第155話:何よりも大切にされてきたボク達
雨梨目線___
僕は奇龍が飛び出した後、激しく取り乱したんだと思う。奇龍が居なくなるかもしれない。敵になるかもしれないと。いろいろな可能性が頭に浮かんだ。
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「雨梨。雨梨。」
「蒼桜先輩…。」
「奇龍はきっとあてがあるから飛び出したと思うよ。奇龍の勘に任せてみよう。運良く奇龍は携帯を持ってるから。」
「奇龍をほっとくって…。」
「野放しにはするけど、完全に無視するわけじゃない。」
「なるほど!携帯のGPSで追いかけるんだ!」
「班長はお人好しすぎるよ。奇龍のワガママで飛び出したわけだし。」
「一対一は流石に危険だし、後輩をそんな所に易々と送って自分達は宛もなく探すなんてデメリットしかないよ。羅希の気持ちも分かるけどそれは帰ってきてからにしよう。俺も謝りたいし。」
「班長は甘やかしすぎなのよ、あの子を。でももし死んだら文句も言えないから行くしかないか。手間のかかる弟だ。」
「雨梨、僕らの代はね、何より君らが大切なんだよ。手間のかかる可愛い君らが大切なんだ。それを覚えていて。」
GPSは小学校の裏山で途切れた。男女に分かれて探していた時、不自然に空いている洞窟を見つけた。よく見ると人が入った跡がある。割と新しそうだ。洞窟なんて入ったら電波も届かないはずだ。羅希先輩と凛音には洞窟に入る事と、外す可能性もあるから他を探してもらっていた。洞窟は不気味で先の見えないトンネルのようだった。だけど風が吹くと言うことは出口がある。そこに奇龍がいる。そうして光が見えた時に2人の話し声が聞こえた。蒼桜先輩は飛び出すタイミングを待っていたんだと思う。僕もそうだったから。そして奇龍は撃つという甘い予測をしていた。そして奇龍の危険を察知した先輩は飛び出して庇うことになった。
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先輩の状態は良くない。そして洞窟から出たのにここも電波がはいらないから救急車も呼べない。
月花桂樹が拳銃の弾を避けていくのを見て焦りが募る。時間を稼いで先輩を確実に仕留めるつもりだ。奇龍はさっき月花を傷つけられないというのは分かった。僕が何とかしないといけない。
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