第37話チョウゲンボウその1


 この鳥の名前をご存知の方はいらっしゃるでしょうか。私はもう十数年前に名だけを聞き

「変わった名前だな」

第一印象はそうでした。この鳥の名前の由来も諸説あって、きっと将来的にも解明することは難しいかもしれません。例えば前述のサンコウチョウやキクイタダキは

「鳥が好きで、とても洒落たセンスの持ち主」がそう言って、瞬く間に広まったのではと想像されるのですが、このチョウゲンボウは手強そうです。


薄茶色に統一された小型の、ハヤブサの仲間

「長元坊」

漢字の表記ではこうです。坊が付いているので頭が丸いと想像されるでしょう。確かにオオヨシキリのように頭の毛が立っているわけではなく、他の鳥に比べればツルンとした感じです。そしてオスだけが頭が灰色なので確かにお坊さんのように見えます。しかしメスや幼鳥は頭も茶色いのです。

また一説によるとトンボの事を「ゲンゲンボウ」と呼ぶ地域があり、そこからきたのではというのもあります。

「鳥と虫では大きさが違うだろうに」と思いますが、鳥好きにとっては大きな蝶が小鳥に見えたりするものです。またチョウゲンボウは尾羽が長く、加速前はハヤブサ同様(インコの仲間なので)せわしなくパタパタ飛ぶときもあります。ですからトンボに例えたのは私としては頷ける話です。


 彼ら彼女らとの出会いは三年前、私の職場近くに撮影に来ていた主人が見つけました。


「さっきチョウゲンボウがホバリングするのも撮った! 今鉄塔の上におる」


「え? どこどこ? 」


ハヤブサがいつも鎮座している所には居ません。

「一番上の、横にせり出した所よ」

主人から「鉄塔マニア」と言われるくらい、いろんなタイプの鉄塔をカメラに収めている私ですが、よくわかりません。

「ほら、真ん中あたり、今動いた」


「ああ! 分かった! あれ? ちっちゃい!」


ちょっと失礼な第一声でした。



 チョウゲンボウの大きさは「ハト大」と表現されています。小型の鷹ツミも「ハトだろう」勘違いするほど小さいです。しかしことチョウゲンボウはかなりハトより大きく見えます。ここからは私なりの所見ですのでご了承下さい。


 人でも身長の高く見える人、とその逆の人がいます。前者の事を経験上考えてみると、その人たちは「姿勢と、体のバランスが良い」ように思えます。頭の大きさ、手足の長さ等均整がとれている、昔的に言うと「スタイルがいい」人がほとんどです。チョウゲンボウも私にはそう思えます。


 二年前、私が初めて自分の力で発見した時もそうでした。冬の曇り空、カメラに映りにくいのだけれど、こんな日が鳥は大好きなのだとわかった頃でした。


「あれは尻尾が長い、カラスじゃない、ツグミより一回り大きい! きっとチョウゲンボウだ!! 」


中学校のすぐそばの電柱でした。




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