第4話初心者向けカメラの話2 


「より手軽にカメラを」

きっとその考えでコンデジは開発がすすめられたのでしょうけれど、スマホの登場によって将来「存続の危機」がささやかれています。

しかし私は

「なくなることはないのでは」と考えています。

もし「カメラを一台だけ持つのなら」と問われたら私は間違いなく

コンデジを勧めます。本当に携帯に便利で使いやすいからです。


息子は子供が生まれた時(私たちにとっては初孫ですが)やはり一眼レフを買いました。

「写真を、動画を送ってね」と頼んだところ、送られてきたのはスマホの映像ばかり。考えれば幼子を連れて、ごっつい一眼を首から下げるのは面倒な事でしょう。


「これ使ってる? 」

「使ってない・・・」遊びに行ったときに一応聞いては見ました。まあ、箱の状態を見れば使ってないのは一目瞭然、

そしてそのころはまだ始めたばかりだったので、


「ねえ、これ、ここにいる間使わせてもらおうか? 」と主人に言うと

「使い物にならんぞ、三倍四倍なんやから」

「え! そんなに低いの! 」で一計を講じようと


「ねえねえ、それじゃこれ用の望遠レンズ買ってここに置いとくとか、それならカメラ持って来なくていいでしょう? センサーも大きいし、カードだけ持ってくれば」

「レンズ、十万するぞ。この本体より高い」

カメラを使うようになって、カタログ収集とネット検索に余念のない主人から、バッサリ言われてしまいました。


 かくして日々は過ぎてゆきました。サザビーをもらったのは三年前の十二月。今まで寒いのが大の苦手で冬は「ひたすら耐える」だけだった私が寒さもなんのその。

「寒いでしょう? 」昼休みの鳥行?(ちょうこう、造語なので一般的ではありません)の後の同僚の気遣いに

「大丈夫です、山用のインナーを着ているので」

寒さなんか本当にどこ吹く風、それよりもハヤブサに、生まれ変わったらこの鳥なりたいという主人の「チョウゲンボウ」に会えるのです。

もちろん毎日ではありません。しかし日勤こそが、いえそれしか方法はないのです。「出てきて」と祈りながら。

 

 しかしそうして撮影していると「こんなに人は揺れるのか? 」というほど、じっとしているのは難しい。そんなに強風でなくても、カメラを構え、鉄塔に留まっているハヤブサ(三十分くらいじっとしているときもあるので)を動画に撮ろうとすると、画面が揺れて仕方がないのです。倍率を高くすればする程、ちょっと動いただけで姿が消えてしまいます。

「固まれ! 」と自分に言い聞かせ、脇を締めて、一分が限界に近いです。

「そう言えば林家パー子さん、カメラを撮るときピタッと止まってたっけ」と今更ながら感心し経験を積むしかありませんでした。

 

 実はサザビーを買ってもらった時私は「嫌な顔」をしていたのだと思います。

「お前もこれ欲しいやろう? 」

「いらないって! 」熟年夫婦にありがちな会話です。

何故なら、どうせなら違うメーカーのものも使ってみたかったからです。しかしサザビーでいろいろな鳥と出会う度に感謝と愛着がわき、あっという間に春に近づきました。そして日差しが強くなり始めた頃、私はまた叫んでしまいました。


「ああ! やっぱりコンデジでもファインダーのあるものにすればよかった! 明るすぎて画面が見えない! 」


しかしながらそう感じていたのは、我が家のカメラカタログ収集家もそうでした。彼がドムを手に入れて一年、熟考と、何故か可愛いくらいに私の許可を求めた末に買ったのが


パナソニック FZ 1000


この評判の良いカメラが、我が家では数年にわたり論争の元となってしまうのです。



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