楽しい合宿!!

 風華の提案で合宿に行く事になった藤子達は、駅で待ち合わせしていた。

「合宿って、どこでやるのかしら……?」

 風華の提案だからと乗った藤子だが、合宿云々よりも、友達とのお泊りが楽しみな様子。証拠に妙にはにかみながら、そわそわしていた。

「確かキャンプ場。コテージ借りたんだって」

 合宿云々よりもキャンプが楽しみな様子の美鈴。

 ワクワク感が強い二人は、テンション上がりまくりだった。

「ちょっと!何で私も参加しなきゃならないのよっ!漸く匂いも取れたってのにっ!」

 翡翠が仁王立ちしながら文句を言った。

「風華に聞いたら?」

 藤子の言う通り、翡翠を誘ったのは風華なのだ。よって知らないので風華に聞けとの事。

「ってか、何?その荷物?」

 美鈴が指差した翡翠の足元には、アタッシュケースが3つ、リュックが1つ、ダンボールが6箱置かれている。

「そりゃ着替えとか、訓練用のジャージとか、自炊ならお米やお肉とかも必要だろうし、一応、何かあった時の為に予備のコンロも炭も持って来なきゃならないでしょ」

 翡翠の荷物で一週間は過ごせそうだ。そこは素直に感謝したい。

「まぁ、よろしくね」

「そうね。取り敢えずはよろしく」

「仕方無く行ってやるんだからね!だいたい合宿なんて、私には必要無いんだから!」

 ソワソワしながら言い放つ翡翠。なんだかんだ言いながら、楽しみにしているようだった。

「ハァ、ハァ…お待たせっ」

 息を切らせて走ってきた風華。

「遅かったのね……」

 そう言いながらも、藤子の視線は風華の後ろに向いていた。

「ちょっとね。ほら、挨拶して」

 風華の後ろから、一人の美少女がヒョイッっと顔を覗かる。

「この子が話していた転校生?」

 一応みんなに話しは通していた。

「どうも~……皆さん初めまして~……御酒原 つくし~……ラフレシアン ホーステールやらせて貰っていますぅ~……よろしくぅ~……」

 つくしはニタァと笑いながら挨拶をした。

「私はシスター・ドリアン!!縁あっての合宿参加だけどよろしく!!」

 つくしはチラッと翡翠を見て呟く。

「ラフレシアンじゃないの~……じゃあ……味方じゃない訳~……?」

 拳を握り固めるつくし。妙にワクワクした顔つきになった。

「味方よ味方っ!!ここに呼んだ時点で味方に決まっているでしょ!!」

 慌てて風華が間に入って止めた。

「冗談よ冗談~……チッ」

 舌打ちをしながら翡翠から離れるつくし。

 危ない奴が仲間になった。口に出さなかったが、場にいる全員がそう思った。

「……と、ところで常夏は?」

 腕時計を確認する藤子。電車の出発時間まで、もう僅かだと言うのに、常夏の姿が見えない。

「もしかしたら……忘れているんじゃ……?」

 美鈴の不安は全員の不安。かなり有り得る事なので、風華は蒼白になった。

