第162話:先輩の影
蒼桜目線___
痛み止めがあるとはいえ動くと全身に痛みがはしる。だが、敵にそれを感じさせてしまった瞬間に俺は負けて死ぬ。平気そうな顔をして相手を無力化していく。強い痛みの中でもいつもより動ける気がする。体の細胞一つ一つが思い通りに動く。桜先輩が言っていた。死にそうになると人間って凄い力を発揮するって。今がその状態なのだろうか。
「神咲。」
あれ?桐谷先輩…?
「神咲、いいか、剣は基本が大切だ。形を体に覚えさせるんだ。」
懐かしい…。俺は桐谷先輩に剣さばきを教わった。剣の握り方から全て。
「お前は相手に合わせすぎる。相手の動きをよく見るのは大切だが、気持ち早めに動くんだ。相手に先手を取らせるな。」
桐谷先輩の声が重なり、俺は相手を確実に仕留め先に進む。
「体が大きい人が強い訳では無い。どんな相手にも弱点がある。それを見極めるんだ。」
弱点を見極める。でも最後まで桐谷先輩の弱点を見つけることは出来なかった。
「お前はお前らしく居ればいい。俺はお前のその胸の内に秘めた真っ直ぐな使命感、尊敬する。」
先輩…。
「お前の後悔のないように刀を持て。お前がいつか死ぬ時に後悔のないようにな。」
先輩は後悔のない死に際だったかな。
目の前に大きな影が見えた。瞬時に後ろに身を引くと、先程自分のいた所に刀が振り下ろされた。
「お前はあの時の…。」
「どうも。前は邪魔されたが、今度はお前を殺してやるよ。どうやって死にたい?」
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