第35話キクイタダキその1

 

 キクイタダキ、菊を戴く。成鳥は頭が黄色く、英名は王冠を意味する「ゴールドクレスト」です。ヨーロッパのルクセンブルグ公国では国鳥になっています。

私が野鳥を観察するようになって、本当に驚いたのは


「どうしてこんなにかわいいのに、この鳥の名前を知らなかったんだろう」


ということです。シジュウカラやメジロの名前は以前から知っていましたが、

このキクイタダキや、写真集にもなったシマエナガ(北海道にだけいるエナガの亜種)エナガなどは日本にいる留鳥なので、見ることは可能なはずなのです。ではなぜなのでしょう。

答えは簡単、彼らの動きが「あまりにも速い」からです。


ことこの「キクイタダキ」は動きまわる、ホバリングする、高い所にすぐ行くので、写真に収めるのは一苦労、二苦労です。

まだエナガやミソサザイの方がじっとしている時間があります。それはやはり食性に関係しているのでしょう。エナガは虫も植物も食べるようですし、ミソサザイは地面の虫を突っついて食べている姿を、写真に収めたことがあります。

 ですがこの「キクイタダキ」は昆虫食と言われています。一か月ほど前に獲った写真では、嘴からクモの足が見えていました。撮っている時には全く気が付きません、とにかく追いかけるのに夢中になっているからです。そしてまたこの鳥の特徴としてよく知られているのが


「人を恐れない」ということです。


そうなのです、実は目の前に来たりするのです、ですがとにかくじっとしないので

「撮れるわけないだろう」

と可愛い顔して言われている気がしてなりません。そして今日、主人は彼らと格闘する運命にあります。


 先日主人とキクイタダキがたくさん来ていると言うところに行ってみました。

「松の先端の白い部分を食べているみたいに見えたんよね、その中の虫を食べているかまではわからんけど、ほら、この松」

公園の遊歩道の真横の小さな松、こんな木にも彼らはやって来るのです。しかし


「あれ? 白い所が全部なくなってる」

「もしかしたら全部食べちゃったとか・・・」


案の定、その公園から彼らの姿は消えていました。ですが野鳥とは本当に意外な所にいるものです。以前はほとんど鳥を見なかったような大通りに面した公園にいるのを主人が見つけました。しかし茂った木の中なので


「ああ、今日も証拠写真!! 」とは昨日の嘆きです。


ドムでは難しいのです。サザビーに乗る私の苦労がわかったでしょうか。


 


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