「あの女は来なくていいわよっ!!」

 翡翠だけはまっっっったく歓迎しない様子。メッチャクッチャにやられた怨恨が残っている。

 というか現在進行中で怨んでいる最中だ。

「と、とにかく電話してみるわ!!」

 風華は慌てながら携帯電話を取り出し、常夏にコールした。

『はぁ~い……もしもぉし……?』

 一応電話には出たが、声の質が少しおかしい。

「……あなた……まだ寝ているでしょ?と言うか電話で起きたでしょ?」

『あったりぃ~!!凄いね風華ちゃん、よく解ったねぇ!!もしかしてエスパー?』

 本気で驚いている起きたての常夏。

 風華は大きく息を吸い込み、そしてありったけの大きな声で怒鳴った。

「何やってんのよアンタはっっっ!!!昨日電話でもメールでも確認したでしょうが!!!今日から合宿だって言ったでしょうがあああぁぁぁぁぁあ!!!!!!」

 風華の怒鳴り声にビビって固まる藤子達。それを見たつくしが呟いた。

「やっぱ~……こいつが一番強い訳ぇ~……?」

 風華が呟きを拾ってつくしを睨み付けた。ビクッとしてつくしも固まった。

 そして小さい溜息を付いて呟き返した。

「……私が一番じゃないわよ」

「……え~?」

 コホンと一つ咳払いして、携帯に向かって叫んだ。

「今すぐ駅に来なさい!!早く来なさい!!解ったわねっっっっっっ!!!」

『え~?今すぐ?朝ご飯もまだ食べて無いんだよ?』

 ブチブチブチと血管が切れる音がした。

「いいから今すぐ来いって言ってんでしょうがああああああああああああああああ!!!!」

 其の儘キレて電話を切ってしまった風華。不安そうにみんなに聞いてみる。

「……常夏は来るわよね?」

 藤子が首を良きに振って発した。

「いいわ。私が迎えに行くから。電車が来たら先に行ってて」

 常夏は恐らく来ない。

 ってか忘れる。

 風華は、藤子の提案に安堵しながら頷いた。


 常夏の家まで迎えに行った藤子。常夏のお母さんが出迎えてくれた。

「あら藤子ちゃん。常夏なら今ご飯食べているわ。上がって上がって」

 愛想笑いしながら上がる藤子。

 常夏はまだパジャマのまま、朝ご飯を食べていた。

「常夏……今日から合宿なのを忘れていたの?」

「モグモグモグモグモグモグモグモグ…あ、藤子ちゃん!合宿?何だっけソレ?」

 軽く眩暈がした藤子。

 亜羅漢も言った筈だが、恐らく亜羅漢は常夏に疲れきってダウンしているのだろう。

「とにかく、ご飯食べたら出るわよ。おば様、実は今日から園芸部の合宿だったんです。恐らく、たった今知った事でしょうが、常夏を連れていきますね」

「え!?それホント!?常夏っ、アンタはまたっっ!!藤子ちゃんごめんねー!!いつも迷惑かけて……」 

 常夏のお母さんは本当に申し訳なさそうに頭を下げていたが、常夏本人は、まるで他人事のように朝ご飯をモグモグと食べていた!!


