第144話:血だらけの凛音
羅希目線_
「班長、凛音は?」
「さっき目を覚ましたけど…。」首を振る班長。意識ない状態でシャワーを浴びせる訳にいかないし、でもこのまま血だらけのままも良くないな…。早く元に戻るといいんだけど…。
「俺先はいるね。凛音のことよろしくね。」
「分かった。」班長かなり怒ってるな。後輩達の手前出さないけど、目の奥に殺意が見える。班長があそこまで怒ったのは、私が一度目の前で自殺未遂した時だけだ。蒼桜君は自分のために怒れないから。大切な人のためにしか怒らない人だから。
「愛されてるね、凛音。」
持ってきた濡れタオルで顔に着いた返り血だけでも拭き取ってあげる。目を閉じるとお父さんそっくりだね。本当に目だけお母さん似だったんだね。ずっとあんな感情の元で生きてきたんだね。分かったフリをしててごめんね。何にも私分かってなかった。凛音が手を上げられた時、命のやり取りをしてきた私も得体の知れない恐怖を感じた。だから凛音の間に立てなくて、ただ凛音を自分側に引っ張ることしか出来なかった。この小さな体で何年もあの恐怖の中よく生きていてくれたね。軍人にしては細すぎる手を握る。これを蒼桜君は側で見てきたんだ。それは私なんかが入る隙なんて無かったのに、つい嫉妬してた。本当に2人がくっつけばいいとどこかで思えなくて、私本当に馬鹿らしい。しばらくすると凛音が薄ら目を開ける。
「凛音。目覚めた?」
「はい。」
体がかなり重そうだ。
「返り血軽く拭いておいたよ。とりあえずシャワー浴びておいで。」
「ありがとうございます。」
シャワー室に行った凛音を見送り、班長に電話をする。
「凛音起きたよ。今シャワー。」
「そうか。とりあえず凛音の首ちゃんと見てもらったほうがいいから、凛音と雨梨、迎えに来てくれる玄。3人いたら充分かな。」
「そうだね。」
奇龍がリビングで優和くんとゲームをして遊んでいるのが目に入る。
「お兄ちゃんよっわ!」
「うるさいな!もう1戦!」
今別の部屋で夫婦で話し合っているみたいだ。どんな話をしているかなんて高校生の私達は嫌な程察しがついていた。それを知らない優和君は笑って楽しそうだった。
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