第25話 ドラゴン退治 その5
今、俺の前に、白い大きなドラゴンがいます。
みんな、終わったって感じで諦めモードです。
そりゃ、そうだよね……
って、諦めれるか!
俺は、軽キャンに走る!
中から、俺の武器、棒をとってきた。
こんなとこで、死んでられますか!
「きえぇぇぇーい」
ぺちん。
ぺちん。
ぺちん、ぺちん、ぺちん、ぺち、ぺちぺえちぺちぺちぺちぺち…
俺は、白ドラ(白いデカいドラゴン)をボコボコにするつもりで乱れ打った。
…だが、相手は無傷のようだ。
うん。知ってた。
「お前達、ここらで、ドラゴンをしらないか?」
白ドラが、俺を無視して喋りだした。
隙あり!
俺は白ドラを思いっきり蹴った。
そして、俺の足が折れた。
「うぎゃぁ~」
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い~!
野上博志が痛みを訴え転げ回っていると、みんなが正気を取り戻した。
「ヒロシ!大丈夫!」
レイラが俺に近づいてきたので、回復薬を持ってくるように頼んだ。
「お前、旦那様に何をした!」
プロムが大声で叫ぶ。
「え、いや、何もしてないけど」
白ドラが困惑して言う。
「何もしてないのに、こんな風になるかぁ!」
プロムは俺の折れた足を持ち上げ白ドラに見せつける。
「うぎゃぁー」
俺は、折れた足を掴んで持ち上げられて気を失いそうになる。
「バカ、なにしてんの」
レイラが回復薬をもって来てくれた。
「助かっガボゲラ」
レイラがこの状態の俺に回復薬を飲ませてくる。
ガボガボ言いながら、俺は、鼻に入る!溺れる!殺される!と思った。
キャスカは、その様子を見ながら、流石に可哀想だな、と思った。
だが、関わると面倒なので、見守った。
「あの、私の質問は? …あ、もう、いいです」
白ドラが困って立ち去ろうとする。
「ハハハ! ドラゴンなら、倒したぞ!」
ウィズが自信満々に言った。
カイとバンがビックリして慌ててウィズの口を塞ぐが、白ドラがウィズに顔を向ける。
「貴様、今言った事は、本当か?」
カイとバンが迫力に圧倒され呆然とする。
ウィズはその隙をついて二人の拘束を振り払う。
「そうだ、俺達のリーダーの指示で、雑魚ドラゴンを倒したぞ!」
ウィズが野上博志を指差す。
「痛かったー」
凄いぜ回復薬!骨折が治って完全回復だ!
俺は、ピョンピョン跳ねて足が無事な事を確認した。
みんなにも、骨折が回復薬で治ったよ、と報告するのに振り替えると、目の前にドラゴンの顔があった。
「お前、名前は?」
白ドラが俺に言った。
「ヒロシ ノガミだ」
俺が言おうとしたら、ウィズが遠くで言った。
「お前が指示をして、ドラゴンを殺したのか」
白ドラが低い声で俺に言った。
「そうだ! 一緒に来たCランクの冒険者を食って、俺達に襲いかかってきたドラゴンを、返り討ちにしてやった」
俺が答える前に、ウィズが言った。
ちょっと、黙っててもらえるかな?
俺は少しイラついた。
「お前は、あのドラゴンの仲間か?」
俺は、白ドラに聞いた。
「…子供だ…いなくなって、…探してた」
言った白ドラが、寂しそうな顔をしたように見えた。
「…そうか、言い訳はしない。俺達も生きるために戦った」
俺は、白ドラを見据えて言った。
「戦いに負けて死んだのは、あの子が弱かったからだ。気にするな」
白ドラが顔をあげて言った。
「ただ、あの子が…いなくならずに、里を出なければ…な」
白ドラが呟いた。
「セガル王国が関わっているのではないですか?」
ルファスが白ドラに言った。
「セガル王国?」
白ドラが、ルファスをみる。
「セガル王国が、ドラゴン討伐に冒険者を募って、集まった冒険者をドラゴンに食わせている。目的は、わかりませんが」
ルファスが白ドラに疑問をぶつけた。
「それに、一緒に来た奴も化け物になって食おうとした」
ウィズが言った。
白ドラが何か考えこんでいる。
「セガル王国にいく、皆殺しにしてくれる」
白ドラが、怒りの表情で、翼を広げた。
飛び立つのか?
「おいっ!まて、まて、まて、待てって!」
俺は、白ドラの前に叫びながら走る。
「なんだ!」
白ドラが答えた。
「バカ野郎、お前が行って関係ない人まで殺してどうする?お前の子を殺した俺が言うのもアレだが、お前が暴れまわった影響で、子供を殺された親や、親を殺された子供が沢山でるぞ、自分と同じ境遇の者を沢山作ってどうすんだよ」
俺の言葉に怒りは消えないが、少し落ち着いたみたいだ。
「では、どうすればいい?」
白ドラが言った。
決まってるだろ?
「俺達が、黒幕をお前の前につれてくる!」
白ドラが、俺をじっと見ている。
「なぜ?」
白ドラが、俺に問いかける。
っふ、気にするな。
「あそこにいるキャスカがお前の子を殺した!」
俺はキャスカを指差す。
「なっ!」
キャスカが目を見開いて俺をみた。
「実行犯はあいつだが、指示をしたのは、俺だ! その責任をとるだけだ。気にするな」
俺は爽やかに言った。
キャスカが凄く睨んできて怖いので見ない。
「新しい部下も出来たし」
俺はウィズをみる。
ウィズは、親指を立てて笑っている。
カイやバンは露骨に嫌な顔をしているように見えるが、無視だ!
ウィズと仲間との温度差が気になるが、考えない!
「さきほども言ったが、殺した事は、気にするな。戦いの中のことだ」
白ドラがキャスカに言った。
「白ドラ、お前も気にすんな。俺が、やりたいからやるんだ」
俺は白ドラに言った。
「それに、俺達も殺されかけて、そのままじゃ済まんだろう?」
俺はみんなに向かって言った。
レイラ、プロム、ルファス、キャスカ、ウィズ、カイ、バン、フィリー、みんな俺の言葉に納得してるみたいで、一発かましてやるって言うような、いい顔をしている。
俺は、にっこり笑った。
セガル王国、俺に舐めた真似をした事を後悔させてやる。
野上博志は悪魔のような笑顔をした。
「あ、そうだ、白ドラ。 お前の名前は?」
俺は、顔を白ドラに向けて聞いた。
「ひろし、私は、ミロースだ」
次の瞬間、ミロースが少女の姿に変わった。
美少女だね。
やばい!
俺は、ルファスを見たが、はぁはぁ言ってなくて安心した、
って、人間の姿になれるんだ。
スゲーな異世界!
「私もつれていけ」
ミロースが俺に言った。
「その姿なら、大丈夫だろう。だが、その前に服を着ろ」
俺はそう言って、俺の上着を取り合えず着せた。
へへへ、強力な仲間が増えたぜ~と思ったが顔には出さない俺。
「明日からも忙しいぞ、飯っ食って、寝るぞ」
俺はそう言って車中泊の準備に取りかかった。
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