第14話 冒険者

ヴァルファ14世の居城ーー

王の間にてヴァルファ14世は、重臣達からの報告を聞いていた。

「……戦況の報告は以上になりますが、ルファス皇子様とキャスカ皇女様の足取りは、今だ……つかめては、おりません」

そう言って、重臣の一人は頭を下げた。

ヴァルファ14世は、ため息をついた。


二人が失踪して1ヶ月が過ぎた。

このまま、何事もなければよい。

だが、帝国内の不穏分子や、他国に担ぎ上げられ、利用などされては面倒な事になる。

ヴァルファ14世は、引き続きルファスとキャスカの探索及び殺害の指示を出した。



ルファスとキャスカの殺害命令が下された頃、俺たちは小さな町に到着した。


「あそこの町の中央に、冒険者ギルドの出張所があるよ」

と、人の良さそうなジジィに教えてもらった、冒険者ギルドに向かって軽キャンを走らせている。


「ルファスは、何で冒険者になりたいんだ?」

俺は、運転しながら聞いた。

「……自由じゃないですか」

ルファスがボソッと言った。

俺は、その言葉を聞いて涙が出そうになった。


読者諸兄はお覚えになられていると思うが、野上博志は、ルファスとキャスカが貧乏な家に生まれ、酒をのみ暴力を振るう親から犯罪紛いの事をやらされていた。そんな不自由な境遇から逃げてきたと思い込んでいるのだ!


「そうか、じゃぁ俺もなる!」

俺は言った。

保護者である自分がついてやって、このやさぐれ兄妹を立派な冒険者にしてやろうと思ったのだ。


「お兄様の真似するな、ですわ」

キャスカが言ってきた。


無視だ!


「ヒロシがなるなら私も」

レイラが言ってきた。

そうか、そうか!


「おい、キャスカも冒険者になるか?」

俺は優しいので、しかたなしにキャスカに聞いてあげた。

「貴方に言われなくても、そのつもりですわ」

可愛くない奴!

だが、俺は優しいので、

「もし冒険者になったら、冒険で危険なときは、軽キャンかキャンピングトレーラーに逃げるんだぞ!」

と、言ってあげた。


……心配しないでもキャスカはズルいから、一人で逃げるか! と、思っていたのだが、他の者に優しさアピールするために言ったのだ!


軽キャンが冒険者ギルドの前に到着した。


中に入ると、テーブルと椅子が点在している。

ほとんど人がいない。

空いてて良いな!


まずは、受付、俺に任せろ。

「あの、はじめてなんですが」

俺は受付のおばさんに声をかけた。

年増だが、おっぱいが大きいムチムチした女性だ。中身がおっさんである俺的には、

……「有り」だ!

豊満なその体を舐めるように俺は、見る!


「わかりました。この玉に触れればいいんですね」

ルファスがそう言って、玉にさわる。

玉の様子を、受付のおばさんがチェックする。

「ステータスの確認が終了しました。

犯罪歴もないようですし、問題ないですね。登録します」

そう言うと、受付のおばさんが何かを書いていた。

その処理が終わると、ルファスの時と同じように、レイラ、キャスカの冒険者登録がおこなわれた。


しかし、でけぇ……

俺は、おばさんの胸を見ている。

「……触ってください。貴方、早く触って」

ん?

俺は、かけられた声に我にかえった。

ボケーっとしてた! 危ない、危ない!変な奴だと思われる。


では、


「きゃぁぁぁー!」

……をムンズと揉まれ、おばさんが叫ぶ。

「うるさいぞ」

俺は、注意してやった。

おばさんが黙った。


全く常識のない女だ。


もみ、・・・もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ、もみ・・・・・


皆、あまりの事に口をあけ固まっている。

「いいのか?、これが、いいのかぁー?」

俺は、豊満熟女の……を、揉む。


肩をね。


だって、触ってと言われたんだからな。

お仕事お疲れさまです!


「でも、みんな登録できて良かったですね」

ルファスが明るく言った。

そうだね。

俺は回復薬(小)を飲み終えた。


レイラは、殺し屋のような目で俺を見ている。

キャスカは、下を向いて震えていた。

俺が、レイラに半殺し、と言うか殺されかけた光景を目撃したためだろう……


俺は納得がいかない!

触れと言われて、肩の事かと勘違いして、ちょっと、少しだけソフトタッチしただけではないか!

まぁ、偶然他の箇所にも手が偶然当たる事もあったがな。

そう言う訳で俺は、被害者だ!


そう思いながら、ルファスが持ってきてくれた次の回復薬(小)を飲むと、体がだいぶ回復したみたいだ!


よーし!

俺は、立ちあがり、みんなを見た。


「俺たちは、これで冒険者になった!

だが、今はまだ残念ながら E ランカー!

これからガンガン仕事して、ランクをガンガン上げていくから皆しっかり頑張るように!」

俺は、皆を鼓舞するように言った。

「ノガミさん! 頑張りましょう」

ルファスが立ちあがり、俺の手を握った。

頑張ろうな!


しらーっと、している女性陣と、我々男性陣との温度差があるような……

いや! 俺の気のせいだ!


「やるぞー!!!」

俺は、ヤル気満々で大きく叫んだ!


