第49話タゲリとケリ
古くから稲作を行っていた日本では、田んぼにいるという意味で
「タ」が付く鳥がいます。前述したタシギ、ヒバリとはあまり似ていないタヒバリ、そしてこのタゲリです。
実は一羽だけなら見た事がありました。しかもタシギとのツーショットでしたが、その時に思ったのは
「タゲリって派手な鳥、日本でどうして生きていけるのかしら? 」
タシギは茶系ですから、草むらに隠れてしまえば完全なカモフラージュになりますが、タゲリは大きさはタシギより少し大きく、しかも足が長い、更にその上にピコっとまるで平安時代の貴族の烏帽子のように立った飾り羽があるのです。
体色も構造色で、光の具合で黒や紫等、とても美しく見えます。彼らがやって来るのは真冬、ほとんど田んぼにいますが、稲は完全に刈り取られています。
そしてもう一つ大きな疑問
「どうしてケリとタゲリが同じ仲間だとわかったのだろう」
ケリという鳥も多くの方がご存じないでしょう、私もこの鳥を最初に図鑑で見て
「残念な鳥」と思ってしまいました。
本物を見るまでは。
野鳥の情報は色々な所から入ってきます。インターネット、同じバードウオッチヤー、また自分で見つけた所。しかしこの自分で見つけた所の多くは、後で聞いたら知っている人がかなりいたりします、経験に勝るものはありません。そして生息地とは知らずに「たまたま」出会うこともあります。
その日も夫婦で野鳥撮影を楽しんだ帰りでした。
田んぼの上を、見たことのない大きさと、色の鳥が飛んでいます。しかし
「あれ、ケリ!! 」
と私たちは二人で言いました。
タゲリを図鑑で見て「ケリ」という鳥の存在を知ったからです。
ですがこのケリ、タゲリとは似ても似つかないような姿だったのです。足が長いのは似ています、しかし似ているのはそこくらいで、まあ、分かり易く言うとタゲリは小鳥をそのまま大きくしたような、目もうるっとして大きく可愛いのです。
一方ケリを例えるとするなら、嘴のとがったウミネコ、大型のカモメ類の様だと、写真でも絵の図鑑でもそう思いました。
ですが
「キョキョ!! 」
というかなり耳障りな鳴き声を出しながら、低く飛び、お腹と翼の内側の真っ白な色と、タンチョウヅルを思わせる羽の縁の黒を見た時
「綺麗!! 」
と二人でまた言いました。明らかに私たちに対する警戒行動でしたが、それが治まって田んぼに降り立ったケリを見た時
「ごめんね、残念な鳥とか言って」
とこれも二人して謝りました。
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