第22話 ドラゴン退治 その2

次の日、俺達は、絶賛二日酔いで、ゼノス王国の冒険者ギルドに来ていた。

軍隊も強く、治安も良いこの国だと、ほとんど便利屋みたいな仕事しかない。

だが、俺達の目的は、セガル王国に行きドラゴンを退治する事! 今日ここに来たのは、仕事の詳細とセガル王国の場所を聞く為だ。


「だから、ドラゴン倒しに、セガル王国に行きたいの! 俺達」

俺は二日酔いで気持ち悪いし、頭がガンガンするのを押さえて融通のきかない受け付けに、何回目かの同じ説明を繰り返していた。

「だ・か・ら、あんたらのランクで行ったって、死ぬだけだから、言ってあげてるの! 辞めろって」

気の強そうな若い女の受付嬢が、イラつきながら言う。

「オーク倒してきたじゃん、せめてセガル王国の場所教えてよ」

いい加減、疲れてきた俺が言うと、死んでも知らないよ、と言いながら渋々教えてくれた。

お前、惚れた俺に死んで欲しくないのは解るが、しつこいと男に嫌われるぜ。

と、こちらが勝手に思うようにする。

ま、実際のところ単に、めんどくさくなったから教えてくてたんだろうな。

とにかく、行き先は解った。

「行くぜ! みんな」

そう言ってギルドを出たが、旅の用意をしてなかったので、買い物とかして城に戻った。



城の軽キャンピングカー格納庫に 俺達は来た。

軽キャンにキャンピングトレーラーを3台連結した。

一つは、ルファスとキャスカに、一つは俺とレイラ、プロム用、最後の一つは、会議する時とか何かに使えるだろうと一応もって行く事にした。

みんな軽キャンに乗り込む。

レイラとプロムが乗り込まない。

何やってんだ?

そう思っていると、ドアが開いてプロムが笑顔で助手席に乗り込んできた。

助手席を賭けてジャンケンに勝ったと誇らしげにプロムが報告してきた。

可愛い。

後ろのレイラがお通夜状態なのが気になるが……

ま、二人が納得するなら、俺は何も言わない。

俺は前を向き、ハンドルを握りしめ、

「目標セガル王国! 出発進行!」

俺は堂々宣言して、エンジンをかけた。

軽キャンは、キャンピングトレーラーを三台も引いてるとは思えないように軽快に走り出した。



「旦那様、はい、あ~ん」

運転する俺に、プロムはフルーツを食べやすい大きさにカットして食べさせてくれる。

うむ、苦しゅうない。

俺は、モグモグしてお礼に乳を揉んであげた。

とりあえず、東に進む。

冒険者ギルドで見せてもらった地図は、偉いざっくりしたものだったが、街道を進めば、なんとかなんだろ。

俺は、ガンガン進む。

それは、もうガンガンに……


「おい、飛ばしすぎじゃないのか?」

キャスカが運転席に顔を突き出して言った。

「ハハハ、バカだなキャスカ、速度標識なんて無いんだから心配するな」

俺は、平坦な道は飛ばして進むのだ。

「ちょっと!何、言ってるか解んないけど危ないわよ」

キャスカが心配そうに言った。

ゼノス王国に行く時にちょっと事故った事があったのを根にもってやがるな。

「あ、そーれ」

俺はハンドルを、ぐりんぐりん回してローリング、ローリング!

「やめて~危ないから!」

キャスカが言った。

うひゃひゃひゃ~愉快、愉快。

「ノガミさん…停めて、…気持ち悪く…」

ルファスが不穏な事を、直ぐ停めねば!



街道の脇に軽キャンを停めて、俺達は小休憩をしている。

少し離れたところで、ルファスが吐いている。

ルファスのゲロサウンドを聞きながら、やり過ぎたとタバコを吸う。

レイラとプロムはバドミントンして遊んでるし、キャスカは、ルファスの背中をさすりながら時折、俺を睨むのが見えた。

本日も、平和なり。



車中泊を数回繰り返し俺達は、滝や、花畑、いろいろ見ながら楽しく旅を続けて、本日、セガル王国に到着いたしました。

言っても王都には、まだまだ遠いとこの町だけど、やってまいりました!

よし、ルファスとキャスカは宿の手配!

俺は、レイラとプロムを連れて町で情報収集。


「冒険者ギルドにいきます?」

プロムが提案してきたが、俺は冒険者ギルド行かなくていいや、王都に行った時で良いだろう。

「そんじゃ、プロムとレイラは冒険者ギルドでドラゴンに関する事、俺は、酒場で聞き込みをする。 何かあったらコイツで連絡するんだぞ、すぐ助けに行くから」

俺は、ブレスレットを掲げて二人に言うと、颯爽とその場を立ち去る。



酒場で俺は、店内の声に耳を傾ける。

そして、俺の目は、一人で飲んでいる女に釘付けだ。

なぜなら、…パンツが見えてるんだよ、俺の位置から丁度。

俺は、さりげなく、遠くを見る様に、気配を消して、パンツを凝視する。

女に男が近いてくる。

クソッ! パンツが、お前がそこに立つと見えない。

俺は自然な感じで席を移動する。

ベストポジションは?


「ヴァルファ帝国からの連絡は?」

女が後から来た男に聞いた。

「ゼノス王国に派遣された密偵からの連絡がないらしい」

男は席について言った。

「辺境の国とは言え、経済大国だし、警戒は厳しいだろうからな」

女はそう言って酒を飲む。

「そうだな。俺達も気をつけなきゃな。…それより、王都で、」

男の声が小声になった。

「セガル王国が帝国への侵攻するのではないかって、噂が…」

男の話に女は、

「バカな、セガル王国も小国では無いが、帝国に? 正気とは思えない」

そう言って、呆れたように椅子にもたれ掛かる。

「そこで、例のドラゴン討伐だよ」

男の言葉に女は意味がわからないと言った感じでいる。

「このセガル王国に沢山の冒険者が集まっているが、ランクフリーでドラゴン討伐なんて、怪しすぎるだろう? 何か裏が…帝国侵攻の噂と関係あるのではないか?」

男は興奮気味に言ったが、

「何か関係あるのかもね。 でも、私達は、帝国に言われてるセガル王国の状況報告しとけば良いのよ。 そんな危険な事には関わりにあわない」

女の言葉に、

「それもそうだな。 俺ら下っぱに関係ないな」

そう言って店を出る。



「あぁ~」

俺はパンツの見えるベストポジションを探してる内に女が出ていってしまった。

俺は、何事もなかったかの用に立ち上がり店を出た。


「レイラ、聞こえるか? こっちは収穫なしだ。そっちは?」

俺はブレスレットに話しかけた。

「ヒロシ、こっちもダメ」

ブレスレットからレイラの声が聞こえた。

便利だな。

「詳細は王都で聞いてくれって」

そう言ったレイラに俺は、合流することを伝える。


「みなさん、宿とれましたから、軽キャンのとこまで戻ってください」

俺が、レイラ達のところへ向かっていると、ブレスレットからルファスの声が聞こえた。



レイラ達と合流した俺達は、ルファス達が手配した宿に泊まった。

明日は、セガル王国の王都に行き、その足でドラゴン討伐にすぐ向かう。

忙しくなるぞ。

だから、ゆっくり出来る今日は、レイラとプロムと沢山楽しむと決めていた。

俺は、回復薬を軽キャンから取ってきて夜に備えるための準備をする。

手に取った回復薬を見ながら、出来る男に、抜かりは無い! と、思うのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る