第23話 ドラゴン退治 その3

俺達は、夜明けと共に宿を後にして、軽キャンでセガル王国の王都に向かって出発していた。


休憩を挟みつつ、3時間も走ると王都を取り囲む壁が見えてきた。

以外と近いじゃないか。

「ヒロシ、もう着いちゃうね」

今日、助手席を勝ち取ったのに、もう着いてしまいそうな為、レイラが淋しそうに言った。

「レイラ、今度、二人で出掛けるか?」

俺は、レイラに言った。

「ほんと?」

レイラが明るくなって、俺の腕に抱きついてきた。

運転中だから、危ない。

でも、好きなレイラが元気になったのが俺は、嬉しい。

「いつも、プロムと三人でいるから、二人で出掛けたり、夜、俺と寝る日を作るのどうかな?」

俺は、前から考えてきた事を聞いた。

「ヒロシを独占出来る日があるの嬉しいから、賛成」

レイラの同意をもらった。

プロムはどうだ?

「私も、二人きりって良いと思います」

プロムも乗り気だ。

「そんじゃ、二人で話をして、振り分け考えてね。でも、三人の日は、必ず作ってね」

そう言ってる内に壁の近くまできたが、中に入る検問の順番待ちの列が続いている。

軽キャンを列の最後尾につけて、順番待ちに参加する。

こんなんじゃ、今日中にドラゴン退治に行けんのか?

俺がそんな風に思っていると、レイラとプロムがなんがローテーションを決めた。


月曜日は、レイラの日

火曜日は、プロムの日

水曜日は、レイラの日

木曜日は、プロムの日

金曜日は、レイラの日

土曜日は、プロムの日

日曜日は、三人の日


言っても、昼間は三人でいる事が多いだろうから、実質、夜の事になるローテーションが決定した、

三人も良いけど、二人でイチャイチャしたいよね。


行列が消化さてていくが、もうちょっとかかりそうだ。

俺達は、冷えた缶コーヒーやコーラを飲みながら、ちょっとづつ進む。

まったりとした時間が流れる中、行列に並ぶ人々を見ると、やはり、ドラゴンを倒して一攫千金を狙う為に来た冒険者パーティが多いようだ。

みんな強そうだ。

中には、弱そうなのもいるけど。

しかし、冒険者とその他で受け付け分ければ良いのに商人とか、たまったもんじゃないだろうな。

そんな風に思いながら、行列は進んでいく。

軽キャンの中では、リバーシで遊ぶキャスカとプロム。

うちの最強決定戦だ。

ルファスが、キャスカ頑張れと、うるさい。


「やるわねプロム」

劣勢のキャスカが石を置きながら言った。

「うっ」

キャスカの逆転の一手にプロムが苦悶の表情をうかべた。

そのまま、キャスカの逆転勝利が決まった頃、俺達の順番が来た。

一時間ぐらい待ったんじゃないか?


門番は、冒険者でドラゴン討伐と伝えると、ああ、お前もか、と言う感じで事務的に、来た目的確認とギルド証の確認を手慣れた感じでおこない、素早く王都の入場者登録を済ませてくれた。

特に何のイベントもなく中に入れた。


冒険者の人の流れの先に行ったら冒険者ギルドがあった。

俺は、軽キャンを冒険者ギルドの近くに停めた。

屋外に椅子とテーブルが並べられた簡易受付が沢山設けてある。

流石にこの人数を捌くには受け付けを増やしている。

俺達は、受け付けの一つに並んだ。


「なんだよ!聞いてないよ!」

あっちの受け付けで受付中のパーティーが大声をあげていた。

「ですから、ドラゴン討伐の依頼を受けるには、みなさんに参加料金を、お支払頂いております。支払いされないなら、後ろがつかえていますのでお引き取りください」

沢山の冒険者を捌く為、受付嬢はあくまで事務的に言った。

「わかった、支払う!支払うよ、どうせ、ドラゴンを倒せば大金持ちだしな」

そう言って冒険者は金を支払っていた。

金が払えず、帰って行くパーティーも結構いるようだ。

払えない冒険者達は、ここで他の依頼をこなしながら金を貯める者、ここを去る者、様々なのだろうな。

俺達が、他の受付者の様子を眺めていると、受付の順番がきた。

さっさと金を支払い、討伐の説明を聞く。


「討伐ですが、

1、5パーティーづつ一組で国のコーディネーターと共に現地にいってもらいます。

2、コーディネーターの判断以外での離脱の場合、冒険者の資格を失います。

3、戦闘以外は、基本コーディネーターの指示にしたがってください。

後は、通常の依頼任務と同じですので、自己責任で行動してください。

出発の準備が出来たら、城に行ってください。

そこにコーディネーターがいますので、10パーティー集まり次第、出発する事になっています。

ちなみに、夕方には、その日の出発受付は終了します。

ですが、流石に用意とかあると思いますので今日は、行かないと思いますけどね」

受付はそう言って、討伐参加証をくれた。

無くすと参加出来なくなるので、無くさない用に注意する旨を俺達に言ってから、次の受付者を呼ぶ。


もちろん直行だ。あの見えてる城に行けばいいんだろ?