「海だ!!」

「海ね」

「海かぁ~……」

 合宿所は海辺の街。若干テンションが上昇している美鈴達に風華が窘める。

「遊びに来たんじゃないんだからね、それに、クラゲが出ているから入れないわよ」

 だが、残暑が厳しい今、海での合宿は非常にありがたかった。

「さあ、コテージに荷物を置きましょう」

 コテージを目指して歩く風華達。

 道中、何度もナンパされた。

「ったくウザイなぁ~……」

「ダメよ。普通の人間なんだから」

 苛立つつくしを窘める風華。

「きゃあ!!無理やり引っ張らないでよっ!!」

「あなた達不細工な男には私は勿体無いわっ!!」

 断れど断れど湧いてくる男共にうんざりだった。

 だからキレた。比較的簡単に。

「面倒だからぁ~……」

「やっちゃうわよっ!!」

 翡翠とつくしは群がるナンパ男達をぶっ飛ばした。

「ぎゃあ!?お前等、少しは大人しくぶっ!?」

 最後まで言わせずに美鈴が顔面を踏み抜く。鼻血が大変な事になっていたか、お構いなしに何度も踏み抜く。

「やれやれ、仕方ないか。みんな、ちゃんと手加減するのよ」

 諦めた風華は一足先にコテージに向かった。


 風華達がコテージに到着してから数時間後、藤子が常夏を連れてやってきた。

「うわうわうわ!!なんか素敵なコテージぃ!!」

 到着するなりコテージの周りをグルグルピョンピョン移動する常夏。テンションの上昇が著しい。

「アンタね!!その前に私達に何か言う事ないの!?」

 苛立つ翡翠が常夏の前に立ち塞がった。

「……え~っと……誰だっけ?」

「マジでぶっ殺す!!殺すわこの女ぁぁぁ!!」

 掴み掛かる翡翠だが、簡単にひょいと避けた。

「それよりも、ここに来る途中、男の子達の屍がゴロゴロ転がっていたけど」

 藤子はコテージまでの道中、男の屍がゴロゴロ頃買っていた事を不思議に思った。

「ああ、ナンパ男を殲滅しただけよ」

 遅れて来た常夏達が話をしている最中、つくしがひょいと顔を覗かせる。

「あ、常夏、この人新しいラフレシアンで……」

「ホーステールですぅ~……エブリシングサマーだよね~……相当強いらしいねぇ~……」

 ニンマリ笑いながら手を出して握手を求めるつくし。

「強いのかは解らないけど、負けた事は無いよ~」

 差し出された手を握る常夏。同時につくしが握力を強めた。

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっっ!?」

 たまらず握り返す常夏。

「ふうん……成程痛いわぁ……へえ……」

 力試しは終わりだ。とばかりに、力を緩めた。

「チャーンス!!」

 常夏はつくしの手のひらを握り潰すが如く力を込めた!!

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃ~っっっ!!」

 慌てて力を入れるが、時既に遅し!握り返す事ができない!

「あの場合はお互いに力試しは終わった!!って感じで手を離すでしょ~普通~!?」

 脂汗を流しながら抗議するも、一向に力を緩めない常夏。

「力試し?何それ?」

 ギリギリギリギリギリギリ!!

 ヤバい!!握り潰される!!

 たまらず両手を以て握り返そうとしたつくしのテンプルに!!

「美少女ニーキーック!!」

 と、膝をぶつけた常夏!!

「くはっっ!?」

 身体が崩れ、地に膝が付く。

 そしてつくしはギョッとした。常夏の膝が自分顔面を狙っていた事に気付いて!!

「常夏っ!!やめなさいっ!!」

 つくしの顔面スレスレにピタリと静止する常夏の膝。

 常夏はニッコニコしながら言う。

「私の勝ち~。よろしくねつくしちゃん。」

 そう、膝を付いたつくしを引っ張り上げた。

「あ~……まぁ~……今回は負けとく~……」

 苦笑いしながらも、つくしは負けを認めた。そして風華の呟きを思い出す。

 ……私が一番じゃないわよ

 こいつが一番強いんだ。いや、強いだけじゃない、危ない。しかもナチュラルに。

 こいつとだけは喧嘩しない様にしよう。と、硬く心に誓ったつくしだった。

「私は負けを認めてないからねっっっ!!」

 横から見乗っかって来た。翡翠。何度も何度もやられてもこの強気は天晴れである。

「え~っと、誰だっけ?」

 全く他意の無い、本気の忘れ顔を向ける常夏。

「本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当にムッカつくわっっっ!!若大路 翡翠っっつ!!もう名乗らないからねっっっ!!」

「馬鹿王子 翡翠?」

「馬鹿はアンタでしょうがあああああああ!!」

 もし、もしも憤死と言うのが本当にあるのならば、今の翡翠はかなり危険な状態だ。

 事実、翡翠は額の血管を浮き上がらせて、もう少しで血管から血を噴き出す寸前なのだから。



「ちっくしょ~!なんなんだ、あの女共はぁ!!」

 先程つくし達に粉砕されたナンパ男のリーダーは顎をさすりながら憤慨していた。

「可愛かったけど、バケモンみたいに強かったすね……」

 無理やり連れ出そうと試みたリーダーは、舎弟達を大勢使ったが、その全てが病院送りとなってしまった。

「使えねぇ連中だなぁ!!」

 八つ当たりで近くにあった黒いゴミ袋を蹴っ飛ばす。

「ぐあ!!」

 蹴っ飛ばされたゴミ袋が飛び上がった。

 驚き、後退るナンパ男達。

「な、なんだテメェは……?」

 黒いゴミ袋だと思っていたものは、黒光していたタイツみたいな物。それを全身にスッポリ被っている人間だった。

 いや、人間ではない、変態だ!!

