第51話秋の鳥行記 本願


すいません、一年たちましたが続きを



「ヒシクイ、大きい」


干潟と海の接するところにいる十数羽の群れでした。しかしこの場所ではあまりに遠すぎます。主人と相談の上、遊歩道として整備されている真横から彼らを観察することにしました。ヘラサギの群れもそこにいます。ですが二組とも羽の上で首を休めて睡眠中の様です。


「ついたころには目を覚ますかも」期待して歩いて行くと、やはり数羽が目を覚まし餌を捕食し始めました。


「きれいね」

百メートル、それ以上離れた距離ですが、何せ元が大きい鳥ですから、双眼鏡で十分に観察することができます。

ヒシクイは全体的には赤の混じった薄茶色の鳥です、羽の一部には黒があって、とても良いアクセントになっています。しかも真っ白なヘラサギもいるので色の対比がとても面白く感じました。見れば見るほど、本当に野生動物の色と言うのは美しいと感じます。


「撮れる、撮れる! 」


まあ遠いですが、とにかく私はヒシクイに会えたことが嬉しくてたまりませんでした。一時間以上、ずっとそうしていたでしょうか、


「あ! 飛んだ!! 」


急にヒシクイの群れが空に舞いあがり、こちらに来ています。私は持っていたFZでとにかく連写しました。そして彼らは私たちの見えない所に行ってしまいました。


「おお! 結構撮れとるやないか」


主人は私の撮った写真を見て言いました。


FZの力、というか大型の鳥なのでどうしても飛び始めの初速が遅い分、きれいにとることができました。


満足な一日でした。


これを書くにあたり、丁度一年前のこの時の写真を見ていて大切なことを忘れていました。


それはこの時に見たウミアイサの嘴に絡まっていた釣り糸、

取ってあげられる力があればと思いました。











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