第21話 ドラゴン退治その1

装備品の性能テストを終えた俺達は、ゼノス王国に戻った。


軽キャンを城に置いてから、俺達はシャワーを浴び、着替えて居酒屋へ向かうことにしていた。


待ち合わせの城門前広場の噴水の所に、俺とレイラとプロムがやっていたが、ルファスとキャスカは、まだ来てないようだ。


城門前広場には様々な屋台が並んでいるのだが、腹が減ってきたので待ってる間なにか食べようかと俺が提案したが、レイラもプロムも要らないと言われたので、一人で買い食いしに行く。


俺が、建国にたずさわった国なだけはあって、料理のレベルはこの世界トップレベルだと思う。数ヵ国まわったが、この国が一番料理が旨い。

俺は、唐揚げ屋台で唐揚げ串を購入した。

塩コショウ味のカリカリ唐揚げにレモン汁をサッとかけた絶品串をモシャモシャ食いながら戻る。


噴水の縁に座っているレイラとプロムが二人組の男と話をしている。

日本の唐揚げ串と違って長い串に沢山の唐揚げがあってお得だと思いつつ、モシャモシャ食いながら俺は二人に近づく。



「そんな事言わないでお姉さん達、俺達と飲みに行こうよ」

いかにもチャラそうなアホで死ねばいいような男が言った。

「だから、待ち合わせ中だといってるだろうが」

レイラがイラついてる。

「来てないじゃない? すっぽかされたんだろう? 俺達が相手してやるって」

ガタイのいい短髪の男が俺のプロムの超乳を覗きこむ。

「……」

プロムは無視か。


俺は、唐揚げ串を食べながら、レイラ達のいる噴水前に到着した。


「あー、お前ら、死にたくなかったら、その辺で、やめとけー」

俺は、棒読みで一応二人に忠告してあげた。

どうなろうと知ったことじゃないけど、俺は優しいからね。


唐揚げ串の残りが僅かになってきたな、と思ってると、プロムが俺に抱きついてきた。

「ヒロシ様、私、怖かった。あの、いかにも頭の悪い連続婦女暴行犯のような顔をした男が、イヤらしい目で私の胸を舐め回すように……私の胸は、ヒロシ様だけの物なのに…」

グイグイ俺の腕に胸を押し当てて、ガタイのいい男の方を指差して言った。

うん、ありがとうプロム。

でも、相手を刺激するのは、いかがな物かと思うぞ。

残りの唐揚げを食べながら、男を見ると真っ赤ちんちんになってる。


「おう、お前が待ち合わせの色男か」

指をポキポキしてガタイのいいのが俺に向かって言ってきた。


「そうです。わたすが色男です」

と、変なおじさん的に答えて、プロムの超乳を揉む。


「てめぇ、兄貴をバカにしてんのか?」

チャラいほうのチンピラが俺に叫ぶので、

「いや、そのつもりだけど。ごめん、解りにくかった?」

俺は、優しく言ってあげた。


短髪のガタイのいい男と、チャラいチンピラがキレた。


俺に殴りかかろうとした瞬間、レイラの鉄拳が二人の男に連続ヒットして、膝から崩れ落ちた。

俺は、悶絶しながら倒れる二人の男に近づき、腕組して、

「貴様ら、今度、俺の女に手を出してみろ、こんなもんじゃ、すまさぬぞ!

早く失せろ下郎が! 後、この串をゴミ箱に捨てとけい」

キリッとして言いきった! そして、唐揚げ串を倒れている男の腰のベルトに差した。


二人はフラフラになりながら、去って行った。


「ヒロシ、かっこいい」

レイラが俺に抱きつく。

「大丈夫だったか?」

俺は優しくレイラの髪を撫でてあげる。


周りで見ていた人は、あの男、何もしてないのに自分が追っ払ったみたいになってる…と思った。


俺の活躍により、ナンパ男を撃退した頃にやっと、ルファス達がやってきた。

「遅いぞ、ルファス」

俺は、唐揚げ串で少し腹がふくれてしまった。

「すいません。シャワーで思わず、キャスカと、盛り上がりまして」

ルファスがそう言って頭に手をやり照れてる。

「そうか、それじゃ行こうか」

俺はそう言って店に向かう。

全く……


ん?


今、


何か、


変な事、


言わなかった?