「俺はカンキョハカーイ、ガイチューン将軍が臣!!ゴキゴブリン!!貴様等の無念は戴いた!!」

 ゴキゴブリンがナンパ男達に掌を翳す。手首にはメカニカルなリストバンドが装備されていた。

 そのリストバンドが怪しく光った。

「な、何だ?うわあああああああああああああああああああ!!!!」

 ナンパ男達の気が遠くなる。

 気が付くと、先程の黒タイツの怪人の後ろに、黒タイツを着て並んでいた。

「これがフロン様の新しい技術、戦闘員製造マシーンの力か……使い捨てにしかならねえが、とは言っていたが、元は人間、流石のラフレシアン達も躊躇する筈、そこを……」

 勝利を確信したように怪しく笑うゴキゴブリン。 

 彼もラフレシアンと戦い、他の幹部の戦いを見て来た筈だが、まだ解ってない様子だった……!!


「ふんぎぎぎぃぃ~~!!」

 つくしとペアを組み、腹筋をしている常夏。

「合宿らしいからぁ~……遊びには行けないみたいね~……」

「海が目の前にあるって言うのにっ!!ふんぎぎぎぃぃ~~!!可愛いビキニ持って来たって言うのにっ!!ふんぎぎぎぃぃ~~!!」

 文句を言いながらも腹筋をする常夏。

 スポーツ万能で、各運動部から助っ人を頼まれるだけの事はあり、身体能力は同年代の女の子より遥かに上だ。

「常夏っちゃんはぁ~……筋肉も脂肪も程々でぇ~……可愛いねぇ~……」

 脇腹をツンツン突っつくつくし。

「きゃははははははは!!くすぐったいよつくしちゃん!!」

 たまらずに腹筋をやめて身を捩った。

「運動馬鹿同士仲良しになってるわねっ!!」

 その様子を見た翡翠が毒付いた。

「ブツブツ言わないで腹筋するっ!!ふんぎぎぎぃぃっっっ!!」

 ペアを組んでいる美鈴も黙々と腹筋をしていた。


 ドオオオオオオ!!


 海から水柱が立ち上がった。

「何!?あの水柱!?」

 風華が尋常じゃない現象に腹筋を止めた。

「行ってみる?」

 藤子の提案に顔を見合わせ、頷く。

「みんな!!一時休止よ!!あの水柱の所まで行ってみましょう!!」

 風華達は水柱の上がった方向へ走った。やはり全員、尋常じゃない何かを感じ取ったからだ。


「はぁ、はぁ、海水浴場だけど……」

 流石に残暑が厳しいとは言え、クラゲが浮いている海水浴場には誰も入っていない。

 海に来ていた人々の全ては、ビーチで休んでいたり、バーベキューしたりで、幸いにも被害者はいなかった。

 いなかったが、お客の人達は、黒いタイツの馬鹿げた集団に捕らえられて身動きが取れない状態だった!!

「こいつ等……何?」

 翡翠の言葉に答えるような声が返ってくる。

「こいつ等は元人間。今は洗脳し、我が下僕となった者達よ!」

 バッと振り返ると、そこには仁王立ちをしながら高笑いをしているゴキゴブリンの姿が!!

「ゴキゴブリン!?倒した筈!!」

「貴様等ラフレシアンを倒す為に地獄から蘇ったのよ!!出でよ機害獣、エチゼンクラゲエイ!!」

 海から真っ白い巨大なクラゲがビリビリと放電しながら現れた!!

「フハハハハ!!本当に人質、実質の人質、それに機害獣を従えた俺に勝てるかなラフレシアン!!ハッハッハッハッハッハッハッハ!!」

 高笑いするゴキゴブリ。

「くっ!少しヤバい…!!」

 風華達にかつてない緊張が走った。

「みんな!!変身よ!!」

 言うな否や!風華達は脱兎の如く、その場から逃げ出した!

