第44話 ウィズの為に
ハイ! ハイ! ハイ! ハイ!
イェイ! イェイ!イェイ! イエェイ!
ハイ! ハイ! ハイ! ハイ!
イェイ! イェイ!イェイ! イエェイ!
ハイ! ハイ! ハイ! ハイ!
イェイ! イェイ!イェイ! イエェイ!
俺は、手拍子パンパンパンやって叫んだ。
はい、と言うわけでドラゴンの里に帰ってきたんですけども、これからも頑張っていかないといけないなぁ~なんて、みんなで話したんですけどね。
で、何からやるんだ? って、ウィズのバカが言ってきたもんだから、バカ野郎、何も考えてないよ!
って、俺が言ったら、みんな大笑いした訳なんですけども、
「はっ!」
俺は、漫才師になった夢を見ていた。
汗で、服がビショビショになっていた。
「なんて夢だ」
ホントに夢で良かったと思った。
ドラゴンの里に帰って、数日が過ぎた。
毎日平和なのだが、暇だ。
ま、最近が異常だったんだよ。
あれだよ、
スローライフ?
そう、ほのぼのだ。
人気になりてーんだよ。
誰に?
いや、いいじゃん。
と、言う訳で、今回は、スローライフに挑戦する俺。
挑戦しつづける俺、かっこいい。
俺は、早速、軽キャン村を散策する。
散歩、スローライフッぽいね、うん。
「おう、ウィズ!」
俺は、出会った第一村人のウィズに話しかけた。
ウィズは、バドミントンのライバル、勇者 前川がいなくなって、寂しそうだ。
女だ!
俺は、思った。
女がいないの、ウィズだけじゃん。
かわいそうじゃん!
と、言う訳で、答えは、わかっているが、聞いてみる。
「ウィズ、女が欲しいか? あー、イエスがノーで答えろ。 ごちゃごちゃ言われても、読者が飽きる」
俺は、真剣な眼差しで、ウィズに聞いた。
「い、イエス」
ウィズは、???? となっているが、気にするな。
こっちの事だ。
さて、なら、決まりだ。
はい、スローライフ終了。
「じゃ、行くぞ!」
俺は、ウィズの手をとり、走り出す。
俺は、レイラと、プロムの元に行って、ウィズの女を探す事を伝えた。
「あ、そう。 夕飯までにかえってくる?」
レイラが聞いてきたので、ウィズを見る。
うん、時間かかりそう。
「数日かかるから、俺の分用意しなくていい、後、俺がいない間にヘリウスが来たら、酒とツマミだしてやってね」
俺は、言った。
ウィズが、えぇ? って、変な顔をしたが、無視だ。
俺とウィズは、ミロースを探して走る。
いた。
いつものように、ヘリウスと、軽キャン村に向かって歩いてくるのが見えた。
「ミロース! 町まで、いっちょ運んでくれ」
俺は、笑顔で言うと、ヘリウスが、ビールどうするんだと、怒ってきたが、レイラ達に、頼んであると伝えると、ミロース好きに使って良いと言い残して、軽キャンに走って行った。
「で、どこに行くんだ?」
ミロースが、納得いかない表情で聞いてくる。
「んなもん、女いるとこなら、どこでも良いよ」
と、俺が言うと、ミロースは、少し考えてから、ドラゴンに変化する。
そして、乗れと背中を俺達に向けた。
俺と、ウィズが、よいしょと乗り込むとミロースが羽ばたき、空に浮かんんだ。
「ウィズ! お前にぴったりの女が見つかるまで、妥協すんじゃないぞ!」
俺は、ウィズに忠告する。
焦って、変な女に引っ掛かったら可哀想だからね。
ウィズは、俺の言葉に大きく頷いて、真剣な顔つきになる。
「んで、タイプは?」
俺は、調査の為、ウィズを尋問する。
「え、えーと、わかりません」
ウィズが答える。
そうだよね、質問が悪かった。
具体的じゃないと、ウィズは答えらんないよな。
「んじゃね、おっぱいは、大きい方がいい?」
ウィズは、いっちょまえに腕組して考える。
「わかんないっす」
ウィズが答えた。
考えて、それか! と、思ったが、俺は、優しいので、そうかとだけ答えた。
「可愛い系と、綺麗系どっちが良い」
ウィズは、また、いっちょまえに腕組して考える。
「わかんないっす」
ウィズが答えた。
うん、俺が間違っていた。
めんどくせぇ、取り合えず、女の子であれば、良いだろうと、俺は思った。
ミロースが、飛行を続けてくれる。
なんか、集落に着いた。
ミロースが着地したら、蜘蛛の子を散らすように、村人が去った。
俺と、ウィズが人っ子一人いなくなった広場に降り立つ。
「あららー」
俺が、どうしようと思ってたら、村人が家屋から続々出てきた。
よかった。
って、みんな、手に武器をもってる。
「て、撤収」
ミロースの背中に飛び乗り、飛び立ってもらった。
「ミロース、いきなり集落の前に降りたら、騒ぎになる。 今度は、居住地から少し離れた場所に降ろしてくれ」
俺が言うと、ミロースが、わかったと言った。
素直でうれしい。
俺達は、次の地へ向け飛んでい……ウィズを乗せ忘れた!
すぐに引き返す。
村人に追われながら、ウィズが必死に走っていた。
すぐに回収してあげた。
改めて、ミロースが次の集落に向けて飛ぶ。
「ミロース! あそこ! あそこに集落がある!」
俺は上空から、集落を見つけた。
ミロースが見落としたのか通り過ぎようとしたので、ペシペシ叩いて言った。
「あそこは……まぁ、良いけど」
ミロースが言って、下降を開始した。
集落の手前に降りた俺達。
ミロースが人化したが、裸なので、このまま行ったら、先程と別の意味で注目されてしまう。
ミロースに俺の上着を着せた。
意気揚々と集落に入って行く俺達。
村人に対する俺の第一印象は、みんなデカイ、だった。
取り合えず、コンタクトを取ろうと、歩きだしたら、囲まれた。
「貴様、この村に何用だ?」
デカイ男が言った。
頭に角が生えてる。
鬼?
と、考えていると、
「黙っていないで、答えろ!」
と、別の鬼さんが言った。
「嫁さん探しに来た」
正直者で通っている俺は、正直に答えた。
鬼さん達が、ヒソヒソ話をしだした。
うん? 感じ悪いぞ、お前ら!
と、思ったが、怖いので、顔には出さないでニコニコと、大人の対応をする俺。
「ヒロシ、ここオーガの里じゃん」
ウィズが俺に耳打ちしてきた。
オーガかぁ、もっと荒々しい感じで半裸のイメージがあったけど、なんかデカイけど、なんて言うか、普通だ。
角がある以外、人と変わんないな。
「この村に人間と、つがいになるような者は、いない。 立ち去るがいい」
オーガのアンちゃんが言った。
そんなこと、出きるか! 今さら、別の場所に行けるか! めんどくせぇ
と、叫びたいが、デカイ奴等を刺激して、痛い目に合うのは、ごめんだ。
さて、どうする?
「ちょっと、村で、休憩くらい良いんじゃないか?」
ミロースが言った。
ナイス!
俺は、ミロースに乗っかる。
「疲れた、疲れた、あー疲れた、休憩させてくれぇー」
と、主演男優賞なみの演技した。
えぇ~帰らないの? と、露骨に嫌な顔をされた。
だが、
「休んだら、出てけよ」
そう言って、オーガのアンちゃん達が解散していった。
「そんなに、疲れたんですか?」
ウィズが、俺に言った。
ミロースが、驚いた顔をして、ウィズを見ている。
「いや、あのね、ウィズ、演技だから」
と、教えてあげた。
ここで、ウィズの嫁さん見つける!
と、心に誓い歩きだす。
なぜなら、
もう、
すでに、
めんどくさいからだ!!