「頑張れ! お兄ちゃん、ありがとね! 肩が軽くなったわ!」

受付のおばちゃんが、俺に笑顔で言った。


俺は、冒険者になったので武器と防具を揃えようと思う。

まずは形からだ!


俺は、武器と防具を売る店を、教えてもらう為に、適当にその辺を歩いていた五十代くらいの男に近づいた。


「これ、そこの田舎者め」

俺は優しい口調で話しかける。


「……は?」

なぜか俺は、ソイツから険しい顔で睨まれた。


ああ、そうか!

田舎者特有の排他的感情からくるものであろう。

ここは気にしては、いけない! と、思った。


「武器と防具を売っている店、知らないか?」

俺は、解りやすくハッキリと言った。


「……」


男に、無視された。


「しょうがないわね」

見かねたキャスカがヒロシの元へ走った。


「さっきから見てたけど、貴方、この方に失礼でしょう」

と、言ってきた。

俺は、大人なのに子供に怒られた。



キャスカは、男の方を向いて、剣を振る仕草をした

「ぶき」

と言った。

次に、キャスカは、体を守る動作をして、

「ぼうぐ」

と言った。


「はっ!」

賢い俺は、ピーンときたね。


やるなキャスカ!

キャスカと二人で、売り買いのジェスチャーをする。


「みせ!」


俺とキャスカは言った!


「……いや、何してるの、さっきから?」

男が喋った。

「いや、いや、いや。

アレか?

田舎者は、言葉が通じないと思ったのか?

バカにしやがって! 田舎者が、みんな純朴で素直だと思うなよ」

俺とキャスカは、怒られた。

確かに、ちょっと馬鹿にしてたので、申し訳なかっ


ペチン!


「特に、お前」

男に叩かれた。


「お前だよ、お前! 子供使って、恥ずかしくないのか」

ペチペチペチペチ!

俺は、この男がペチペチ叩いてくるのを、必死で腕で防御している。

キャスカ助けて、助け、って、逃げた。


「なんか、すいません。ちょ、ちょっと、やめ、やめて」

ペチペチ攻撃にたまらず俺は言った。

男は攻撃を、やめてくれた。


男は、フーッと息を吐いて、

「武器と防具売ってる店なら、そこの道曲がって、まっすぐいってから、右側に店の看板出てくるから」

と、教えてくれたので、お礼をいってお引き取り願った。


キャスカ! お前のせいで叩かれた!

キッと睨んどいた。

だが、キャスカは、ルファスとキャッキャやってやがった。



武器防具の店「グドン」ーー

店内で、各々武器を物色している。

レイラとルファスは、あーでもねー、こーでもねーと、武器のメリット、デメリットを真剣に話してる。

よしよし、良いの選ぶんだぞ! と思い、俺は頷いた。


さて俺は、格好いいのを見つけますかな。

見た目が強そうなの……あった。

店主にキープしてもらう。


さて、俺のは決まったし、キャスカは、バカだから決められないハズなので見てやるか。


近くにいたキャスカの元へいく。

キャスカの癖に、いっちょまえに悩んどる。

どれどれ?

なんか、アニメの魔法少女みたいなスティックを一生懸命見てる。


あちゃー、そんなもん攻撃力ねぇーだろ。

俺が見繕ってやるよ。

と、店内の武器をゴソゴソ探した。


あった!


俺はキャスカの元へ行ってあげると、まだ、魔法スティックを見てた。


「キャスカには、こんなのが似合うぜ!」

俺は、棒の先に鎖が付いて、鎖の先端にトゲトゲ鉄球がついた、モーニングスターを見せた。

暴力的な奴には、これがお似合いだ。


キャスカが、モーニングスターを手に取った。

気に入った? と、俺は笑顔でキャスカを見た、次の瞬間、キャスカが俺の頭に鉄球をぶつけてきた。


各々、武器と防具が決まったので、支払いを済ませた。

当たり前だが、俺が支払いをした。

全部俺が支払うことにより、レイラの機嫌が少しだけ良くなったので、嬉しかった。

仕上げは夜のベッドで機嫌を直してもらおう! と、俺は心に誓った。


それぞれ買ったものは、

レイラは、自分で選んだ弓と、俺が選んだエロい感じの、着ると防御力下がってんじゃない? と、言う見た目重視のもの。


ルファスは、ロングソードに、かっこよさげで動きやすそうな革と鉄の胸当ての付いた防具を選んでた。


キャスカは結局、魔法少女のスティックにしたようだ。

鎧と言うか、フリフリの格好でパンツ見えるんじゃないか? と、言うくらい短いスカート。

魔法少女のコスプレをしてるようにしか見えない。


ルファスが、そんなキャスカを見て、はぁはぁ……言ってるのが怖かったので、見ないようにした。


俺は、カッコいい剣を選んだ!

俺の身長はあろうかと言う、いかにも主人公がもつような、イカした剣だった。

だが、重くて使い物にならないので、やめた。

めんどくさいし、適当に堅そうな棒を選んだ。

鎧は、黒のカッコいいロングコートだ。


統一感のない格好の集団になったが……要は、実力があれば良い。

なんか、武器とか揃えたら満足した感じに俺はなった。

もう十分なのでは……

だけど、ルファスがヤル気満々なので……そうだな、冒険者、頑張ってみようって思った。


そう思ったけど、今日はもう16時頃で遅いから、俺は、明日から頑張る!



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