第43話秋の鳥行記 ベニマシコの好物
「ほら、ここ」
撮った写真を主人から見せてもらいました。確かに草の上にちゃんと止まっている写真です。ですが、草むらの中なので、むずかしいことではありました。
心機一転、腹ごしらえをしようと、温めていたレトルトハンバーグはかろうじて「冷たくはない」程度でした。が、さすがに秋の風で、そのまま数分置いただけで急激に冷めてしまいました。でもとにかく寒い日には、ちょっとでも温かいものが食べたいので主人が
「保温ができる大き目のランチボックスを買ったら? 」
「えー! 」
鳥行には絶対向かないものです、リュックの中にそれだけしか入っていない状態になるし、特に重さの点でどうしようもありません。
しかしながら、鳥のいる場所というのはそんなに町のど真ん中ではないことが多いので、食料、飲料は多めに持っていた方が良いのです。
現在このことは保留中です。
で、とにかく食べた後に去年見た所まで下がろうということになりました。セイタカアワダチソウの茂みです。
するとそこに降りていく途中、木々の間に数羽の鳥の群れがいます。ちょっと大き目で、メジロでは決してなさそうでした。
「多分ベニマシコ! 赤いのが見えた!! 」主人を信じて彼らが飛んでいった方向、そう、外来植物の王者の所に急いでいきました。
「いたいた!!! 」
肉眼でもほんの少しの赤と、そうでない地味な色の鳥、どうもカップルの群れなのかもしれません。
「ボリボリボリ・・・・」
その音が聞こえてくるように必死に食べています。
そうなのです、彼らは「セイタカアワダチソウの実」を食べるのです。
実はこのことは昨年、バードウオッチヤーの先輩方に聞いていました。
「セイタカアワダチソウを食べるんですか? 」
「随分撮らしてもらったよ、でももう食べつくしてしまったかな」
去年はその方の言う通り「食べているベニマシコ」を見ることはできませんでした。しかし今年はそのことまで考えて来たわけではなかったのですが、幸運でした。
「食べてる食べてる!! 」
ちょっと遠かったですが、食事風景はとてもユーモラスで楽しいものでした。
しかし、私が見る限り、セイタカアワダチソウを食べている鳥は見たことがありません。この植物は毎日のように見ていますが、お米が好きな日本の留鳥たちには、美味しいと感じないかもしれません。
ではベニマシコがもともといるシベリアなどではどうかと言うと、実はこのセイタカアワダチソウは北米原産で、明治以降に急激に日本に繁茂したようなのです。浅学で申し訳ないのですが、たまたま彼らの好みに合ったのでしょう。
「特定指定外来種だけど・・・取ってしまったらベニマシコが来なくなるかな・・・・・」
外来種の除去は私も必要だとは思っていますが、完全にそうしてしまうと、生態系にも影響があるのかもしれません。
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