夜明けと月ウサギ

石上あさ

第1話

月の裏側で 膝をかかえた

ウサギの耳に歌がきこえた


もう店じまいにしようとしたとき

星の鳥がささやきかけた

そのときウサギは思い出した

届いた炎は まだ消えないままここにあること


翼を得た唄が 僕の空まで伝わったから

顔をあげれば光が見えた

すべての真夜中を貫いて

朝が目を覚ました



ここまで伸びてる足跡ですら

この道の先 知らないけれど


うずくまるたびに胸に響くのは

諦めない誰かの歌声

そうだろ いつでも変わらない

もらった鼓動が途切れながらでも脈を打つこと


パレードの喧騒が 心の窓をノックするから

開いたとたん風が通って

希望で膨らんだカーテンが

踊るように揺れた



いつの日か この壁を越えて

誰も見たことのない山の上で

世界が生まれ変わる

その瞬間を見届けるため



翼を得た唄が 暗い夜さえ照らしてくれて

どこにいようと光が見えた

すべての暗闇を染めあげて

新しい朝日が


パレードの喧騒が心の窓をノックするから

開いたとたん風が通って

心を躍らせたカーテンが

踊るように揺れた

笑うように舞った


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夜明けと月ウサギ 石上あさ @1273795

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