俺の腕時計は13時08分をさしてる。

まだ、時間的に大丈夫そうだ。

腹が減ったし、俺達は、適当に食堂に入って遅い昼食をとってから城に向かった。




城の前は広い広場になっていて、沢山の冒険者がいた。

係員が冒険者達を各コーディネーターに振り分けていき、規定のパーティー数に達した 者から出発していた。

俺達は急いで、係員に討伐参加証を見せる。

「はい、それじゃ、あそこの集団のとこ行ってくださーい」

俺達は、軽いタッチで指示された場所、一緒に行くパーティー達のところに歩いていく。


背の低い眼鏡をかけた女の子が俺達の前にきた。

「あなた達で5パーティーになりますね。それでは、自己紹介から、私は、リンブ、19歳です。コーディネーターは今回が初めてですが、宜しくお願いします。」

そう言って、リンブと言う女の子がお辞儀をしてきた。

「それでは、各パーティーの自己紹介から、お願いします」

リンブに促されて、俺達を含め、各パーティーが紹介をしあった。

ランクEの俺達と、ランクAの5名構成のパーティが一組、Cの4名構成のが一組、同じくCの5名構成が一組で、最後の一組が紹介を始める。

「俺は、ウィズ、戦士だ。パーティーは、弓使いのカイ、盾役のバン、魔法使いのフィリーの4名で、ランクはBだ」

魔法使いのフィリー以外、男で構成されたパーティーだ。

これで、俺達のランクが一番低いのが確定した。

総勢23名、にコーディネーターが1名で頑張っていきましょう!

俺は、そう思ったが、ランクAのパーティーは、露骨に俺達がいるのが嫌なような態度をとる。

実力が足りない者がいては、成功率も生存率も下がる。

当然の事だろうと、俺は納得しているので、腹もたたない。

「それじゃ、自己紹介も終わりましたし、早速出発しますか」

そう言って、馬車のある場所に移動する。

俺達は、自分等の馬車があることを伝えてから、軽キャンに戻った。

「なあ、馬車でチンタラ行ってらんないよな?」

俺が言うと、みんな同意してくれた。


リンブの待つ馬車乗り場に軽キャンで乗り付ける。

みんなビックリしているが、無理矢理、キャンピングトレーラーに乗ってもらった。

戸惑って文句も言ってきた者もいたが、無視だ。

早く行く。

渋るリンブを助手席に乗せて出発する。


軽キャンのメーターは100Kmを越えている。

速度に驚きながら、リンブは必死にナビ役をしてくれる。

先行していたパーティー達をぶっちぎって行く。

リンブの指示で森の奥地を目指す。

軽キャンは、立ちはだかる樹木をものともせずに突き進む。

どんどん奥地に行く。

奥へ。

奥へ。



「もういいでしょう、この辺で停まってください」

リンブの言葉に俺は、軽キャンを停めた。

もう、辺りは真っ暗だ。

さて、今日は、この辺でキャンプか?

俺達は、軽キャンを降りた。

俺は、電球タイプのLEDライトをポータブル電源に繋いで、軽キャンの周りが明るくなるようにセットした。

俺達のパーティー以外ぐったりしてる。

無敵の軽キャンでも、木に当たれば中は振動も衝撃も来る。

馴れてないとキツいだろうと思ったので、みんなに、回復薬(小)を回し飲みさせた。

みんなちょっと元気になった。

「さて、みんなで、食事の用意でもしますか」

俺が元気よく言った。

食べないと元気でないぞ。

ランクAもBもCもだらしない。


「その必要ありませんよ」

リンブが言った。

俺達は、リンブに向き合う。

「予定外に目的地に来ましたが、みなさんには、予定通り、ここで死んでもらいます」

リンブがお辞儀をして言った。

「お前、何をいってるんだ!」

ランクAのパーティーが前に出た。

「うるせぇな、おとなしく死んどけ」

リンブが言うと、ランクAのパーティーの首が飛んだ。

「!」

その場にいた全員に緊張が走る。

リンブは眼鏡を外して蛇のような舌をだしチロチロやってる。

「全員食ってやるから、お前は不味そうだけど」

なぜか、俺だけ指名されて不味そうとか言われた。

リンブの背中から蝙蝠見たいな羽が生えて、足が蛇みたいに変形して…うん、気持ち悪い。

「こんなん聞いてない」

「そうだ、冗談じゃないぜ」

ランクCのパーティーが逃げ出した。

あ、ずるい!俺も。

俺は、思った…けど、なんかリンブは俺を見てるし。

なんでだよ!。


ドドーン!!!


凄い音がした。

「ぎゃぁあぁー!」

叫び声が聞こえた。

声の方を見ると、ドラゴンがさっき逃げ出した冒険者を食ってた。

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