第84話 秘密の露見
一方首里城の上空100メートル付近のチナチアットではこの緊急事態に大騒動が持ち上がっていた。
「ちょっと千奈、早くもバレちゃったじゃない?しかも、首里城からの攻撃もバリアで全然効いてないみたいだし。どうするの?」
『想定外ですね。もしかして首里城にレーダーで近くに誰がいるのか分かる装置か能力かを持つ人でもいるのでしょうか?』
「当り前じゃない。義信は地図の能力を持ってるからそれで近隣に誰がいるのか分かるのよ。」
『それはデータにありませんでした。教えて頂いていたら対処できたのですが。』
「ちょっと亜里紗。そんな重要な情報をAIに教えてなかったの?それじゃ情報分析にも穴が開くわよ。」エリカの時代の器機だけあって使い方を良く心得ているようだ。
「そんなこと言ったって、AIはなんでの知っていると思うもの。」
「何でもは知らないわよ。情報を与えないと。まぁ、今は情報収集に余念がないようだけど。」
「そんなこと話してる暇はないわよ。今はダーリンが危険。殺されちゃうかも。あの人、一見強そうに見えて、土魔法に特化しちゃって攻撃魔法も防御魔法も全く使えないから一般人と同じよ。強い攻撃受けたら一発よ、一発であの世行き、今度は何処に転生するのやら。」
『それで検討したのですが、帰蝶様がバリアの中へ転移して吉法師様を連れてここへ戻って来られれば、最高速度で月へでも移動しますが。』
「私は行った事がある場所じゃないと転移できないの!」
『それは、転移先の状況が分からないからであって、現在はバリアの外からですがハエ型監視ドローンで内部の状況は確認できますし転移できるのではないでしょうか。』
「そうだよね、やってみるわ。」
帰蝶はチナチアットから消えた。転移できたようだ。
帰蝶は出現した。しかし帰蝶はバリアの上に立っていた。結局は、厚熜のバリアは次元の連続性を切断している為、帰蝶は次元の壁を越えられなかった。
バリアの上に立っていた事に気付いた帰蝶はまたチナチアットに転移して戻った。
「やばい!転移できなかった。バリアの上に立ってたわよ。ダーリン達は首里城の方を見てたから気付いてないと思うんだけど。どう言う事?」
『原因不明です。情報が不足しています。そもそも帰蝶様の能力もその科学的根拠が不明ですので。』
「そうなんだ。千奈、他に手は無い?ダーリンが殺されちゃう。もしかして、あいつの名前は明智光秀?」
「止めてよ、亜里沙。変なこと言わないで。大丈夫、大丈夫よ。彼は大丈夫。」エリカは大丈夫と言いながらその根拠は一切なかった。ただ、帰蝶にそう信じていて欲しかっただけだった。
そして、厚熜の張ったバリアの中では戦いが始まろうとしていた。
「お前が吉法師なのか?騙したな。お前を殺して八つ裂きにしてやるぞ。死ね!」
そう言うと皇帝厚熜はデコピンを放った。
そのデコピンは普通のデコピンとは違う。
速度も重さも違っていた。
速度は緩やかで重さもなかった。
吉法師は迫り来る死に目を閉じた。
デコピンが頭を直撃した。
「はっ、死ぬかと思ったか?目を閉じて死ぬかと思ったのか。はーははははっ、冗談だ、冗談。お前が吉法師なのは最初から分かっていたぞ。最初は確信は無かったが途中から確信に変わった。そもそもお前が着ていたのは日本の服だろ、しかも、日本語しか喋れないし、どう見ても日本人だろ。なのに、中国人の振りしてるし。明らかに素性がバレてはいけない人間という事だろ。その上で土魔法が使えるのなら答えはおのずと分かるだろ、お前が尾張で銃を作って力を付けてきている吉法師。そして、その正体は織田信長だろ。」
「いや、ほとんど当たっているが、俺は織田信長ではないぞ。吉法師だ。」
「それは、未だ元服してないからだろ?」
「まぁ、それはそうなんだが。俺は織田信長に殺されない様に、これまで織田信長が歴史的にやったことを先にやったりしてたんだが。織田信長の幼名が分かれば誰が織田信長か分かったんだがな。俺は違うぞ。」
「いや、お前だ。吉法師が織田信長の幼名だ。知らなかったのか?誰も教えなかったのか?お前の周りにはお前以外に転生者がいないんだろ。だから知らなかったんだな。」
「いや、俺の周りは転生者だらけだぞ。5人は居るぞ。」
