第4話 それぞれの過去 前編
私は幼い頃から暗殺の術を学び、それを遂行してきた。疑問になんて思わなかった、それが当たり前の光景だったから。
しかし、疑問を持つには十分すぎる出来事があった。
…処刑である。
同じ教団の仲間であるというのに、平気で殺めてしまうのだ。
…いや、それが”他人“であったなら、それすらも疑問には思わなかったのだろう。
…目の前で、首を跳ねられたのは私の父と母だ、このときはじめて私の心のなかに疑問や怒り、悲しみ…ありとあらゆる感情が一気に芽生えた。
生き残った私は、生前の両親からの言葉を、“やっと”理解した。
『お前は好きなように生きなさい』
(…うん、わかったよ。僕、頑張るね!)
教団で活動する道中ではついぞなにもせずに時を過ごすことになってしまったが、僕はイネスと出会い、ようやくスタートラインにたてたのだと思う。
予言執行教団は、人を滅ぼしかねない危険な存在である、しかしただの狂信者の集いではない。
厄介なことに、本当に神は存在している。
語りきるにはまだ足りないが、敵としてみるには十分な理由であると思う。
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