夜明けと月ウサギ
石上あさ
第1話
月の裏側で 膝をかかえた
ウサギの耳に歌がきこえた
もう店じまいにしようとしたとき
星の鳥がささやきかけた
そのときウサギは思い出した
届いた炎は まだ消えないままここにあること
※
翼を得た唄が 僕の空まで伝わったから
顔をあげれば光が見えた
すべての真夜中を貫いて
朝が目を覚ました
ここまで伸びてる足跡ですら
この道の先 知らないけれど
うずくまるたびに胸に響くのは
諦めない誰かの歌声
そうだろ いつでも変わらない
もらった鼓動が途切れながらでも脈を打つこと
※
パレードの喧騒が 心の窓をノックするから
開いたとたん風が通って
希望で膨らんだカーテンが
踊るように揺れた
いつの日か この壁を越えて
誰も見たことのない山の上で
世界が生まれ変わる
その瞬間を見届けるため
※
翼を得た唄が 暗い夜さえ照らしてくれて
どこにいようと光が見えた
すべての暗闇を染めあげて
新しい朝日が
パレードの喧騒が心の窓をノックするから
開いたとたん風が通って
心を躍らせたカーテンが
踊るように揺れた
笑うように舞った
夜明けと月ウサギ 石上あさ @1273795
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