「五人もいてだれも教えなかったのか?それは酷いなぁ。まぁ、とにかくお前が織田信長だ。だから、信長がお前を殺しに来ることは無いぞ。」
「そうなのか。おれは、信長が現れないように元服したら俺が信長と名乗ろうとは思っていたんだが。なんで帰蝶は黙っていたんだ?」
「何だ、お前の妻も転生者なのか?そりゃ遊ばれてたな。」
このバリアは外の声や音は聞こえるように設定してある。聞こえないと不便だからだ。だから、信行の声も聞こえた。当然中の声も外に漏れる。そう、この会話を帰蝶たちも聞いていた。
ずっと騙していた事が吉法師にバレた。帰蝶は青い顔をしていた。
帰蝶は決心した。
私も知らなかった、皇帝が言ってたのを聞いて初めて知ったわと言おうと。
「だからお前を部下にしたつもりは無いぞ。」皇帝厚熜は言う。
「そうだな、部下にはなれないな。」
「だから、お前と同盟を結ぶ。お前は未だ小国尾張の主でさえない。しかし、織田信長のネームバリューがあるから国ではなくお前と同盟を結ぶ。俺は力やその他を提供する。お前は飛行機を提供してくれないか。」
「そうだな。妻に聞いてみないと。鬼嫁だからな。」
「そうなのか?鬼嫁か。・・怖いな。」
「今度合わせるよ。」
まさか転移で直ぐに来れるとは言えない。能力がばれてしまう。たとえ同盟を結んでも秘密にしておいた方が良いだろう。特にチナチアットの事は。
「じゃあ、琉球国の征服は今度で良いか。それともお前が使うならやるぞ。その代りリゾート地に変えてくれ、ホテルを沢山立てて。そして俺にも使わせろ。」
「そうだな。俺がリゾートにしよう。」
二人は未だ征服もしていない沖縄の開発予定を組んでいくのであった。
突如、首里城から叫ぶ者があった。信行であった。
「聞こえてるぞ。何勝手に決めてるんだ?」
「お前らの攻撃が効果が無い事は分かっただろ。殺さずにおいてやる。ここじゃなくて屋久島でも行くんだな。ここで逃げたら追わずにおいてやる。」
「お前は誰だ?漢字が難しくて読めないぞ。」武田義信も叫ぶ。
「それはお前が漢字が読めないだけだろ。」織田信行がすかさず突っ込む。
「じゃあ、お前は読めるのかよ。」
「い、いや、俺も読めないが、そうだこれは中国の文字だ。だから読めないんだ。」
「あー、そうだ、そうに決めた。中国の文字だ。」
信行も義信もくだらない事を言い合い始めた。
「そうだ、中国の文字だ。俺は中国、明から来た、皇帝
「おい義信、どうする?ここは逃がしてもらうか。」
「そうだな、攻撃が効かないんじゃ如何しようも無い。」
「あー、そうだな。逃げて、どうするか決めよう。済州島に転移しろ。」
「あー分かった。テレポーテイショントゥーチェジュアイランド。」英語っぽく行っただけだ
そう言って織田信行と武田義信は首里城から消えてしまった。
する遠くから人が飛び出してきた。
明の宰相
「(中国語)【厳嵩、無事か?】」皇帝は中国語で無事を喜んだ。
「(中国語)【おかしいんです。あいつらの言う事に逆らえなくて。一体どうしたんでしょう。】」
「(中国語)【あいつ等の魔法で従わされてたんだ。気にするな。中国へ帰るぞ、準備しろ。】」
「(中国語)【承知しました。】」
「吉法師、同盟の成立の為にまた紫禁城に来い。何時でも良いからな。今は仮契約だ。」
「今度、妻連れて行くよ。」
「しかし、あいつら、転移魔法でも使えるのか?急に居なくなったぞ。」
「ほ、ほ、ほんとうか?し、知らなかった。そ、そ、そんなことが、で、出来るやつが、い、居るのか?」
吉法師は知らなかった振りをしたが、芝居が臭かった。上空で帰蝶が大笑いしていたのは言うまでもない。
「ほ、ほ、本当か・・って、どんだけどもるのよ。し、知らなかった、そ、そ、そんな・・って、ど、ど、ドモリ過ぎぃ、ひぃーーーっ、って芝居へたくそか。ひぃっひっひ引ひっひっひ、も、も、もう笑わせないでぇ。」
「亜里紗、大丈夫?あんた笑い過ぎぃ。あーっはっはっはっ。」エリカも笑いを堪え切れなくなった。
こうして吉法師との同盟を結び明の皇帝
日本は再び平和になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます