔で身を乗り出した。
「千奈、アフリカまでどれ位かかる?」
『一度宇宙空間に出れば10分ほどですね。』
「今、収穫できるの?」
『実をつけるのが6月から8月です。現在8月末ですので、日本では7月ですが、収穫時期と言えるかもしれません。』
「じゃあ、明日行くことにする。」
『時差が7~9時間ほどあります。現在19時ですのでアフリカは未だ午前中です。今から行った方が良いかもしれません。』
「ほんと?だったら、向かって。」
『すでに到着しています。この会話は予想していましたので。』
「予想していたと言うより、誘導したでしょ?」
『・・・・』
帰蝶はコーヒー豆を信長と三好政勝へのお土産にも持って帰ろうと考えて電話をかけた。
「そう言えば最近操縦席にだれも入ってないよ、これも千奈のおかげ、便利だね。あ、もしもし、ダーリン?今、アフリカなんだけど。」
『あ、アフリカァ?何しにてるんだ?』
「コーヒー豆を買いに来たのよ。だから、どこの豆が好きかなと思って。」
『モカだな。だからエチオピアだったかな?千奈が知ってるだろ。あるんならアラビカ種も欲しいけどな。千奈に聞いて買ってこいよ。あ、胡椒もな。』
『アラビカ種もエチオピアです。モカという名はイエメン産とエチオピア産の豆がモカという名の港から出荷されたことに由来します。イエメン産はモカマタリと言われています。但し、これはコーヒーが一般的になった後の情報です。16世紀の現在では未だ分類がなされていない可能性があります。』
『なるほどな。後、苗も買って来いよ。色んな種類が欲しい。ちゃんと分類してこいよ。沖縄で育てるから。』
「了解でーすぅ。」
『誰の声だ?』
「梨乃よ。」
『やっぱり、俺の嫁になる気はないか?』
「もう、どうして男は皆言うことが一緒なの。」
『それはお前が綺麗だからだろ。』
「あら、ありがとう。でもいいの?亜里沙さんが横で聞いてるわよ。」
『誰だよ、亜里沙って?』
「あんたの妻よ!」亜里沙が怒鳴った。
『何だ、お前か。何時から亜里沙になったんだ?』
「前世でそうだったのよ。帰蝶って名前っぽくないでしょ。」
『俺はずっとそう思ってたぞ。変な名前だなぁって。』
「死ね!本能寺で豆腐の角に頭をぶつけて殺されてしまえ!」
『そんなに怒るなよ。』
ガチャッ
因みにこれは効果音だ。千奈が好きで付けたらしい。
「それで、アンドロイドは出来た?出来ないとヨーロッパにいけないよ?」
『完成までもう数日いただきます。』
「どの辺りま出来てるの?」
『あと顔を残すのみです。梨乃さんを越える美人にしないと許さないと信長様がブツブツ言ってます。耳の後ろの音声骨伝導伝達装置があるので独り言が聞こえて来るんです。』
「梨乃を諦められないみたいね。嫁になってあげたら?このチナチアットと同じような飛行機が手に入るかもよ。」
「駄目よ、明と戦争になるわよ。」
「なにそれ?本当に傾国の美女ね。まぁ、ダーリンにはロボットダッチで良いか。」
『先程、信長様から半重力推進エンジン製造の為の材料をタイタンまで取りに行く場合の時間を聞かれました。信長様は行く気ですね。』
「どれくらいかかるの?タイタンまで。」
『17カ月です。』
「そりゃ、難しいわ。そんなに長い時間留守に出来ないでしょ。まぁ、年齢的に仕事が少ないからまだ可能かもしれないけど。まぁ残念ね梨乃。妻になるなら彼は土星迄でも行くんでしょうけど。」
「仕方ないわ。飛行機諦める。」
「そうよ。今は16世紀よ。馬車で我慢しなさい。」
「うん。でも、後ろ髪がひかれるなぁ〰。み、未練が・・馬車か〰・・・臭くないかな?・・遅いよなぁ〰・・・乗り心地悪そう・・エアコン付いてないよねェ〰・・馬車だと中国広いのに時間かかり過ぎない?う〰〰ん・・」
「ちょっとぉ、どれだけ後ろ髪惹かれて悩んでるのよ。やっぱり、なれば?そうすれば、何でも作ってくれるわよ。子供とか。ドラマも見れるし。」
「ドラマかぁ〰〰・・ん〰〰、それは外せないなぁ。映画も見たいしィ〰・・ゲームもしたいしィ〰・・・ネトゲはないよねェ〰・・う〰〰ん・・」
「見たい時はこのチナチアットで見れば良いんじゃないの?」
「そうだね。見たい時はここに来る。」
「まぁ、私達は数日後にはヨーロッパだけど。中国とは同じ大陸だからむしろ近くなったと言えない?」
「むしろ遠いわよ!でもそう言ってたね。ヨーロッパには連絡着かないの?」
『暫くは無理です。衛星が間に合ってません。現在は私の分身作成と那古野城地下の工場用の製造マシーンに全力を傾けてますから。』
「暫くお別れね、梨乃。」
「う〰〰〰、ドラマが見れないィ〰。続きが気になるゥ〰。レンタルショップはないしィ〰。」
「取り敢えず、コーヒー豆探しに行くわよ。千奈、私にも音声骨伝導伝達装置を頂戴。これでいちいち電話する必要もないし。映像はコンタクトレンズは怖いからハエ型ドローンで見て。しかし、名前長すぎ。英語で言うと『Sound Bone Conducting
Transmission Device』SBCTD ね。BCTで良いわね。」
『コンタクトレンズは角膜も保護しますし、かなりの攻撃からも角膜を守れます。ドロ-ンからの映像も見れます。』
「銃弾も大丈夫?」
『銃弾の場合は眼底骨折します。しかし、亜里沙様の周りには常にバリアが張り巡らされている状態であることが確認できますので、銃弾はそこで防がれると思います。』
「へえ、知らなかった。みんな準備は良い?日焼けには気を付けてね。行った事無いから出口から出て目視して転移するから。」
そして三人はエチオピアのアディスアベバに降り立った。
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