第24話ちょっとだけ虫の話
暑くなるとなかなか鳥を撮ることも難しくなります。しかし二日前の昼休み、いつもの川辺にいるとカラスが何かを追いかけています。
「あれは何! 」
サザビーをズームしている暇はなく、とにかく撮りましたが、何せ豆粒しか映っていません。希望的には「フクロウ」なのですが、まあ、大きさからすればあり得るとはおもいます。
しかしながら
「双眼鏡で見ればよかった・・・」
という後悔先に立たずでした。
という訳で昨日も同時刻に行くと、ツバメは相変わらず元気よく飛んでいるものの、何一つ変わったこともありません。大きな木の下パラパラと何か小さなものが降ってくるのも日常です、しかしふと自分の手の甲見ると、小さな草の切れ端のようなものがあります。
落とそうとするとなんと、動くではありませんか!
「え! 虫! 」
どんどん登って行き Gショック型の私の時計の外側とほぼ同じ大きさ、5ミリと言うところでしょうか、小さな綿なのか脱皮した殻なのかを付けたままの虫です。ハサミムシのような口をして、そのままずっと私の肩の方まで登っていきました。もちろんサザビーで撮ったのですが近すぎるし、液晶は見えないしで逆にきちんとした写真になりませんでした。そうしているうちに被写体君は行ってしまい残念に思っていると、私のズボンの上にも何かいるではありませんか! しかもこの子はイネ科の実を体に何個もしょっています。
「面白い! 面白い! 」
と何とか指に乗せようとしましたが、まったく駄目です。これこそ個体差なのでしょうか。何枚か写真を撮った後どこかに消えてしまいました。
「久々新しいものが撮れたな」家に帰ると主人も興味津々で早速調べてくれました。
「クサカゲロウ」の幼虫ではないか、という結論に達しました。
川辺に住み、アリジゴクのような巣は作らず、虫を食べる。そして身を隠すためなのか、いろいろなものを乗せる習性もあります。
成虫は緑色のカゲロウでそのための「草」だという訳ではなく、においが「臭い」から来ているそうです。
「見に行きたいな・・・」と主人が言うので、今日の昼間も同じところで待っていましたが、まったく彼らは現れてくれませんでした。何故なら彼らの幼虫の期間はわずか「十日ほど」らしいのです。その間に身を隠しながらたくさん食べて、さなぎになり成虫にならなければなりません。
鳥は夏羽と冬羽が全く違うものもいますが、虫ほど姿は変わりません。
「虫の世界は、異次元だなあ」
元気に美しいカゲロウになった姿を、もう一度撮りたいと思います。
昆虫は宇宙人、若い頃はそんな説もありました。自然の中を見ていると、驚くようなことがまだまだたくさんあります。
来年は
「幼虫がものを乗せようとしている様子」をムービーでと、極小スクープを狙うつもりです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます