第31話「撮れた? 」


「二羽おる! 」


と主人が叫ぶように言いましたが、私はそこまでの確認はできません。彼らの文字通りお尻を追っかけているようで、見返り美人?の写真しか撮れていないのもわかっていました。

しかしこのムシクイ君も、時々いるタイプの子で、最初はからかうように動き回るのですが、数分後、わざとのように視界の良い枝の先端などに止まってくれるようになりました。


「撮ってもいいよ、でもきれいに格好良く撮って。絵になる枝に止まっているんだから」

そう言わんばかりの動きです。

が、ファインダーがあるにもかかわらず、私はほとんど撮れていません、そうして数分のフィーバーののち、どこかに行ってしまいました。


珍しく主人が


「撮れた? 」


と私に聞きました。


「そう聞くってことは撮れてないんでしょ? 」


「うん、ピントが合わんやった」


「私も駄目」


結局この日は、何故だか運に見放された日でした。

海の岩場の端に「チュウシャクシギ」という大型のシギがいました。


「近寄ってみよう」とサイクリングロードから岩場に降りると、今度は全く見えなくなってしまいました。要は視線が低くなってし、岩の陰などで隠れてしまっているのです。急いで元居た所に戻った時には、既に遅しで、どうも飛び去った後の様でした。


「はあ・・・」


お腹がすいたので昼食を取ることにしました。私が席を離れている間、

主人が私の鳥果を「のぞき見」していたのがわかりましたが、

主人も「これぐらい撮れ! 」という、いつもかなり上から目線の言葉も出ずじまいで家に戻りました。


 あのムシクイ君は多分「センダイムシクイであろう」と思います。きれいに撮れたものがないので、どうしてもそうなってしまいます。これが春ならば断定できるのです。何故なら彼らの鳴き声がとても面白くて「焼酎一杯 グイ―」と聞きなしされていて、誰が聞いてもわかるのです。

しかし繁殖期も終わって、彼らも南の国に帰る途中なので、鳴きません。ですから秋の小鳥は見つけるのも苦労します。


しかし、これから全国的なイベントが待っています。


それは「タカの渡り」です。


今多くの所で、でカウントが行われています。

私の住んでいる所では「ハチクマ」が見られるのですが、これが場所によってタカの種類も違ってきます。

「タカの渡り全国ネットワーク」というサイトがありますので、興味のある方はご覧になってください。

そしてこのネットワークに参加して、毎日数を数えていらっしゃるバーダーの方に、心から感謝と敬意を。





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