第24話 ドラゴン退治 その4
俺達の前には化け物と化したリンブ、後ろにはCランク冒険者を食ってるドラゴン。
「まいったね、こりゃ」
流石に俺も、冷や汗が出る。
レイラとプロムは最優先で守らなきゃな、俺の愛する妻達を!
「みんな、戦闘準備だ、装備を開始しろ!」
呆気にとられていたみんなは、俺の号令により正気を取り戻しブレスレットを操作した。
魔導式自動転送装備装置が作動し各々が光に包まれ、装備が完了した。
「この場の指揮は俺がとる!死にたくなければ俺に従え!」
俺は、ウィズに叫んだ。
「わ、わかった、頼む、みんなもノガミに従え!」
ウィズは自分のパーティーメンバーに命令する。
俺は、この場で、少しでも何か言ごちゃごちゃ言って判断が遅れるならウィズ達を見捨てる覚悟をしていたが、ウィズは判断が出来る男のようだ。
「ルファス、プロム、ウィズ、バンはリンブに対応! ドラゴンには軽キャンを盾にしてレイラ、キャスカ、カイ、フィリーがあたれ!魔法も弓も出し惜しみするな!最初から全力だ!」
俺の指示で、みんなが移動を開始した。
ルファスがリンブに素早く近づき一気に袈裟斬りにした。
「!」
手応えの違和感にルファスは距離をとる。
リンブの体がみるみる大蛇へと変化していく。
蝙蝠のような羽の生えた大蛇の姿になったリンブは体をくねらせてた次の瞬間、ウィズへと飛びかかる!
ガキィン!
盾役のバンが手にした大盾をもってリンブに体当たりをして、リンブの軌道がずれてウィズへの攻撃が外れた。
ウィズは、目の前にあるリンブの胴体に剣を叩きつけたが、刃が鱗に阻まれる。
衝撃でウィズは剣を落としそうになるが、踏ん張った。
リンブが体を起こそうとした時、ルファスが走り込んで、リンブの背中に飛び乗りロングソードを突き刺した。
「ギャァィ」
リンブが叫び、頭を背中のルファスに向けようとした時、数本のナイフがリンブの右目に当たった!
その間にルファスはリンブから離れて剣を構える。
リンブは苦痛でのた打ち回った。
そして、ゆっくりと頭をあげ、自分の右目を奪ったプロムを左の目で見据えた。
「キャスカ!お前の愛する者を信じろ!ルファスは勝つ!だから、目の前の敵に集中しろ!」
俺は、遠距離攻撃主体のドラゴン討伐班の指揮をとる。
「わかってるわよ!お兄様が負けるわけないでしょ!」
そう言ってキャスカは上空に上がっていく。
クソ生意気なガキだが便りになる。
「レイラは、目とか急所を精密射撃、カイ、あんたの実力がわからんから、出来るだけ連続でこの矢をはなってくれ!」
俺は、アイテムボックスからレイラ用の大量にあるオリハルコンの矢じりがついた矢をカイに渡した。
カイはドラゴンに向かい弓を構えた後、連射を開始した。
どんどんドラゴンに矢が刺さっていく。
さすがオリハルコン。
ドラゴンの固そうな皮膚に刺さるなんてな。
カイの腕前も、レイラには劣るが、なかなかの使い手のようだ。
「フィリー、あんたの持ってる魔法で一番威力のある魔法をドラゴンに撃ってもらいたい」
俺が言うと、
「詠唱に時間が欲しいですぅ」
そう言ったフィリーに、すぐ詠唱を開始するように伝えた。
レイラは長距離ようの弓を取りだして、限界まで弓を引く。
狙いは目!
