第20話 視察そして装備完成

今日は、ルファス達の訓練の様子を見に屋外の軍事演習場にやって来た。

「やっとるね」

右にレイラ、左にプロムを従えた俺はお弁当片手に観覧席に座った。

「ご主人様、寒くはないですか」

プロムが優しく言ってくれる。

「じゃぁ、私がくっついてあげるね」

そう言って、レイラが俺に体を密着してくれる。

うん、可愛い奴め 。

「プロム~、左が寒いよ」

俺は可愛く言った。

「はい、はいご主人様」

笑顔でプロムがくっついてくれる。

柔らかいね。顔が緩む。

「ちょっと、くっつきすぎよプロム! ヒロシは私の旦那様なんだがら! ぷんぷん」

レイラが頬を膨らませて言った。

可愛い。普段のクールビューティーとのギャップ。素敵です。

もう~大好き。

俺は、レイラを見て顔が緩む。

「レイラ様、私だって、ヒロシ様の第二婦人ですからね」

プロムがプイッと顔を横にそらす。

うむ。良きに計らえ。

野上博志は、鼻穴を膨らまして、フンフン言っている。

最高だぁぁぁ!!!!!!!!!




軍事演習からキャスカが観覧席をあきれてみている。

「死ねばいいのに」

呆れながら言ってルファスと向き合う。

「さぁ、お兄様! バカはほっといていきますわよ」

魔法少女仕様のマジックロッドを構える。

「こい! キャスカ!」

二人は、二人の人生の為、より強くなるため戦う。

軍事担当教官 ゴリス は、二人の訓練に対する態度、真剣さに感銘を受けていた。

最初、レイラ様に言われた時は、仕事と割りきり指導していたのが、今では恥ずかしいとゴリスは苦笑するのであった。

より強くなるため、ゼノス軍と一緒に寝食を共にし日々訓練に明け暮れる二人だった。




「プロム……少し、調子に乗り過ぎなのではないか?」

レイラがプロムに言う。

レイラさん、目が座っていますよ。

俺はいたたまれなくなって、プロムを見るとレイラは薄ら笑いを浮かべて、手にナイフを持っている。

……ナイフ?!

やめろ!やめてくれ~

俺は尋常じゃない汗をだす。

「ままままま、二人とも可愛い俺の奥さんだから、仲良くしようよ」

俺は激しく動揺しながら左右に目が泳ぎながら言った。

って、レイラもプロムも立ち上がるな!

あわあわ言いながら必死に止める。

止めるが、お前ら、ファイティングポーズをとるな!

「ううう、いい加減にしろ!お前ら!」

俺は、男らしく二人を一括した。

静かになる。

「そうだな」

わかったかレイラ

「そうですわ」

そうだぞプロム

「どっちを取るのヒロシ」

何をいっているレイラ

「ヒロシ様、私のこの胸は、ヒロシ様のものです。だから、私を選んでください」

そうか、プロムありがとう。お前も何をいっているんだ。

う~ん。

二人が俺に近づく。

「ちっ、近っ」

ぐいぐいくるね二人。

俺はさっと身を翻し、二人に向き合う。

「二人とも素敵な俺の奥さんじゃないか。

でも、プロム、レイラは第一婦人だ」

俺の言葉に勝ち誇るレイラ。

プロムが泣きそうな顔でいる。

「第二婦人は第一婦人をたて、第一婦人はそんな第二婦人を守ること! だから、レイラ!お前がそんな風に喧嘩腰になっては、いかんぜよ!」

俺の坂本龍馬ばりの説得術が炸裂した!

レイラは、しょぼーんとした。

プロムが元気になった。

「気にするな、全ては、かっこいい俺が悪いのだ。すまぬ」

二人は涙を流して俺に抱きついた。



演習場から観覧席を見て、ゴリス は、ホントにあの人達何しにきたんだろうと思った。

ルファスとキャスカは強くなった。

ゼノス王国についた時と比べ物にならない程だ。

二人のやる気と熱意の賜物であろう。

全ては自由の為。



訓練が終わったようなので、俺たちはルファス達を労いに下に降りた。



ルファス達はベンチに座り休憩をとっている。

「ルファス、お疲れ様」

俺は爽やかに言って、差し入れの回復薬(小)を手渡した。

「あ! ノガミさん、お久しぶりです」

ルファスは、ありがとうございます と言って受け取った回復薬(小)を飲み一息ついた。

「驚きました。ここの兵士一人一人の強さに……世界は、ひろいなぁ」

遠くを見つめてルファスが言った。

俺は、それを見て思った。

最初の訓練の時、ルファスが歩兵と手合わせしてボコボコにされてたって、レイラが言ってた事。それから、大分強くなったとの報告を受けた事。やっぱ、頑張った奴は偉いよ。


「てか、あんた何しに来たの?」

キャスカが言ってきた。

お前、久々に会った第一声がそれか!