俺は、振り替えってルファスを見る。

「ルファス、お前、キャスカと一緒にシャワー浴びてんの?」

俺の言葉にルファスはキョトンとしてやがる。

「ヒロシ、そんなの当たり前じゃない」

レイラが俺に言った。

「いや、いや、いや、キャスカ子供だけど、そんな一緒に入るほど子供じゃないでしょ?」

あれ、俺がおかしいのか?

俺は混乱して聞いた。

「だって、もう13歳でしょ? それに、ルファスとキャスカ付き合ってるんだから」

レイラが言うと、ルファスとキャスカが赤くなって照れてる。

「私達も、一緒にシャワー浴びますもの」

プロムが赤くなって両手で頬を押さえる。

「そうよね、ヒロシったら、凄く甘えて…」

レイラが俺の性的な事を口走りそうになるので、慌てて止める。

そう言った、プライベートでデリケートな事は、言わないでください。

「いや、お前ら兄妹だろ?」

脱線しかけたが、ルファスに言った。


「しかし、僕は…キャスカを、愛してる!」

「私も、お兄様が好き!」

二人が言った。

「…キャスカ…」

「…お兄様…」

見つめ合い、二人は抱き合いキスをした。

……ま、いいか。

二人が良いなら、俺が口出しする問題でも無いか。

だって、俺達は仲間だ。


仲間が望む事は応援する。

当たり前だろう?



居酒屋 蛍烏賊 についた。

俺の店だ。

ゼノス一家やレイラも利用してる。

ちなみに、ゼノスと二人で飲む時は、大概この店を使っていた。

蛍烏賊が好きだったので、この名前をつけたが、残念な事に海に面していないこの国では海産物は、ほとんど取り扱っていない。

だが、メニューや店の作りは日本式。

引き戸を開けて店内に入る。


「いらっしゃいませ~」

店員の元気な声が俺達を迎え入れる。

「五名様ですか?」

可愛い店員のお姉さんが俺に声をかけたので、そうだと言うとテーブル席に案内された。


「ご注文、お決まりになられましたら、お呼びください」

元気よく言ってお辞儀をした。

「お姉さん、とりあえず、ビール四つにオレンジジュース一つ持ってきて」

俺はそう言って、メニューをルファスとレイラに渡した。

ルファスとキャスカが、レイラとプロムが絵入りのメニューを見ながら、わいわい言ってる。

素早くテーブルにビールと、お通しのホウレン草のおひたしが運ばれた。

俺達はジョッキをもち、


「みんな、今日は、お疲れさんでした。 明日からも宜しく。 では、乾杯!」

俺の言葉に続いて、みんながジョッキを上に掲げて、

「乾杯!」

と、言った。



焼き鳥や肉じゃが、ハンバーグに、サラダ色々つつきながら酒も進む。

キャスカも、どさくさに酒飲んでやがる。

「ところで、俺達は現在 Eランク。実力的にもっと上にあるだろ?」

ワインを飲みつつみんな俺に話に耳を傾ける。

「でだ、ランクアップにセガル王国に行こうと思うが、どうだ?」

俺の言葉に皆の手が止まる。

「ドラゴン退治ですか?」

ルファスが言った。

「そうだ、通常ランクEの俺達がランクA以上の依頼は受けれない、だが、この依頼はランクフリーだ!」

俺が、力強く言った。

「怪しすぎるわよ」

キャスカが水を差すような事を言ってきた。

睨んでやる。

「確かに、ドラゴン相手にランクの低い者までって、おかしいわね。…まるで、殺させる為みたい」

レイラまで、そう言うか。

と、思ったら、みんな、頷いている。

「単純に人でが足りないのかも知れないじゃないか?無理そうなら止めりゃいいんだよ」

俺の、この言葉に、

「それも、そうね。大体、依頼自体が無理言ってんだから」

キャスカが言った。

「観光しに行っても良いわね」

レイラが提案する。

「楽しそう!」

提案に、プロムが胸を揺らして言った。

「ダメ元ですからね」

ルファスがワインをグイグイ飲んで笑っている。

お気楽に深く考えない、これが俺の仲間の良いところ!

「よっしゃ、お前ら!観光も兼ねて、サクッと一発やったろうぜ!」

俺が立ち上がり言うと、

「おー!」

と、腕をあげて、みんなが言った。

全員、酒に酔ってテンションが、おかしいが楽しい。

今日は夜通し飲むぞ!

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