第19話世界共通
少し話はそれますが、現在私の住んでいる所では「水曜どうでしょう」という深夜番組が放映されています。北海道テレビ制作の十数年以上前のもので、ミスターと呼ばれる男性とまだ三十代の大泉洋さんの世界珍道中? なのですが、私は
「お前好きやなあ」と主人が言うほど、見ては笑っています。この中で
「南米コスタリカで幻の鳥ケツアールを撮る」というシリーズがありました。
バズーカ、と彼らが呼ぶ巨大なカメラで南米の美しい鳥を撮るのですが
「これは手持ちじゃ無理やろう」
と夫婦で見ていると案の定、撮れたのは俗に言う「証拠写真」でした。何の鳥かはかろうじてわかるものの、ピントがずれてしまっているのです。ピントが合っていても枝や葉っぱがかぶっていたりするとこう呼ぶこともあります。
「重そう・・・フイルムカメラかな? 手ぶれの嵐だよね」
と他人事でゲラゲラ笑っていましたが、目的のケツアールにはなかなか出会うことができません。
神の使いとも言われるこの鳥は、鮮やかな明るい緑色で胸は赤、アイリングはないものの、サンコウチョウをそのまま二倍にした形の大きな鳥です。世界的にも美しい鳥として知られています。
結局最終日にガイドの案内で、彼らはケツアールを写真に収めることができるのですが、そのガイドさんは
「曇りの日の方が彼らが出てくる」
そう言いました。
「ああ、やっぱりそうなのね」
長い尾羽で見る人を引き付ける鳥、燦燦と日差しの当たる中に出てしまっては外敵に狙われてしまいます。サンコウチョウ、いえ鳥たちはほとんどそうなのです。カメラにとって最適な日には、ほとんど姿を現してはくれません。曇った日、うっそうとした茂みの中が大好きな彼ら。しかし「撮りたい」とバードウオッチヤーが思う以上、そのためにカメラは永遠に進化し続ける運命にあります。
「いきなりサンコウチョウが現れてね、急いで撮ったから切れているかと思ったら、入っていてくれた」
と同じ公園で待っていた男性から見せてもらったサンコウチョウは
「ああ! きれいですね! きれいに全体が映っている! 」
正直羨ましい限りでした。詳しく聞くと、珍しく日の当たるところに出てきていたそうで、アイリングも、写真ににぴったりと納まった長い尾も、自然な美しさそのままでした。
結局私たちはその日もサンコウチョウに出会えず
「しばらく通うかな・・・」と主人がつぶやいた後、即
「フクロウおらんかな? 」
「カラスが少ないからいそうなもんだけど、このうっそうとした山じゃね・・・」
もちろんこの鳥も忘れてはいません。年々ライフワークが増えていっているのは幸福な事なのか、でもとにかく今年の夏は
「サンコウチョウの夏」にしたいとは思っています。もし撮れたならば、実録版で報告いたします。
ユーチューブにサンコウチョウの営巣の様子があげられていますが、あれは、ある程度雛が大きくなって撮っています。卵を産んですぐでは敵に居場所をさらしているようなものですから、彼らにとっては
「止めてくれ」もしくは
「子育てやめよう、見つかって自分も食べられたらいやだもん」で巣の放棄につながってしまいます。
来年のためにも、その方たちが気を付けて撮影していることを付け加えておきます。
この美しい鳥をどなたか見た方はいらっしゃいませんか?
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