オーガの村を、ぶらぶら歩きながら、年頃の娘さんをチェックする。
「ウィズどうだ? 気に入った娘さんいたか?」
俺は、ニコニコしながら聞いた。
「いや、突然すぎて……」
キョロキョロしながら、ウィズが答えた。
村の中、女性をジロジロ見て歩く野上とウィズ。
ウロウロ、ウロウロ。
完全に不審者であった。
「ヒロシ、休憩しないか?」
村民の不審者を見る視線に耐えきれなくなったミロースが言った。
「そうだな、ウィズ、ミロースあの店に入ろう」
俺は、喉も乾いていたので、ミロースの提案を受け入れ、近くの食堂に入る事にした。
店内は、時間帯のせいか、俺達以外、客がいなかった。
外の様子を伺える窓辺の席に着き、よく分からない地酒を頼んだ。
「ウィズは、外を見て、気に入った娘がいたら、教えろ」
俺は、ウィズに任務を与えて、ミロースと、ウィズの嫁さん獲得作戦会議を開く。
俺、
「ウィズは、顔は、悪くないよな? むしろ、良い方だろ?」
ミロース、
「でも、バカだぞ」
俺、
「まあ、そうなんだが、そこで、悪いところが気にならないくらい良いところを伸ばすのはどうだ?」
ミロース、
「長所を伸ばすのか? いいんじゃないか」
俺、
「よし、決まりだ」
俺は、よく分からない地酒を一気に飲み干して、みんなを連れて、店を出た。
向かった先は、服屋。
俺は、店のドアを勢いよく開けた。
「邪魔するぜ」
ヒッ! 厳つい、鬼がいた。
俺は、ちびりそうになったが踏みとどまった。
「あら、お客さん? めずらしい」
厳つい鬼さんは、気さくに話しかけてくれた。
「モテる服をくれい」
俺が言うと、鬼さんの目の色が変わった。
「わかったわ。 私にまかせなさい」
俺を奥へとグイグイ引っ張られていく。
「いや、俺じゃないから、あっち、あっちだ」
俺は、慌ててウィズを指差した。
「あら、ごめんなさい。 彼ね」
鬼さんが、ウィズを見た。
鬼さんが、ウィズを連れていって、しばらくすると、着替えたウィズが戻ってきた。
貴族のような出で立ち。
うん、悪くない。
悪くないのだが……
「少し、インパクトにかけるわね」
基本、裸のミロースが言った。
「たしかに、ウィズらしさが消えた感があるな」
と、俺も続けて言った。
鬼さんの表情が変わる。
「中々、厳しいわね。 がぜん、やる気が出たわ」
それから、鬼さんは、俺とミロースの度重なるダメだしにめげる事なく、ウィズのコーディネートを懸命に繰り返した。
俺と、ミロースも、アイデアをだす。
ひとつの目標に向かい皆が協力しあった。
そして、店の中が、不思議な一体感に包まれる。
「こんなものか」
俺は、肩で息をしながら、言った。
みんな、やりきった感があるようだ。
ウィズの男らしさを強調するため、胸元を大胆に開いたジャケット。
肩には、世紀末感をだすトゲトゲ付き肩パット。
それに、合わせるために、鬼さん愛用のこん棒を持たせる。
更に、ワイルドを演出する為、ズボンはかせない。
下着は、褌で男らしさアピール。
あまり、ワイルド過ぎるのも、女性が引くわ、とのミロースのアイデアを採用した革靴。
少年の心も欲しいわね、との鬼さんの意見から、虫かごと、虫取り用の網を持たせた。
あとは、この鳥の羽がついた鍔の大きい帽子を斜めにかぶらせてジゴロ感を出せば、完成だ。
自分の為に、みんなが頑張ってくれた。
ウィズは感極まっている。
「ありがとうございます」
大きくお辞儀した、ウィズに俺もグッときちゃった。
……しかし、どうしてこうなった?
「ナンパやってみようかな」
ウィズがヤル気満々だもん、何も言えない。
行ってきます。
と、ウィズが店を飛び出して行った。
ぎゃぁー!
ひぃぃぃっ!
きゃーー!
……悲鳴のような声が聞こえた。
恐る恐る、外を見る。
ウィズが、こん棒を振り回しながら、女を追いかけ回してる。
あ! 今度は、一生懸命、網で捕まえようと……必死だ。
「うわ~……」
思わず声が漏れた。
「うん、失敗ね」
ミロースが言った。
ウィズが、ぶん殴られて、戻ってきた。
「すいません、ダメでした。 網が、もう少し大きければ……」
鼻血を出しながら、ウィズが、敗因を分析していた。
何も、言えなかった。
「うん、取り合えず、食堂に戻ろう」
俺は、そう言うと、鬼さんにお礼を言って店を出る。
なんか、村の中が、ざわついてる。
しまった、服屋でウィズを着替えさせて来るべきだったと焦った。
だが、村人は、俺達に興味が無いように、慌ただしく動き回っていた。
「何が、あったんだ!」
ウィズが真剣な顔をして言った。
「プーー!」
思わず俺は、吹き出した。
お前、そんな格好して、わざとか?
とは言え、気になる。
人の流れに乗って行くと、広場に人だかりが出来ていた。
人だかりの中心に、何者かがいる。
俺達は、近くで見ようと、人混みを掻き分けて進んだ。
中心にいたのは、……まさか!
「なんで、おまえが?」
俺は、そいつを睨んで言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます