第15話 初依頼
レイラの機嫌がなおったみたい。
昨晩、宿屋で頑張ったからかな?
良かった。
うん、俺は頑張った。凄く頑張った。
おかげ様で、俺もレイラも寝不足ぎみだ。
二人で回復薬(小)を飲んで宿を出る。
ルファスとキャスカも宿から出てきたが、寝不足のようなので、回復薬(小)を飲ませた。
初日なのに弛んでるぞ!
そう思いながら軽キャンにみんなを乗せて出発した。
冒険者ギルドの中に設置してある掲示板を確認したが、
・急募、農作業手伝い
・掃除依頼
・草むしりのお願い
・子守り募集
と、録なのがない、モンスターの討伐依頼とか無いのか探したら・・・あった。
ゴブリンの討伐依頼にオークの討伐依頼、後は商人の護衛かな。
俺は掲示板から依頼書をむしりとって受付に向かう。
昨日のおばさんがいた。
相変わらずけしからん、デカイ乳だ。
依頼書を出して、
「他にも何か良いのある?」
と、聞いたが、冒険者登録したてで3つも受けるなら、紹介できないとの事だ。
「そんじゃ、細かいことは、こっちのルファスに説明しといて」
俺は、そう言うとルファスに詳細を聞くように指示してレイラのところに行く。
レイラと話をして討伐と護衛で別れる事にした。
討伐班 俺とルファス
護衛班 レイラとキャスカ
軽キャンから護衛班の為に回復薬や食料を取り出してきてレイラに渡した。
簡単に打ち合わせをしてから俺とルファスは討伐に向かう。
町を出発し森に入って暫くすると前方にゴブリンの集団を発見した!
「行くぞルファス!全滅させるなよ」
俺はスピードをあげゴブリン達に近づき、軽キャンを横付けした。
ルファスが飛び出しゴブリンを斬っていく!
1人、また1人ゴブリンが倒される。
仲間が殺られ、ゴブリンは逃げ出した。
ルファスを軽キャンに乗せてゴブリンの追跡を開始した。
護衛班は商人と合流していた。
馬車は二台。前と後で並んで走っている。
前の馬車にはレイラと商人が向かい合って座っていて、後ろの馬車にはキャスカが後方を注意して見ている。
そして前の馬車の商人も見ていた。培ってきた目利きの目でレイラのエロい格好を!
「いやぁ~、護衛にこのような美しい女性が来てくれるとは私も運が良い」
商人は上機嫌であった。
「見つけましたね」
ルファスが言った。
逃げたゴブリンを追って行くとゴブリンの集落があったのだ。
軽キャンを集落に停めて俺とルファスは車から降りて様子を伺うと、ゴブリン達は激しく叫んで臨戦体制をとるため動き回っているのが見えた。
俺はメガホンを取り出し、
「静まれ! ゴブリン達は直ちに武装解除し降伏しろ! 抵抗しないなら殺さない! ここの責任者は前に出ろ!」
と言ったら数名のゴブリンが襲いかかってきた。
即座にルファスが斬り倒した。
奥にデカイゴブリンが見えた。
「あれってボス?」
俺は小声でルファスに聞いた。
「そうです。ゴブリンキングです」
ルファスも小声で返した。
違ってたら恥ずかしいからね確認したよ。
「そこの責任者!こちらに来て!」
俺はメガホンを使ってゴブリンキングに言ってる最中にこっちに走ってくる!