「お前達の成長ぶりを見にな」

俺は言った。

「見てねぇだろう…でしょうが!」

ルファスの前では猫をかぶるキャスカ。

「大丈夫だよ。お前ら十分強くなってるって」

俺は二人に言った。

「で、今日来た、もう一つの目的。

開発部から装備品の試作品が出来たから見に来てくれって」

俺の言葉に二人とも嬉しそうな顔になった。

「ところで、そこの女性は?」

キャスカがプロムを指差す。

「俺の第二夫人だよ」

俺は、何言ってるの?的に言った。

「え?」

「は?」

ルファスとキャスカが驚いた顔をしている。

あっ。そうか。俺、言うの忘れてた。


ま、久々に合流したんだ、今日は、みんなで、ご飯でも食べに行こう。

そんで明日は、みなさんお楽しみの装備品を見に行こうぜ!

俺は、みんなを従え歩き出すのだった。


軍事部門開発部にやって来た。

「ノガミ様お待ちしておりました」

開発部主任が出迎えてくれた。

早速、装備品を確認する。


ルファス

ミスリル製のロングソード。

魔力を込めると炎を纏う仕様になっている。

鎧は、ミスリル製フルプレートで防御力が高そうだ。


レイラ

望遠レンズ付き長距離狙撃用のミスリル製の長弓は風の魔力が込められ飛躍的に飛距離が伸びた物になった。

近距離戦闘用の弓もミスリル製。

連射速度をあげる為に少し短めの弓になっている。弓の端には刃物が取り付けられているので接近戦にも対応できそうだ。

鎧は、露出が減ったが防御力が大分上がりそうな感じだ。


キャスカ

キャスカの趣味だろう。

魔法少女コスプレセット見たいなマジックロッドとマジックローブ。

何か開発チームも気合いが入ったのか魔力増幅装置など色々つけているいるようだ。

ロリコンが多いのか?


プロム

プロムはミスリル製ナイフと投げナイフが仕舞えるコートこのコートは制服の上から着れる。


野上博志

武器は注文してない

防具も注文してない

ただその分、制服は皆より性能が良いものにしてもらった。


俺は全員分の制服を支給して、早速着るように指示を出す。

真っ白制服で海軍将校のような格好になった。

女性陣は、レイラがパンツ姿で、プロムはタイトスカート、キャスカが短パン。

俺の趣味だ!

ルファスがキャスカを見てハァハァいってる。……またか!

俺たちは同じ制服を着てチームとしての一体感が増した気がした。

開発主任が満足そうに俺たちを見てる。

「ノガミ様、開発チームの技術の結晶とも言える品がこちらです」

俺たち人数分のブレスレットが配られる。

「魔導リングです。小型魔導通信が仕込まれておりある程度の距離であればリングを通して個別、同時通信が可能となっております」

開発主任は自信たっぷりに言った。

俺たちは凄い凄いと盛り上がる。

「まだまだ、ですよ。ルファス様、ちょっと宜しいですか?」

開発主任はルファスの元に行き、ブレスレットの説明をしている。


「では、いきます」

ルファスがブレスレットを操作する。

ルファスが光に包まれたと思ったら、鎧が装備されていた。

「魔導式自動転送装備装置です」

開発主任が堂々と言った。

す、凄い。特撮ヒーローの変身のようじゃないか。

これなら軽キャンピングカーのアイテムボックスに鎧とか入れとけば装備の手間が省ける。

大満足だよ主任!

