第2話 アレクシス

僕は夢を見たのだと思う。

信頼するものすべてから見捨てられる、そんな夢。

(あぁ…やめてそんな目で”私“を見ないで…!ほら…掟は守ったでしょ?良い子だよね…?お父さん、お母さん…僕…何でこんなことしなきゃいけないの…)

走馬灯というものなのかな…?まあいいや…後悔はないよ…

『お前は好きなように生きなさい』

その瞬間、大きく目を見開く。…生きてる…?

「あっ!起きたの!?よかったぁ…」

僕は確かに自分で自分の心臓を刺したはず…

娘は元気良く話し始めた。

「へへーん、こう見えても医療の心得があるのです!それにしても僕なんていってるから男の子かと思ったら、まさか女の子とは!」

「…ねえ、僕は君を殺そうとしたんだよ?」

思わずこんな言葉を投げ掛ける。

「殺すもなにも、自殺しようとしてたじゃない。それに…」

僕は、やっと。

「君は泣いてた、放ってなんておけないよ。あと、そろそろ名前聞いて良い?私はイネス!」

「え?あ、ああ名前?ぼ、僕はアレクシス…」

「アレクシス!素敵な名前ね!アレクって呼んで良い!?」

“友達”が出来た。

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