予言執行教団の暗躍

@sakuteru

第1話 予言執行教団

僕は、なんのために生まれてきたのだろう?

不意にそんな考えが浮かぶ。

そんな事、悩む必要なんてない。ただ神の予言をこなすだけ。それだけ。例えそれが殺人であろうと、均衡を守るために執行しなければならないのだ。


…正直僕は、嫌気がさしていたのだと思う。

だから、僕は、本来教団としてあってはならない禁忌を冒してしまっている。


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今日はある村の娘を暗殺するというものであった。なぜ村の娘なのか、そんな疑問を見抜いたように神は僕にこう告げる。

『この者は放っておけば我らの敵となりうる存在、故にこの者の存在を消しておくべきなのだ、均衡を守る我らの邪魔をすることは愚の骨頂、捨て置けぬ』

「はい、我等は均衡を守る者、必ず遂行して参ります。」

『頼んだぞ、娘』

…”敵“この一言が、僕の脳裏にこびりついて離れずにいた。


いつも通り、誰にも見つからず、娘を殺す。ただ、それだけのはずなのに…

手が止まる、この子は本当に敵になるのだろうか?こんなにも穏やかな寝顔で、まして罪なんて無いのに…

僕は分からなくなっていた、教団としてならば、この先の敵になる娘を殺す。しかし自分はこの娘を殺すことを躊躇している。

「…っ!」

…完全に目があってしまった

「あなた、なぜ泣いてるの?」

いつの間にか僕の目には涙が溢れていた。起きるのは必然だった…何故なら僕の涙は娘の頬に落ちてしまっていたのだ。

「僕は…君を殺さなければいけないんだ…赦して…どうか赦して…!」

僕は短刀を突き立てる。…自分の心臓に。


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