ヤバい!俺はルファスに手で合図を送る。
ゴブリンキングが俺にタックルする寸前にルファスの剣がゴブリンキングの首をはね、ゴブリンキングの体は倒れこんだ。
辺りは静まりかえる。
俺はゆっくりとメガホンを口に持ってくる
「お前達のボスは死んだ! 何故だ? 弱いからだ! そしてお前達も弱い! そうやって負け続けるのか? 子供や孫に子孫にお前達は誇れるのか? 勝ちたいなら戦え! もう負けるのは終わりだ! 俺についてこい! 誇りを取り戻そうではないか! 立て!そして俺と共に戦え!」
俺がそうゴブリン達を鼓舞するとルファスが、
「ゴーブーリン! ゴーブーリン!」
と拳をあげ叫ぶ。するとゴブリンの中から、ちらほら声が上がり出す。
「ゴーブーリン! ゴーブーリン!」
ゴブリン達が拳を振り上げ、集落全てのゴブリンが大合唱をした。
ボルテージが最高潮に達したときに俺は、ゴブリン達を手で制した。
「誇りを取り戻す!聖戦の時は今だ! 武器をとり立ち上がれゴブリン達よぉ!」
うおぉーーーと、ゴブリン達が武器を持ち、うなり声を上げた。
「整列!」
ルファスが指示を出す。
整列するゴブリン軍
「ノガミ様、ゴブリン軍準備整いました。
ささ、ご指示を」
俺はルファスの言葉に頷き
「目標、オークの集落! 長年に渡り我らを苦しめてきたオークを倒すのだ! 正義は我らに有り! いざ! 出陣!」
オークの集落。
小屋の中に先ほどさらってきた人間の女達が閉じ込められていた。
そこに体の大きなオークキングが入ろうとした時に声が聞こえた
「て、敵襲!ゴブリンの集団がこちらに」
ザッザッザッザッザッザッ・・・
ゴブリン軍の進軍の音が森に響き渡っていた。
オークの集落は目の前だ。
俺は手を上げた。
「攻撃開始!」
命令と共に手を下げ進むべき道を示した。
戦闘がはじまった。
不意を突かれたオークは防戦一方だ。
我がゴブリン軍が押してる。
勝てると思ったとき、ゴブリン軍の一角が後退し始めた。
そに先にいるのはオークキングだ!
「殺れるか?」
俺はルファスに聞いた?
「問題ないですよ、ノガミさん」
そう言って笑うとルファスはゴブリン、オークの乱戦の中をスルスルと風のように抜けてオークキングに迫った。
オークキングがルファスの存在に気づいた時にはルファスの剣が目の前にあった。
オークキングの首が飛ぶ。
勝負有り、こちらの勝ちだ!
戦いが終わり、俺の前にゴブリン達が整列している。
「皆、良く戦った!見事であった。
これよりノガミ様より、お言葉を賜るので良く聞くように!」
鬼軍曹ルファスが言った。
「この戦いはお前達の力でなし得た勝利だ。この戦いはお前達の子、子から孫へ子々孫々語り継がれるであろう!」
俺はゴブリン達を称えた。
「そして守ってもらう事を伝える!
人間を襲うな! 人間を殺すな! ゴブリン同士仲良くしろ 以上だ」
それだけ言って解散した。
ルファスはゴブリン達に魔石の回収をお願いしていた。
何でも魔石が討伐の証拠になるとか換金してもらえるとか言ってた。
後でまた寄るとして、レイラ達の方へ急ごう。
・
・
・
揺れる馬車の中、商人はレイラの体を観察していた。
細いのに筋肉があり健康的で、エロい。
護衛依頼の代金分は、この時間で元とってんじゃね?的に考えた。
商人は得をするのが大好きである。なので、レイラが護衛に来たことに大満足していた。
だが、商人と言うものは満足してはいけない。
クワッ!
商人は獲物を狙う鷹の目のように眼光鋭くレイラの胸を見る!
「おっと、馬車が揺れて転んでしまう」
商人はそう言って、揺れる馬車の中で立ち上がり手をレイラの胸へと伸ばしたその時、馬車が急に止まった!
商人はバランスを崩しホントに転んだ。
「うぎゃぁあぁ」
転んだ拍子に頭を床に叩きつけられ商人は転げ回っている。
何事か!
レイラは素早く馬車の幌の上に移動した。
手に武器を持ち馬車の行く手を遮っている。後ろは・・・、
「キャスカ! 賊だ! 前 5、後ろ 4」
レイラが前方の賊に弓を構え叫ぶ!
「了解ですわ!」
後ろの馬車からキャスカが飛び出し魔法少女的なスティックを賊に向けて答えた。
前の賊の1人がナイフを持って馬車に近寄る、
「俺たちゃ~、ツイてる! 今回は金だけじゃねぇ、見ろ!女が付いてきたぁ~イヒヒ~」
レイラを見て笑う。
それを見て他の賊も笑い声をあげる。
「ギャッ」
レイラが放った弓矢が賊の喉を貫いた!
