第4話仕事探しは・・・・

今日こそは仕事をしてくれる仲間を探すぞと意気込んで城下町へと出かける吉法師であった。


季節は8月、尾張の夏は日本でも指折りの暑い季節であり、強烈な日差しが降り注ぎ地面を温め、地面からのムシムシした熱気が歩く人々を包み込み疲れさせて行く。吉法師はそのムシムシした熱気の中を歩いて行くが五歳の体には負担が大きく容赦ない熱気と高い湿度が吉法師の水分と体力を奪い続けて行く。


やっとのことで吉法師は町へと辿り着く。五歳の体には距離があり過ぎる。城下町を抱える勝幡城しょうばたじょうは城と呼ぶにはあまりにも小さく、その町も町と呼ぶには小さかった。

しかし、喉が渇いた。吉法師はコンビニを探す。しかし、コンビニがあるはずもない。

彷徨い歩く事暫し、後ろから呼ぶ声が聞こえる。


「若様ぁ、こんなところで何をなさってるのですか。」


「いや、のどが渇いたからコンビニを探してたんだが・・」


「こんび・・、何を訳の分からない事を。」


「今日は室町御所の生活についての勉強・・・って若ぁ!どこ行ったんですか若ぁ!」


「ふぅ、良かった隠れられて。今更大昔の事勉強してどうするんだ。」


「若ぁ、ここにいたんですか、探しましたぞ。」


「俺は忙しいんで、これで・・・」


「駄目ですぞ、お城へ帰りましょう。勉強が待ってます。」


「だったら、爺の室町幕府に関する質問で俺が答えたら今日は勉強無しという事で良いだろ?」

「分かりました。では質問します。室町御所を建てた人はどなたでしょうか。」


「大工さんだろ。」


「正解。なわけ無いでしょ。さ帰りますよ。」


手を引かれてお城に帰る吉法師五歳であった。

あ…仕事探しは・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る