俺は、開発部の皆の労をねぎらい、お礼を言って開発部を出た。

皆で軽キャンのアイテムボックスに鎧とかを入れた。


「ノガミさん、ちょっと、用事があるので、部屋に戻ろうかと思うのですが?」

そわそわしてルファスが言った。

「そうだな、装備確認したし、解散」

俺の解散を聞くとルファスはキャスカの手をとり、すっ飛んでいった。

俺達は、ルファスの後ろ姿を呆気にとられて見送った。


「そんじゃ、俺たちも部屋に戻ろうか?」

俺はそう言って二人の手を取り歩き出す。

「ヒロシ制服姿かっこいいよ」

そうかレイラ。

「ヒロシ様、プロムはもう……」

プロムは赤く頬を染めている。

だよね~。


俺は、まだ日が高いが三人で仲良く愛し合った。


次の日、朝早くに真っ白な制服に身を包んだ俺達は、武器の性能チェックも兼ねて、ゼノス王国にある冒険者ギルドで手頃な依頼を受けた。


オーク討伐だ。


軽キャンピングカーが駐車してある格納庫に皆で移動した。

軽キャンにプロムを乗せるのは初めてだが、キャッキャ言って楽しそうに乗り込んだ。

運転席には俺、助手席にはレイラ、後ろにプロム、ルファス、キャスカが乗車した。

「出発するぞ」

俺はそう言ってエンジンをかける。

軽キャンは格納庫を出て、通路を進み、出入口の守衛の前まで来た。


「ノガミ様、本日はどちらへ」

守衛が開門の準備をしながら聞いてきた。

「今日は、装備品のチェックを兼ねて、冒険者の依頼で、オーク討伐だ。サクッと終わらせるから遅くならないよ」

俺は運転席から守衛に伝える。

開門の準備が出来たので、守衛に礼を言って城から出ていった。


運転しながら、俺は今回の依頼の確認をする。

「ルファス 、討伐対象のオークは、東の方で確認されたんだな?」

「はい。ノガーミ商会の商品を乗せた馬車が襲われそうです」

「わかった。飛ばすから、捕まってろ」

俺は言ってアクセルを踏み込む。


軽キャンが東の街道を進み、森に入った。

オークは、まだ見当たらない。


俺達は、どんどん奥地を目指す。


高台の開けたところで軽キャンを停車させ、俺とレイラが軽キャンを降りた。

望遠レンズを長弓からはずして、レイラは覗きこみオークを探す。


「ヒロシ、いた」

望遠レンズを覗くレイラが左前方を指差し言った。

「一匹、二匹、……見える範囲で七匹」

レイラが数を数える。

俺は、望遠レンズを借りて覗くと、オークの中に一匹デカいオークキングを確認した。

「レイラ、こっから当てれるか?」

俺は望遠レンズを返して言った。

「こっから、オークまで直線距離で1kmはあるわね……やってみる」

レイラは、望遠レンズを頭に装着して、長距離狙撃用の長弓を構える。


ヒュッ!


レイラの長弓から矢が放たれた。

風の魔力により矢がどんどん加速して飛ぶ。

ミスリル製の矢じりがオークキングの頭を貫き、オークキングは倒れた。


「す、…凄い」

レイラが呟く。

結果は聞くまでもないようだ。

俺はレイラと軽キャンに戻り、オークの元に向かう。


軽キャンをオークの近くに停車させ、徒歩で近づく。

オーク達は、突然頭を撃ち抜かれ倒れた、オークキングの回りに集まっていた。


「ルファスから行くか」

俺の言葉にルファスは手につけた魔導リングをさわって、魔導式自動転送装備装置を作動させる。

光を放ち、フルプレートの鎧を身に纏ったルファスは、手にしたロングソードに魔力を込める。

ロングソードの刀身に炎が出た。

ルファスは、オークへと走り出し、近くのオークを斬りつける。

オークは、炎に包まれ黒こげになった。


「ルファスどうだ?」

俺は、感想を聞く。

「そうですね、鎧は、見た目より動きやすくて軽いです。剣は、炎を纏わせると扱いにくいです。慣れが必要ですね」

俺とルファスが話をしていると、オークがルファスに襲いかかってきた。

ドッ、ドッ、ドッ、

オークの体に六本の細身のナイフが突き刺さる。

「ヒロシ様が、お話の途中でしょう?」

投げナイフを放ったプロムが言った。

「そうね、プロム。失礼な豚だ」

レイラがそう言って、近接戦闘用の弓を構え、矢を数本もって、それを順次、速射する。

ナイフがささったオークに、矢が次々に突き刺さり倒れた。

「流石ね。レイラさま」

プロムがにっこり笑う。

レイラも笑い返してから、魔導リングを操作して防具を纏い、オークに突っ込む。

弓に着いたブレードでオークを切り裂く。

残りの数匹のオークが逃げ出した。

「キャスカ!」

俺が叫ぶ。

「わかってるわよ」

キャスカが上空で言った。

なんで、飛んでる?

キャスカの魔法少女コスプレの機能か?

「キャスカ飛べるのか?」

俺の疑問を無視して、キャスカが魔法少女ロッドを高く掲げる、

「突き刺され、アイスアロー!」

キャスカの回りに、先のとがった氷の矢が出現し、魔法少女ロッドをオークに向けると、凄いスピードでオークに突き刺さっさり倒して行く。

俺は、皆の戦闘の様子を見て、装備品の性能は、実戦に十分使えることを確認した。


「みんな、お疲れ」

俺は、笑顔で右手をあげた。

「あんた、何もしてないじゃない」

キャスカがクソ生意気な事を言ってくるが、俺は指揮官であり頭脳労働者なので、軽く無視して言った。

「キャスカ、いつものやってくれよ」

俺の言葉でみんなキャスカの前に集まる。


「じゃ、いくよ。クリーン!」

魔法少女ロッドを俺たちの方向に向けてキャスカが唱えると、オークの返り血や、泥などの汚れがとれた。

便利な魔法だ。

特に真っ白な制服の俺達に必須の呪文だよ。

え? なら、白じゃない制服?

ダメだよ。

白のカッコいいから。


「帰って、居酒屋で反省会だ!」


俺は、そう言ってみんなを乗せて帰路につく。

そろそろ、ゼノス王国を出て旅に出るか。

俺は運転しながら、そんな風に考えていた。

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