笑っていた賊は、武器を持つ手に力を込めた。
笑い声を出す者はいない。
殺気のこもった目でレイラを見据える。
レイラは冷静に弓を構える。
キャスカは手にしたスティックを高く掲げ、体を回転させて、
「マジカル~、マジカル~」
と言い出し、スティックの先端についた飾りが光を放ち始めた。回転が終わりスティックを賊に向け、
「焼き殺しファイヤー!」
と、物騒な事を口にしたとたん、スティックの前に火球が出現し賊に向かって凄いスピードで飛んでいく!
「ぎゃぁぁぁぁ」
火球が当たった賊は火だるまになり、やがて消炭と化した。
それを見た賊がはビビる素振りを見せたが、お互いに距離をとり、キャスカを取り囲むような位置についた。
「あの変なポーズ取れないように一斉にかかれ!」
賊が一斉にキャスカに向かって走り出す!
「ファイヤ!」
「ファイヤ!」
キャスカは素早くそれぞれの賊にスティックを向けて火球を一発づつ、二発放った!
残り1人だ!だが、最後の1人はキャスカの目の前まで迫っていた。
「ふんっ!」
キャスカはジャンプしてスティックを賊の頭に叩きつける。
賊は鼻から血を出して倒れた。
「こっちは、片付いたですわ!」
キャスカが大きな声で言った。
「こっちも済んだぞ」
馬車の幌から飛び降りてレイラが言った。
前の馬車の周りには矢の刺さった死体が5つ転がっていた。
レイラとキャスカは商人の前にいた。
「いやぁ、お二人には助けられました」
頭から血を流しながら商人が言った。
「いや、仕事だから」
レイラは商人の姿に引きぎみに言った。
「目的地まであと少しです。このまま、無事にすみそうですよ」
フラフラしながら商人が言った。
いや、怪我して血が出てフラフラじゃねぇか、とレイラとキャスカは思った。
商人の従者が賊の死体を片付け終わる頃、軽キャンがやって来た。
「うわ、血だらけじゃねぇか!待ってろ」
俺はそう言って、回復薬(小)を飲ませてやった。
「キャスカにやられたんだろう」
俺は、商人の背中を叩いて言った。
「何言ってんだ」
キャスカが買ってやった変な棒を俺にグリグリ押し付けてくる。
「いやぁ、これは、あのエロいエルフの護衛の乳を触ろうとして転んだ時の怪我でして」
俺はキャスカの棒を取り上げ、それで商人の頭をおもいっきり叩いた。
軽快に軽キャンは帰り道を走っていた。
「商人も無事に届けましたし、魔石の回収も無事終わって、今回の依頼大成功なんじゃないでしょうか?」
ルファスが上機嫌で言った。
「お兄様に私の活躍を見てもらいたかったですわ」
キャスカがルファスの腕に抱きつき上目遣いで言った。
「キャスカの魔法凄かったな」
レイラが言った。
「見てましたの?」
キャスカの問いにレイラが頷く。
俺は、みんなが怪我なく無事に終えたことが嬉しかった。
さぁ、町に帰ろうぜ、みんな!
俺はアクセルを踏む足に力を込めた。
「ちょっと待て、魔法って何だ?」
俺は急ブレーキをかけた!
レイラも後ろの奴らもキョトンとした顔をしている。
「ちょっと!危ないですわね」
キャスカが急ブレーキを非難している。
「魔法あるの?」
俺は聞いた。
だって、この世界に来て何年にもなるが初めてだぞ!
「当たり前じゃない? ヒロシの周りでも、みんな大なり小なり使ってたわよ」
レイラが呆れて言った。
思い返せば、思い当たる事もあった。
でも、ふーん、くらいで俺は全然気にしないでいた。
逆にスゲーな俺!
ドンだけ鈍いのか!
レイラも、ルファスも、キャスカも可哀想な人を見る目で見てる。
「いや、知ってたよ」
俺は何事もなかったように出発した。
町には、もう着く。
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