「ふ、ふははははは!!逃げやがったなラフレシアン!!ふはははははははははははははは!!」

 愉快そうに高笑いをやめないゴキゴブリン。

「誰が逃げたのよ」

 遥か上空からラフレシアン コールドウェイブに変身した風華がゴキゴブリンに踵を落とした。

「ぐわああああああああ!!?」

 たまらず膝を付くゴキゴブリン。

「人前で変身出来ないでしょう?秘密のヒロインとしてね」

 スッと跪いているゴキゴブリンと同じ視線で屈む藤子。そのまま右拳をぶち込む。

「くっはあああああああ!!!」

 海まで吹っ飛んだゴキゴブリン。バシャンと水柱が立ち昇る・

「この黒タイツの手下共は元人間なんだよね?」

「ならば気絶くらいにしておきましょう」

 美鈴と翡翠は海辺で捕らわれている人達を救うべく、黒タイツ軍団をぶっ飛ばし、気絶させた。

「じゃあ~……あのデカいクラゲはぁ~……私が貰ってもいい訳だよね~……」

 つくしはニヤリと笑いながら機害獣に果敢に向かって行く。

 エチゼンクラゲエイは触手を鞭のように振るう。

「そんな大雑把な攻撃~……当たらないよぉ~……」

 華麗に躱してエチゼンクラゲエイの懐に飛び込んだ。

「はあああああああ!!!」

 エチゼンクラゲエイのボディにパンチをくれるつくし。

 バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!

「なに!?きゃあああぁああ!!」

 全身が痺れ、蹲るつくし。 エチゼンクラゲエイは、その触手でつくしを捕らえた。

「し、しまった……ぐぅぅぅぅ!!」 

 触手は力を込めて締め上げる。

 内臓が出そうになる錯覚に陥るつくし。これはマズイ事になった!!

「ホーステール!?」

 助けに駆け出す風華。

「隙が出来たぞコールドウェイブ!!」

 ゴキゴブリンが力いっぱい風華と藤子を薙ぎ倒す。

「きゃあ!!」

「くっっ!?」

 倒れた二人に触手を絡めるエチゼンクラゲエイ!!

「しまっ……」

「ぐっっっ!!」

「ふははははははは!!残り二人か!!」

 ゴキゴブリンは美鈴と翡翠に歪んだ笑みを向けた。

「く……西瓜と南瓜を連れてくるべきだったわ……」

 必殺技のファールスメル・アタックが使えない事に苛立つ翡翠。

「私達から養分を吸い取れば……」

 美鈴がそう提案した。確かに養分を吸い取られた後はシャレにならない程体力を消耗するが、黒タイツ軍団及び機害獣と、数と兵器を頼りに向かってくるゴキゴブリンを一網打尽にするには、シスター・ドリアンのファールスメル・アタックが一番適しているようにも思えた。

「アレはドリアン王国の人間じゃないと威力が弱まる。ゴキゴブリンはともかく、あのクラゲの機害獣相手にはきゃあ!!」

 不意に黒タイツ軍団に後頭部をぶん殴られた翡翠。

「この……」

 勿論反撃に出る美鈴。

「隙ができたなラフレシアン!!」

 エチゼンクラゲエイの触手が伸びる!

「きゃああああ!!」

「シスター・ドリアン…きゃあ!?」

 一瞬の隙を付かれて捕らわれた美鈴と翡翠。

「ふはははは!!これで全てか?はっはっは!!」

 勝利を確信したゴキゴブリンが笑う。

 綺麗に戦略が決まって悦に入って笑うのもいいが、一番厄介な事を失念している。

 この場には……

 この場には、エブリシングサマーはいない。

 このピンチを凌げるスーパーヒロイン、ラフレシアン エブリシングサマーはまだ姿を見せていないのだ!!

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