第6話驚異の生態


フクロウの鳴き声といえば

「ホーホー ホーホー」と誰しも思い浮かべますが、この鳴き声は

「アオバズク」という種類のフクロウです。このアオバズクは夏になると日本に子育てのためにやって来て、冬になる前には中国南部、東南アジア方面に帰って行ってしまいます。日本に住むフクロウではなく、このアオバズクの声を一般的なフクロウの声と思っているのは、昔は相当数のアオバズクが渡ってきていたからかもしれません。

しかし地球全体でみるとそう数は減ってはいないようで、日本には毎年やって来て

「子育て場所になっている神社」が各地に存在します。

 私もアオバズクは撮ったことがあります。まだ雛の頃の羽毛を残したものが木の洞から出てきていて、それは愛らしかったです。

「ごめんね・・・シャッター音がうるさいよね」と思いながらも撮ってしまいました。実はこのアオバズクの声も家の近くでしたことがありましたが、やはりわからなかったのです。

 

 昨日、初めてお会いしたバードウオッチヤーの方にフクロウは撮ったことがあるかと尋ねると

「ありますけれど、私もいるという情報をつてに行きましたから。見つけ出すのは至難の業でしょうね。それにいても今しか撮れないでしょうから」と、きれいなフクロウのドアップの写真を見せていただきました。

そうなのです、今しかチャンスはないのです。だって彼らは一年のうち

「数日しか鳴かない」のですから。


 鳥の「さえずり」は恋の歌です。繁殖期、その前後のもので、真冬にウグイスがホーホケキョと鳴くことはまずありません。その時期彼らは「チャッチャッ」というような警戒音的な声しか出さないのです。他の鳥もそうですが、いかな何でも「数日」は極端な習性です。ですから私たちはほとんどフクロウを見ることはできないのです。

 私もバードウオッチングを始めた頃、あまりにも鳥を見つけられないので、やみくもに双眼鏡で見ていたことがありました。しかし無駄すぎる努力でした。

「動くか、鳴くかしてくれないと、わからんもんね」

先輩方の言葉に安堵して、鳴き声や小さな音、不自然な葉っぱの動きに注意するようになりました。

しかし、フクロウの飛翔を見てからやはり

「実物がこの目で」という思いは強くなり、近くの神社仏閣をめぐってみましたが、ある鳥の姿が目に入り「此処にはいない」と帰りました。


 去年の今頃です。私は真夜中にけたたましい鳥の声で目が覚めました。

カラスです。

「どうしたの? 」まだパソコンで遊んでいる主人に聞くと

「さっき、フクロウの鳴き声がしたからな・・・」


天敵、ライバル、いじめっ子、フクロウにとってカラスはそうなのです。

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