その時、ドラゴンの頭動く、俺は嫌な予感がした。
「キャスカ、何かしようとしてる、させるな!」
ブレスレットの魔導通信で指示を与えた。
「わかってるってーの……ファイヤァ!」
その時、魔法少女仕様の強化型マジックロッドがキャスカの魔力を何倍にも増幅した。
そう、何倍にも。
尋常じゃないデカさの火の玉が出現してドラゴンに向かって落ちていく。
あ~、やっちゃった。
俺は、うちの開発部、何作ってくれたの?と思った。
「あわわ、あわわ」
放ったキャスカ自身の想像を越えるモノが出て、キャスカが、あわあわ言ってる。
こりゃ、死んだな俺達。
俺は死を覚悟した。
ドラゴンも自分に向かって落ちてくる隕石みたいな火の玉に気づく。
そりゃ、気づくよね。 デカいから。
ドラゴンは、ブレスを吐くつもりだった。
でも、やめた。
なぜなら、あんなもん当たったら死ぬ、絶対死ぬ。
と思ったから。
ドラゴンは、回避行動に移る。
この場から立ち去るのだ。
素早く思考したドラゴンが飛び上がった。
「キャスカ!軌道修正!」
俺は、キャスカに命令した。
チャンスだ!
「こんのおぉ~」
キャスカは俺の声に反応して隕石クラスの火の玉の起動を変えた!
次の瞬間、
「いっけぇー!」
火の玉の移動速度を加速させた。
「!」
火の玉はドラゴンに向かってスピードを加速していく。
さらに上昇して逃げるドラゴン。
火の玉がさらに加速していく。
遥か上空で大爆発が起こった。
全員呆然としている。
・
・
・
「あの~、詠唱おわったんですけど…」
フィリーが俺に言った。
「フィリー!リンブに当てろ!」
「は、はい~、ファイヤー!」
俺の命令にフィリーが放った大きめの火球は、呆然としていたリンブに見事命中した。
リンブは瀕死の状態 になった。
ルファスが死にかけのリンブに止めをさした。
「成功だよな?」
俺は、みんなにドラゴン討伐した確認をとる。
「確かに倒したが、跡形もなく消し去って、証明する手段がないぞ」
ウィズが言うことも、もっともだ。
どうしよう?俺とウィズが悩んでいると、
「いや、そんな事より、おかしいでしょう?」
大柄な体格を丸めて、バンが言ってきた。
「キャ、キャスカの魔法か?」
俺は、みんなを殺しかけたのを咎められるのかと思った。
いや、俺は指示はしたが、魔法を撃った訳じゃない。
なら、俺は、悪くない。
そう結論付けた。
「いや、確かに、あの魔法の威力もおかしいですけど、そうじゃなくて、セガル王国ですよ、リンブが化け物になって襲いかかってきたり、殺す為に冒険者を集めてるでしょこれ」
バンがそう言った。
…俺も、ウィズもドラゴン討伐の恩賞やドラゴンの素材を手にい入れる事しか頭になかった。殺されかけたのに。
「そ、そうだな。 おかしい、おかしいなウィズ」
俺は、そう言ってウィズに助けを求めた。
「お、おう。 あれだ、そんなことは、口に出すまでもない、大前提であって…そりゃぁ、俺達は、セガル王国が、あやしいって思っていましたとも。 ほんとに」
メタメタになりながら、ウィズが言った。
「しかし、ほんとに解らない事だらけですね」
ルファスが、難しい顔をしていった。
「あ、またドラゴンだよ」
カイが上空を指差して言った。
俺達がカイの指し示す方向を見上げると、
先程のドラゴンより、大きな白いドラゴンがゆっくり飛んでいた。
「近づいてない?」
レイラが言った。
「ホントだ」
キャスカが言った。
「ねぇ、降りてくるんじゃない?」
プロムが言った。
「まさか、くるか?」
俺が言った。
「いや、来るだろほら、ほら、ほら」
ウィズが叫ぶ。
ドスゥーン…
土煙が上がる。
「来ましたねぇ」
フィリーが言った。
デカい白いドラゴンが俺達の目の前に降りてきた。
じっと俺達をみるドラゴン。
ヤバイんじゃねーのか?これ。
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