第33話日本国中


「ヒッ ヒッ ヒッ」


今皆さんのおすまいの所でも、この声が聞こえているのではないでしょうか。

虫ではない大きな声、ちょっと金属的な音を発するこの声の主は

「ジョウビタキ」です。秋に渡って日本で冬を過ごす「冬鳥」で、よくアンテナや電線に止まって囀っています。オスもメスも一羽ずつでなわばりをもつと言われているため、数日前オス同士が飛び回って追いかけっこなのかバトルなのかをしていました。

 また鳥の変わった特徴の一つである「オスメスが全く違う」タイプの鳥で、オスは頭が白、シルバーで体はクロ、お腹がオレンジときれいです。一方メスは本当に地味な色をしています。ちょっと暗い林に止まると、色では判別が難しいほどです。子育てのための色なのでしょうが、しかしメスはアイリングという目の周りの白い色が可愛く、本当に「ジョビ子ちゃん」で、かわいらしいです。


 オスメスのなわばり争いはあるようですが、不思議と他の鳥、たとえばスズメやシジュウカラがすぐ横に止まっていても、別に威嚇することはありません。それには食性にも関係しているかもしれません。ジョウビタキは基本昆虫食で、餌が少なくなった場合は植物も食べるようですが、日本の鳥たちと「かぶる」ことは基本ないからなのでしょう。

毎年ほぼ同じ時期にやって来る冬鳥たち、時々

「人間の家でカレンダーを見ているのかしら」

と本気で思う私です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る